リビアの独裁者、ガダフィ将軍の一族の放蕩ぶりを細々と示した米国大使館公電が暴露された。あまりのむちゃくちゃぶりにリビアの国民の怒りに火が付き、ガダフィとその一族がアラブ独裁者ドミノの次のターゲットになるのではという憶測(願望?)記事で、リビア国内にそういった動きがあるかどうかについては触れてません。(怒りは沸騰寸前と公電に書かれているようです)
いままでの例から言って、いくら怒ってもそれ以前に民主化の地下運動の蓄積がないと蜂起は起こりにくく、また成功しないのは明らかであり、そうした運動がリビアにあるかどうか、あいにく知りません。ただ、チュニジア、エジプト、ヨルダン、イエメン等の現在の動きはリビアにも伝わっているでしょうから、この暴露がきっかけのひとつにはなるかもしれません。
なお、わたしが読んだのはサンデイタイムスの記事だけで、ベースとなった公電は未読です。
Leaked cables reveal anger at regime may make
Libya the next Arab domino to fall
サンデイタイムス The Sunday Times 2011年2月6日号海外面P28
[サンデイタイムスでの見出しは Lybya froths at plinsering by junior Gadaffis]
(タイムスのウェブサイトは有料のため、以下記事は' The Australian'からコピー&ペースト)
http://www.theaustralian.com.au/news/world/leaked-cables-reveal-anger-at-regime-may-make-libya-the-next-arab-domino-to-fall/story-e6frg6so-1226001055031
THE violence and corruption of members of Colonel Muammar Gaddafi's family have made Libya a gangster state with a worse record of governance than Egypt or Tunisia, according to leaked US diplomatic cables.
The documents reveal previously undisclosed details of how family greed, rivalry and extremism have complicated British and US efforts to normalise relations with Libya since it decided to abandon nuclear weapons and renounce terrorism. Gaddafi's children plunder the country's oil revenues, run a kleptocracy and operate a reign of terror that has created simmering hatred and resentment among the people, according to the cables released by WikiLeaks.
In the light of the upheavals in the Arab world, the diplomatic traffic also shows that far from being stable, Libya could be another corrupt authoritarian domino poised to fall.
One intriguing sequence of cables tells how Switzerland faced down threats after Swiss police arrested Hannibal Gaddafi, a younger son, and his wife for allegedly abusing two of their domestic staff.
Swiss police officers drew their guns and fought to disarm two of Hannibal's bodyguards, who were illegally carrying pistols and attacked them when they entered his suite at the five-star President Wilson hotel in Geneva. The police found Hannibal hiding in a bedroom with six bodyguards.
He was taken away in an armoured Mercedes.
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2011年02月06日
2011年01月30日
革命なう@エジプト デモ隊が暴徒化?とか嘘は休み休み
讀賣の<誘導>記事
ファラオのミイラ2体破壊、エジプトデモ暴徒化
読売新聞 1月29日(土)23時51分配信
カイロの商業地区では28日夜から29日未明にかけて、暴徒化したデモ隊が商店を次々と襲撃、携帯電話や家電製品の販売店、衣料品店などのガラスが破られ、商品が略奪された。
ロイター通信によると、デモ隊の一部が28日夜、カイロ中心部にあるエジプト考古学博物館に侵入し、古代エジプトのファラオ(王)のミイラ2体を破壊した。
AP通信によると、軍はカイロ近郊にあるギザのピラミッドを封鎖した。
在エジプト日本大使館によると、日本時間29日夜の時点で負傷者などの報告はない、という。
最終更新:1月29日(土)23時51分
<暴徒化したデモ隊>
ムバラクの新政府とアメリカ政府が全世界の人々に信じさせたいこと。暴徒鎮圧との理由で強力な暴力装置を持ち込むための理由作り。略奪をしているのは多くはそのための人員。無署名記事。ロイターの情報のみ(デモ隊が暴徒化とほんとにロイターが言っているのか要確認)。残りはAP在エジプト日本大使館。いま、このタイミングで、讀賣は記者一人カイロにいないのか。
*
時事通信>同じロイターの素材を使っているようだが、暴徒がデモ隊との記述はなし。
暴徒被害、散乱する文化財=ツタンカーメンは無事―エジプト考古博物館
時事通信 1月30日(日)7時13分配信
【カイロ時事】中東の衛星テレビ局アルアラビヤは29日、混乱状態が続くエジプトで暴徒が侵入したとみられるカイロ有数の観光名所、エジプト考古学博物館内部の被害実態を伝えた。
同テレビは、博物館の陳列棚のガラスが割れ、彫像が無造作に床に転がる映像を放映。彫像の一部とみられる足部分も床に散乱、模型の船や磁器類も破壊されていた。普段なら観光客でごった返すはずの館内に武装した軍部隊が展開し、各部屋を巡回する映像もあり、カイロ市内の「異常事態」ぶりを物語っていた。
ロイター通信などによると、古代エジプト時代のミイラ2体も損傷したが、世界的に有名な「ツタンカーメンの黄金の仮面」は無事だった。28日夜に夜間外出禁止令が出された後、博物館は被害に遭ったとみられ、29日以降は軍が周辺の警備を強化している。
カイロから発信されてますけど、素材はアルアラビアとロイター。取材は?
*
讀賣の記事:デモ暴徒化(見出し)、暴徒化したデモ隊が次々と襲撃、(本文)、デモ隊の一部が侵入し、破壊した。
時事の記事:暴徒被害(見出し)、暴徒が侵入したとみられる(本文)、夜間外出禁止令が出された後、被害に遭ったとみられ、
わたしが聞いたニュースでは、博物館の学芸員が朝、外出禁止令が解けてから出勤したところ、夜間に何者かが侵入し、破壊したあとがあったと報じていた。侵入するところはだれも見ていない。時事配信の記事がその話に近い。時事の記事ははっきりしないことには断定を避け、「混乱状態」や「異常事態」という言葉でカイロ全体の混乱ぶりも伝えている。
讀賣の記事はすべて伝聞であるにもかかわらず断定調。また、商店を襲った「暴徒」と博物館を襲った「暴徒化したデモ隊の一部」をわざと混同させるような書き方をしている。
ファラオのミイラ2体破壊、エジプトデモ暴徒化
読売新聞 1月29日(土)23時51分配信
カイロの商業地区では28日夜から29日未明にかけて、暴徒化したデモ隊が商店を次々と襲撃、携帯電話や家電製品の販売店、衣料品店などのガラスが破られ、商品が略奪された。
ロイター通信によると、デモ隊の一部が28日夜、カイロ中心部にあるエジプト考古学博物館に侵入し、古代エジプトのファラオ(王)のミイラ2体を破壊した。
AP通信によると、軍はカイロ近郊にあるギザのピラミッドを封鎖した。
在エジプト日本大使館によると、日本時間29日夜の時点で負傷者などの報告はない、という。
最終更新:1月29日(土)23時51分
<暴徒化したデモ隊>
ムバラクの新政府とアメリカ政府が全世界の人々に信じさせたいこと。暴徒鎮圧との理由で強力な暴力装置を持ち込むための理由作り。略奪をしているのは多くはそのための人員。無署名記事。ロイターの情報のみ(デモ隊が暴徒化とほんとにロイターが言っているのか要確認)。残りはAP在エジプト日本大使館。いま、このタイミングで、讀賣は記者一人カイロにいないのか。
*
時事通信>同じロイターの素材を使っているようだが、暴徒がデモ隊との記述はなし。
暴徒被害、散乱する文化財=ツタンカーメンは無事―エジプト考古博物館
時事通信 1月30日(日)7時13分配信
【カイロ時事】中東の衛星テレビ局アルアラビヤは29日、混乱状態が続くエジプトで暴徒が侵入したとみられるカイロ有数の観光名所、エジプト考古学博物館内部の被害実態を伝えた。
同テレビは、博物館の陳列棚のガラスが割れ、彫像が無造作に床に転がる映像を放映。彫像の一部とみられる足部分も床に散乱、模型の船や磁器類も破壊されていた。普段なら観光客でごった返すはずの館内に武装した軍部隊が展開し、各部屋を巡回する映像もあり、カイロ市内の「異常事態」ぶりを物語っていた。
ロイター通信などによると、古代エジプト時代のミイラ2体も損傷したが、世界的に有名な「ツタンカーメンの黄金の仮面」は無事だった。28日夜に夜間外出禁止令が出された後、博物館は被害に遭ったとみられ、29日以降は軍が周辺の警備を強化している。
カイロから発信されてますけど、素材はアルアラビアとロイター。取材は?
*
讀賣の記事:デモ暴徒化(見出し)、暴徒化したデモ隊が次々と襲撃、(本文)、デモ隊の一部が侵入し、破壊した。
時事の記事:暴徒被害(見出し)、暴徒が侵入したとみられる(本文)、夜間外出禁止令が出された後、被害に遭ったとみられ、
わたしが聞いたニュースでは、博物館の学芸員が朝、外出禁止令が解けてから出勤したところ、夜間に何者かが侵入し、破壊したあとがあったと報じていた。侵入するところはだれも見ていない。時事配信の記事がその話に近い。時事の記事ははっきりしないことには断定を避け、「混乱状態」や「異常事態」という言葉でカイロ全体の混乱ぶりも伝えている。
讀賣の記事はすべて伝聞であるにもかかわらず断定調。また、商店を襲った「暴徒」と博物館を襲った「暴徒化したデモ隊の一部」をわざと混同させるような書き方をしている。
ラベル:エジプト
2011年01月29日
革命なう@エジプトの裏にアメリカ?>とカイロ発米公電に(WL)
ほんとかよ〜という気はしますが、とりあえず投げ込みます。それから読みます。
なぜかわからないけど、テレグラフ独占で出てきたこのニュース。このたびの <革命なう@エジプト> は3年前から計画されていたことであり、反政府勢力のリーダーをアメリカがバックアップしていた、と述べる在カイロ米国大使館公電がウィキリークスにアップされたとのこと。では読みます。
*
読みました。なんか頭痛くなってきた。寝る。
*
(この公電の読み解きのアイディアについては<革命なう@エジプト第10日>をご覧下さい。
<2011年4月7日追記:最近この記事へのアクセスが集中しているので書き足します。わたし自身は「1月25日革命(エジプトではそう呼ばれているようです)」の裏にアメリカの後ろ盾があったとは考えていません。これに関する気づきは上においたメモのように「革命なう@エジプト第10日」の文中に書きましたが、そちらもあわせて読んでくださるかたが少ないのであえてここに記しておきます>
*
日付スタンプは28日9時23日GMTだけど明日(29日)のテレグラフ朝刊。
Egypt protests: America's secret backing for rebel leaders behind uprising
The American government secretly backed leading figures behind the Egyptian uprising who have been planning “regime change” for the past three years, The Daily Telegraph has learned.
By Tim Ross, Matthew Moore and Steven Swinford
9:23PM GMT 28 Jan 2011 The Telegraph
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/africaandindianocean/egypt/8289686/Egypt-protests-Americas-secret-backing-for-rebel-leaders-behind-uprising.html
The American Embassy in Cairo helped a young dissident attend a US-sponsored summit for activists in New York, while working to keep his identity secret from Egyptian state police.
On his return to Cairo in December 2008, the activist told US diplomats that an alliance of opposition groups had drawn up a plan to overthrow President Hosni Mubarak and install a democratic government in 2011.
The secret document in full
He has already been arrested by Egyptian security in connection with the demonstrations and his identity is being protected by The Daily Telegraph.
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なぜかわからないけど、テレグラフ独占で出てきたこのニュース。このたびの <革命なう@エジプト> は3年前から計画されていたことであり、反政府勢力のリーダーをアメリカがバックアップしていた、と述べる在カイロ米国大使館公電がウィキリークスにアップされたとのこと。では読みます。
*
読みました。なんか頭痛くなってきた。寝る。
*
(この公電の読み解きのアイディアについては<革命なう@エジプト第10日>をご覧下さい。
<2011年4月7日追記:最近この記事へのアクセスが集中しているので書き足します。わたし自身は「1月25日革命(エジプトではそう呼ばれているようです)」の裏にアメリカの後ろ盾があったとは考えていません。これに関する気づきは上においたメモのように「革命なう@エジプト第10日」の文中に書きましたが、そちらもあわせて読んでくださるかたが少ないのであえてここに記しておきます>
*
日付スタンプは28日9時23日GMTだけど明日(29日)のテレグラフ朝刊。
Egypt protests: America's secret backing for rebel leaders behind uprising
The American government secretly backed leading figures behind the Egyptian uprising who have been planning “regime change” for the past three years, The Daily Telegraph has learned.
By Tim Ross, Matthew Moore and Steven Swinford
9:23PM GMT 28 Jan 2011 The Telegraph
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/africaandindianocean/egypt/8289686/Egypt-protests-Americas-secret-backing-for-rebel-leaders-behind-uprising.html
The American Embassy in Cairo helped a young dissident attend a US-sponsored summit for activists in New York, while working to keep his identity secret from Egyptian state police.
On his return to Cairo in December 2008, the activist told US diplomats that an alliance of opposition groups had drawn up a plan to overthrow President Hosni Mubarak and install a democratic government in 2011.
The secret document in full
He has already been arrested by Egyptian security in connection with the demonstrations and his identity is being protected by The Daily Telegraph.
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2011年01月27日
国際問題の作り方実例<BBCは二重被爆者を侮辱したか>
<国際問題の作り方>
この記事は、朝日新聞衛星版2011年1月22日付社会面に掲載された、「二重被爆 番組で笑う「世界一運悪い男」BBC担当者謝罪」(朝日新聞のホームページでは「英BBCお笑い番組、二重被爆者を「世界一運が悪い男」に改題)との見出しの記事が、BBCのクイズバラエティ「QI」内で二重被爆者の山口さんが貶められたとの印象を読者に抱かせるための<印象操作>にあたるのではないか、との疑問に基づき、解読する意図で書いたものです。
この件に関心のないかたは読んでも面白くないと思うのでパスしてください。また、どのような内容が話されたかではなく、お笑いクイズショーで日本の被爆者のトピックを取り上げること自体が不謹慎/許せないと思うかた向けには書かれていません。
とは言え、プロパガンダとは何か、プロパガンダはいかに作られるかに関心がある場合は、お読みいただくとよいかもしれません。
記事の全文はこちらに拾ってあります。
なお、たまたまわたしが読める紙媒体が朝日新聞衛星版だけなのでこれを引き合いに出しますが、ネットで読める他の新聞社/通信社の記事でも同様の印象操作が行われているように思います(分析していないので断定はしませんが)。また、テレビのニュースでは生前の山口さんの活動を映像や本人の言葉をまじえて紹介したり、また「QI」の映像を恣意的に引用することや誤訳(あるいは恣意的な訳語選択)により、新聞より高度な/悪質な印象操作が行われているように思います(分析していないので断定はしませんが)。
BBC「QI」で話されている内容の翻訳については、コメディアン志望の息子の手を借りたほか、すでに翻訳し、公開しているかた(複数)の訳を参考にしています(ほんとはそれらのブログを紹介する稿を先に書き始めたのですが、仕上げが終わらず蔵に入ってます)。ありがとうございました。
*
朝日新聞の記事を分解
<元の記事(全文5段落のうちの2段落めと3段落め)>
問題となったのは、昨年12月17日に放映された人気の番組「QI」。司会者が、長崎出身の山口さんが広島に出張して原爆で大やけどを負った後に鉄道で長崎に戻ったことに触れ、「英国なら電車は止まっている」と英鉄道の不備を自虐的にとらえる内容だった。だが、ゲストのコメディアンが「長崎で入院したのか」とつっこむと、スタジオから笑いが漏れる一幕があった。
さらに、司会者が「山口さんが長崎に戻ると、また原爆が投下された」と述べると、観衆は爆笑。司会者は「二重被爆をして生き残ったのは、最も幸運か最も不運か」などと締めくくった。スタジオにはきのこ雲や山口さんの顔写真が掲げられた。
二段落の構造
「問題となったのは、」 読者の注意を喚起
1) 長崎出身の山口さんが広島に出張して原爆で大やけどを負った(司会者)
2) (大やけどを負った)後に鉄道で長崎に戻った(司会者)
3) 「英国なら電車は止まっている」と英鉄道の不備を自虐的にとらえる(司会者)
「だが、」 読者の注意を喚起
4) ゲストのコメディアンが「長崎で入院したのか」とつっこむと、
5) スタジオから笑いが漏れる
「さらに、」 読者の注意を喚起
5) 「山口さんが長崎に戻ると、また原爆が投下された」(司会者)と述べると、
6) 観衆は爆笑
7) 「二重被爆をして生き残ったのは、最も幸運か最も不運か」(司会者)などと締めくくった。
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この記事は、朝日新聞衛星版2011年1月22日付社会面に掲載された、「二重被爆 番組で笑う「世界一運悪い男」BBC担当者謝罪」(朝日新聞のホームページでは「英BBCお笑い番組、二重被爆者を「世界一運が悪い男」に改題)との見出しの記事が、BBCのクイズバラエティ「QI」内で二重被爆者の山口さんが貶められたとの印象を読者に抱かせるための<印象操作>にあたるのではないか、との疑問に基づき、解読する意図で書いたものです。
この件に関心のないかたは読んでも面白くないと思うのでパスしてください。また、どのような内容が話されたかではなく、お笑いクイズショーで日本の被爆者のトピックを取り上げること自体が不謹慎/許せないと思うかた向けには書かれていません。
とは言え、プロパガンダとは何か、プロパガンダはいかに作られるかに関心がある場合は、お読みいただくとよいかもしれません。
記事の全文はこちらに拾ってあります。
なお、たまたまわたしが読める紙媒体が朝日新聞衛星版だけなのでこれを引き合いに出しますが、ネットで読める他の新聞社/通信社の記事でも同様の印象操作が行われているように思います(分析していないので断定はしませんが)。また、テレビのニュースでは生前の山口さんの活動を映像や本人の言葉をまじえて紹介したり、また「QI」の映像を恣意的に引用することや誤訳(あるいは恣意的な訳語選択)により、新聞より高度な/悪質な印象操作が行われているように思います(分析していないので断定はしませんが)。
BBC「QI」で話されている内容の翻訳については、コメディアン志望の息子の手を借りたほか、すでに翻訳し、公開しているかた(複数)の訳を参考にしています(ほんとはそれらのブログを紹介する稿を先に書き始めたのですが、仕上げが終わらず蔵に入ってます)。ありがとうございました。
*
朝日新聞の記事を分解
<元の記事(全文5段落のうちの2段落めと3段落め)>
問題となったのは、昨年12月17日に放映された人気の番組「QI」。司会者が、長崎出身の山口さんが広島に出張して原爆で大やけどを負った後に鉄道で長崎に戻ったことに触れ、「英国なら電車は止まっている」と英鉄道の不備を自虐的にとらえる内容だった。だが、ゲストのコメディアンが「長崎で入院したのか」とつっこむと、スタジオから笑いが漏れる一幕があった。
さらに、司会者が「山口さんが長崎に戻ると、また原爆が投下された」と述べると、観衆は爆笑。司会者は「二重被爆をして生き残ったのは、最も幸運か最も不運か」などと締めくくった。スタジオにはきのこ雲や山口さんの顔写真が掲げられた。
二段落の構造
「問題となったのは、」 読者の注意を喚起
1) 長崎出身の山口さんが広島に出張して原爆で大やけどを負った(司会者)
2) (大やけどを負った)後に鉄道で長崎に戻った(司会者)
3) 「英国なら電車は止まっている」と英鉄道の不備を自虐的にとらえる(司会者)
「だが、」 読者の注意を喚起
4) ゲストのコメディアンが「長崎で入院したのか」とつっこむと、
5) スタジオから笑いが漏れる
「さらに、」 読者の注意を喚起
5) 「山口さんが長崎に戻ると、また原爆が投下された」(司会者)と述べると、
6) 観衆は爆笑
7) 「二重被爆をして生き残ったのは、最も幸運か最も不運か」(司会者)などと締めくくった。
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2011年01月17日
今度はタックス・ヘイヴンからウィキリークス爆弾!
まだ仕事が片付かなくてチュニジア関係をまとめられないんですけど、BBC24をつけっぱなしで仕事してたらまたリーク爆弾が。
スイスの銀行のケイマン諸島支店に勤務していた元バンカーが、タックス・ヘイヴンを利用して税金逃れをしている政治家、多国籍気企業、セレブリティ等2000件分の口座情報をディスク2枚に入れてウィキリークスのジュリアン・アサンジに渡し、フロントライン・クラブで記者会見を開いた。詳細はBBCの記事を読んでくださいまし。わたしは(すでにデッドラインを超過した)仕事に戻ります。
17 January 2011 Last updated at 15:01
Wikileaks given data on Swiss bank accounts
http://www.bbc.co.uk/news/business-12205690
A former Swiss banker has passed on data containing account details of 2,000 prominent people to Wikileaks founder Julian Assange.
The data - which is not yet available on the Wikileaks website - was held on two discs handed over by Rudolf Elmer at a press conference in London.
Mr Assange promised full disclosure once the information had been vetted.
Mr Elmer is scheduled to go on trial in Switzerland on Wednesday for breaking bank secrecy laws.
The banker, who has given data to Wikileaks before, was fired from Swiss bank Julius Baer in 2002.
Although it was not confirmed what activities might be covered by the data, the Wikileaks head noted that previous data from Julius Baer provided by Mr Elmer had shed light on tax evasion, the hiding of proceeds of criminal acts and "the protection of assets of those about to fall out of political favour".
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スイスの銀行のケイマン諸島支店に勤務していた元バンカーが、タックス・ヘイヴンを利用して税金逃れをしている政治家、多国籍気企業、セレブリティ等2000件分の口座情報をディスク2枚に入れてウィキリークスのジュリアン・アサンジに渡し、フロントライン・クラブで記者会見を開いた。詳細はBBCの記事を読んでくださいまし。わたしは(すでにデッドラインを超過した)仕事に戻ります。
17 January 2011 Last updated at 15:01
Wikileaks given data on Swiss bank accounts
http://www.bbc.co.uk/news/business-12205690
A former Swiss banker has passed on data containing account details of 2,000 prominent people to Wikileaks founder Julian Assange.
The data - which is not yet available on the Wikileaks website - was held on two discs handed over by Rudolf Elmer at a press conference in London.
Mr Assange promised full disclosure once the information had been vetted.
Mr Elmer is scheduled to go on trial in Switzerland on Wednesday for breaking bank secrecy laws.
The banker, who has given data to Wikileaks before, was fired from Swiss bank Julius Baer in 2002.
Although it was not confirmed what activities might be covered by the data, the Wikileaks head noted that previous data from Julius Baer provided by Mr Elmer had shed light on tax evasion, the hiding of proceeds of criminal acts and "the protection of assets of those about to fall out of political favour".
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ラベル:WikiLeaks
2011年01月15日
チュニジア:ウィキリークス・レボリューション
とりあえず投げ込み。仕事が一段落したらたぶん書き足します。
Tunisia: The WikiLeaks connection
Mohamed Ghannouchi, former PM now acting as president, described in WikiLeaks cables as well-liked and respected
By Ian Black
The Guardian, Saturday 15 January 2011
http://www.guardian.co.uk/world/2011/jan/15/tunisia-wikileaks-ghannouchi
The man now president, Mohamed Ghannouchi was profiled in January 2006 in a secret US cable in 2006, recently released by Wikileaks. "A technocrat and economist, Ghannouchi has served as prime minister since 1999. Is rumored to have told many he wishes to leave the government but has not had the opportunity. Length of his service as PM also suggests Ben Ali [president until resignation] does not view him as a threat and he is unlikely to be viewed as a qualified successor. However, average Tunisians generally view him with respect and he is well-liked in comparison to other GOT and RCD [ruling party] officials." Then US ambassador William Hudson said: "Given the fact Ben Ali has a dictatorial hold, it is hard to believe he'll voluntarily step down." Even so, "the mere fact an increasing number of Tunisians are talking about the end of the Ben Ali era is remarkable."
Publication of WikiLeaks sourced private US comments on the corruption and nepotism of a hated "sclerotic" regime is said to have helped create Tunisia's protest, and generated talk by US commentators of a "Wikileaks revolution".
*
US embassy cables: Tunisia - a US foreign policy conundrum
guardian.co.uk, Tuesday 7 December 2010 21.30 GMT
quotation from the above: The problem is clear: Tunisia has been ruled by the same president for 22 years. He has no successor. And, while President Ben Ali deserves credit for continuing many of the progressive policies of President Bourguiba, he and his regime have lost touch with the Tunisian people. They tolerate no advice or criticism, whether domestic or international. Increasingly, they rely on the police for control and focus on preserving power. And, corruption in the inner circle is growing. Even average Tunisians are now keenly aware of it, and the chorus of complaints is rising. Tunisians intensely dislike, even hate, First Lady Leila Trabelsi and her family. In private, regime opponents mock her; even those close to the government express dismay at her reported behavior. Meanwhile, anger is growing at Tunisia's high unemployment and regional inequities. As a consequence, the risks to the regime's long-term stability are increasing.
*
なんとアサンジの宿敵、デイリーメールまで。
'First Wikileaks Revolution': Tunisia riots blamed on cables which revealed country's corruption
By DAILY MAIL REPORTER
Last updated at 2:41 AM on 15th January 2011
・President Ben Ali goes into exile after 23 years in power
・Published US Embassy cables likened President's family to a Mafia elite
・Department of State issues travel alert to avoid the north African country
・Riots have claimed 23 lives so far this week
Events in Tunisia have led to it being called the 'First Wikileaks Revolution'.
Although there has long been opposition to the corrupt rule of President Ben Ali, protests gathered pace when US embassy cables were published by Wikileaks.
Read more: http://www.dailymail.co.uk/news/article-1347336/Tunisia-riots-blamed-cables-revealed-countrys-corruption-dubbed-First-Wikileaks-Revolution.html#ixzz1B72hTFfe
Tunisia: The WikiLeaks connection
Mohamed Ghannouchi, former PM now acting as president, described in WikiLeaks cables as well-liked and respected
By Ian Black
The Guardian, Saturday 15 January 2011
http://www.guardian.co.uk/world/2011/jan/15/tunisia-wikileaks-ghannouchi
The man now president, Mohamed Ghannouchi was profiled in January 2006 in a secret US cable in 2006, recently released by Wikileaks. "A technocrat and economist, Ghannouchi has served as prime minister since 1999. Is rumored to have told many he wishes to leave the government but has not had the opportunity. Length of his service as PM also suggests Ben Ali [president until resignation] does not view him as a threat and he is unlikely to be viewed as a qualified successor. However, average Tunisians generally view him with respect and he is well-liked in comparison to other GOT and RCD [ruling party] officials." Then US ambassador William Hudson said: "Given the fact Ben Ali has a dictatorial hold, it is hard to believe he'll voluntarily step down." Even so, "the mere fact an increasing number of Tunisians are talking about the end of the Ben Ali era is remarkable."
Publication of WikiLeaks sourced private US comments on the corruption and nepotism of a hated "sclerotic" regime is said to have helped create Tunisia's protest, and generated talk by US commentators of a "Wikileaks revolution".
*
US embassy cables: Tunisia - a US foreign policy conundrum
guardian.co.uk, Tuesday 7 December 2010 21.30 GMT
quotation from the above: The problem is clear: Tunisia has been ruled by the same president for 22 years. He has no successor. And, while President Ben Ali deserves credit for continuing many of the progressive policies of President Bourguiba, he and his regime have lost touch with the Tunisian people. They tolerate no advice or criticism, whether domestic or international. Increasingly, they rely on the police for control and focus on preserving power. And, corruption in the inner circle is growing. Even average Tunisians are now keenly aware of it, and the chorus of complaints is rising. Tunisians intensely dislike, even hate, First Lady Leila Trabelsi and her family. In private, regime opponents mock her; even those close to the government express dismay at her reported behavior. Meanwhile, anger is growing at Tunisia's high unemployment and regional inequities. As a consequence, the risks to the regime's long-term stability are increasing.
*
なんとアサンジの宿敵、デイリーメールまで。
'First Wikileaks Revolution': Tunisia riots blamed on cables which revealed country's corruption
By DAILY MAIL REPORTER
Last updated at 2:41 AM on 15th January 2011
・President Ben Ali goes into exile after 23 years in power
・Published US Embassy cables likened President's family to a Mafia elite
・Department of State issues travel alert to avoid the north African country
・Riots have claimed 23 lives so far this week
Events in Tunisia have led to it being called the 'First Wikileaks Revolution'.
Although there has long been opposition to the corrupt rule of President Ben Ali, protests gathered pace when US embassy cables were published by Wikileaks.
Read more: http://www.dailymail.co.uk/news/article-1347336/Tunisia-riots-blamed-cables-revealed-countrys-corruption-dubbed-First-Wikileaks-Revolution.html#ixzz1B72hTFfe
2010年12月29日
Channel4 Dispatches『ガザの子どもたち』
ドキュメンタリー『ガザの子どもたち』は2010年3月15日午後8時から英国チャンネル4の調査報道番組『ディスパッチ』(1時間枠)で放送された。
ディスパッチのホームページに掲載されたこの番組のアーカイブ。このページには実際に放送された動画や番組のスチール写真などがおさめられていていつでも見ることができる(動画の視聴はイギリス国内のみ)。
http://www.channel4.com/programmes/dispatches/episode-guide/series-56/episode-1
You-tubeに移植された動画で5パートに分けてアップロードされた全編が視聴可能。(おおまかな内容について書き足すかもしれません)
Dispatches - Children of Gaza
Dispatches - Children of Gaza | A MustWatch Documentary Part 1 of 5
Dispatches - Children of Gaza | A MustWatch Documentary Part 2 of 5
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ディスパッチのホームページに掲載されたこの番組のアーカイブ。このページには実際に放送された動画や番組のスチール写真などがおさめられていていつでも見ることができる(動画の視聴はイギリス国内のみ)。
http://www.channel4.com/programmes/dispatches/episode-guide/series-56/episode-1
You-tubeに移植された動画で5パートに分けてアップロードされた全編が視聴可能。(おおまかな内容について書き足すかもしれません)
Dispatches - Children of Gaza
Dispatches - Children of Gaza | A MustWatch Documentary Part 1 of 5
Dispatches - Children of Gaza | A MustWatch Documentary Part 2 of 5
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2010年09月07日
偽「タリバン」に拘束されていた常岡氏が犯人像を語る
偽「タリバン」に拘束されていた常岡氏が犯人像を語る
一昨日の夜、作業をやめて床に入る前にyahooニュースを開けてみたところ、今年3月末にアフガニスタンで取材中に「タリバン」に拘束されて、以来ずっと捕捉されていたジャーナリストの常岡さんが解放され、帰国の途上にあるとの記事がポストされていた。常岡さんのウェブ日記を読むと以下のように記されていた。
2010/09/06 (月) 07:08:54 ありがとうございました
4月1日から157日間にわたって、クンドゥズ州などを支配している
軍閥ラティブのグループに拘束されていましたが、4日に無事解放されました。
(中略)
現在、ドゥバイの空港で関空行きのエミレーツ航空を待っています。
関空で乗り継いで、今夜羽田へ帰る予定です。
(以下略)
常岡さんには数年前に東京でお会いしていて、チェチェン支援の集会の打ち上げで少し話したことがある。かれはムスリムなのでお酒は飲まないが、みんなが飲んでいる席に長時間いて違和感がないほどリラックスした人柄だった。チェチェンを取材するジャーナリストは世間の関心も低い中で選んでそうしているせいもあって、単なるジャーナリストというより自然に活動家的な色を帯びてくる。しかし、常岡さんはそういう固い部分が非常に少なく(ほとんどまったくなく)、いい意味で軟派であり(つまり、けっこうおおちゃらけでラブリーで)、かえって信用できるように思った。
かれは以前にも取材中にあっちこっちで武装集団に拘束されていて拘束者と行動を共にしていたことがあったので、今度もきっと生きてかえってくるに違いないと信じてはいた。しかし、拘束が長期化し、つい最近もイギリス人の若い女医を含むクリスチャン支援団体の医療チームが「タリバン」を名乗る武装集団に処刑された事件があったりしたので、かれを拘束しているのが誰かによってはそう安心してもいられないのかもしれないと考えたりしていた。ラマダンが始まってから一度か二度、かれの日記を訪問して何も更新されていないのを確認した。
ところが、9月になって突然、かれも所属する(一見軟派な、実際にも軟派な?)ジャーナリスト集団「東長崎機関」のウェブサイトに「獄中からのTwitter」が掲載された。Twitterの画面がキャプチャされていて、「刑務所収監されていながらも、ツィッターで自分の生存を世界発信した常岡浩介。2010年9月3日夜に話題沸騰となってる、獄中ツィッター。」のキャプション付き。Twitter2通は英文タイプで「クンドゥズのラティブ司令官に拘束されている」件と「捕まってるけどまだ生きてます」の2件。
***
そんなわけで、無事解放されたかれだが、まだ帰国する前からtwitterを使い、さっそく日本政府に都合の悪いことを発言し始めているようだ。日本政府ばかりか、カルザイのアフガン政府の後ろ盾となっているすべての支援者にとって不都合な事実だ。日本のメディアがどこまでこの情報を伝えるかわからないが、インターネットがある限り、(モバイル環境に強い)話したい人を黙らせておくのは非常にむずかしい。
わたしはまだtwitterを導入していないので(登録してもフォローし切れそうもないし、同じ理由でfacebookにすら登録していない。化石と呼んでください)直接つぶやきを読むことはできませんが、つぶやきおまとめサイトtogtterにまとめられている「つぶやきs/2010-09-06 10:05:52までのポスト」を以下に貼付けておきます。
以下、shamilshは常岡さんのつぶやき名(ムスリム名がshamil)、2010-09-06 10:05:52のスタンプのあるポストの投稿者YASUDAjumpeiはイラクのファルージャで武装組織に拘束されたジャーナリストの安田純平氏。拘束アイドルズ(笑)。かれらはともにフリーランスのジャーナリスト組織「東長崎機関」に所属しています。
togetter 解放された常岡さんが犯人像を語る
ただいま、ドゥバイ空港に到着いたしました。明日の夜、関空経由羽田に帰国する予定です。ご心配くださった皆さま、本当にありがとうございました。
shamilsh
2010-09-06 03:09:02
いくつかのメディアで、「タリバンが誘拐」と、出ているのをみました。犯人はタリバンではありません。クンドゥズのラティブ司令官とタハールのワリーという、現地の腐敗した軍閥集団です。彼らはタリバンになりすまして日本政府をゆすっていました。
shamilsh
2010-09-06 03:15:34
「アフガン当局がタリバンと断定」してるので、日本メディアもそのまま書いてるケースが多いみたいです。軍閥ラティブはカルザイの顧問サバアウン大臣の、ヒズビ・イスラミ内の部下に当たり、カブールに事務所も持って、政府の人間として堂々と暮らしている人物なので、アフガン当局は事実を発表するは
shamilsh
2010-09-06 05:16:38
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一昨日の夜、作業をやめて床に入る前にyahooニュースを開けてみたところ、今年3月末にアフガニスタンで取材中に「タリバン」に拘束されて、以来ずっと捕捉されていたジャーナリストの常岡さんが解放され、帰国の途上にあるとの記事がポストされていた。常岡さんのウェブ日記を読むと以下のように記されていた。
2010/09/06 (月) 07:08:54 ありがとうございました
4月1日から157日間にわたって、クンドゥズ州などを支配している
軍閥ラティブのグループに拘束されていましたが、4日に無事解放されました。
(中略)
現在、ドゥバイの空港で関空行きのエミレーツ航空を待っています。
関空で乗り継いで、今夜羽田へ帰る予定です。
(以下略)
常岡さんには数年前に東京でお会いしていて、チェチェン支援の集会の打ち上げで少し話したことがある。かれはムスリムなのでお酒は飲まないが、みんなが飲んでいる席に長時間いて違和感がないほどリラックスした人柄だった。チェチェンを取材するジャーナリストは世間の関心も低い中で選んでそうしているせいもあって、単なるジャーナリストというより自然に活動家的な色を帯びてくる。しかし、常岡さんはそういう固い部分が非常に少なく(ほとんどまったくなく)、いい意味で軟派であり(つまり、けっこうおおちゃらけでラブリーで)、かえって信用できるように思った。
かれは以前にも取材中にあっちこっちで武装集団に拘束されていて拘束者と行動を共にしていたことがあったので、今度もきっと生きてかえってくるに違いないと信じてはいた。しかし、拘束が長期化し、つい最近もイギリス人の若い女医を含むクリスチャン支援団体の医療チームが「タリバン」を名乗る武装集団に処刑された事件があったりしたので、かれを拘束しているのが誰かによってはそう安心してもいられないのかもしれないと考えたりしていた。ラマダンが始まってから一度か二度、かれの日記を訪問して何も更新されていないのを確認した。
ところが、9月になって突然、かれも所属する(一見軟派な、実際にも軟派な?)ジャーナリスト集団「東長崎機関」のウェブサイトに「獄中からのTwitter」が掲載された。Twitterの画面がキャプチャされていて、「刑務所収監されていながらも、ツィッターで自分の生存を世界発信した常岡浩介。2010年9月3日夜に話題沸騰となってる、獄中ツィッター。」のキャプション付き。Twitter2通は英文タイプで「クンドゥズのラティブ司令官に拘束されている」件と「捕まってるけどまだ生きてます」の2件。
***
そんなわけで、無事解放されたかれだが、まだ帰国する前からtwitterを使い、さっそく日本政府に都合の悪いことを発言し始めているようだ。日本政府ばかりか、カルザイのアフガン政府の後ろ盾となっているすべての支援者にとって不都合な事実だ。日本のメディアがどこまでこの情報を伝えるかわからないが、インターネットがある限り、(モバイル環境に強い)話したい人を黙らせておくのは非常にむずかしい。
わたしはまだtwitterを導入していないので(登録してもフォローし切れそうもないし、同じ理由でfacebookにすら登録していない。化石と呼んでください)直接つぶやきを読むことはできませんが、つぶやきおまとめサイトtogtterにまとめられている「つぶやきs/2010-09-06 10:05:52までのポスト」を以下に貼付けておきます。
以下、shamilshは常岡さんのつぶやき名(ムスリム名がshamil)、2010-09-06 10:05:52のスタンプのあるポストの投稿者YASUDAjumpeiはイラクのファルージャで武装組織に拘束されたジャーナリストの安田純平氏。拘束アイドルズ(笑)。かれらはともにフリーランスのジャーナリスト組織「東長崎機関」に所属しています。
togetter 解放された常岡さんが犯人像を語る
ただいま、ドゥバイ空港に到着いたしました。明日の夜、関空経由羽田に帰国する予定です。ご心配くださった皆さま、本当にありがとうございました。
shamilsh
2010-09-06 03:09:02
いくつかのメディアで、「タリバンが誘拐」と、出ているのをみました。犯人はタリバンではありません。クンドゥズのラティブ司令官とタハールのワリーという、現地の腐敗した軍閥集団です。彼らはタリバンになりすまして日本政府をゆすっていました。
shamilsh
2010-09-06 03:15:34
「アフガン当局がタリバンと断定」してるので、日本メディアもそのまま書いてるケースが多いみたいです。軍閥ラティブはカルザイの顧問サバアウン大臣の、ヒズビ・イスラミ内の部下に当たり、カブールに事務所も持って、政府の人間として堂々と暮らしている人物なので、アフガン当局は事実を発表するは
shamilsh
2010-09-06 05:16:38
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2010年07月31日
「在沖縄海兵隊は冷戦の遺物」と米民主党重鎮が公に発言
在沖米海兵隊 広がる不要論 下院の重鎮「冷戦の遺物」
2010年7月16日 琉球新報
在沖米海兵隊の不要論が最近、米国内で急速にわき上がっている。米民主党の重鎮で、政府に影響力を持つバーニー・フランク下院歳出委員長が「米国が世界の警察だという見解は冷戦の遺物であり、時代遅れだ。沖縄に海兵隊がいる必要はない」と公に訴えたことがきっかけだ。同氏らの意見が反響を呼び、メディアも大々的に取り上げている。背景にあるのは深刻な財政赤字。リーマン・ショック以降、不況で生活に苦しむ国民の不満が、膨大な軍事費に向き始めている。米軍の戦略見直しと財政再建の必要性が合わさり、海外駐留米軍の撤退を求める声は拡大する様相を見せている。
ことの発端は今月6日。与党フランク氏と野党ロン・ポール氏の両下院議員が、米国の有力サイト「ハフィントン・ポスト」に寄せた論文だ。「なぜわれわれは軍事費を削減しなければならないのか」と題し、2010年度の軍事費6930億ドル(約61兆円)は歳出全体の42%にも上り、経済活動や国民生活を圧迫していると説明。米国が超大国として他国に関与することが、逆に反米感情を生み出している側面も指摘した。(後略)
***
フランク米下院議員、沖縄の米海兵隊の撤退を主張
2010年7月12日 JAPAN REALTIME (THE WALL STREET JOURNAL 日本版)
普天間基地の県外・国外移設を望む沖縄の人々にとって強力な助っ人が新たに現れた。米民主党のベテラン議員、バーニー・フランク下院議員だ。
名前のごとく歯に衣着せぬ発言で有名なフランク議員は、米議会の中でも発言が最も注目される政治家の1人だが、先週のトークショーで普天間基地問題について物議を醸す発言をした。フランク議員は7月8日のMSNBCの番組“モーニング・ジョー”で「私が(海兵隊が駐留する普天間基地について)話をした人のほとんどが、アメリカの海兵隊はジョン・ウェインが亡くなったころに沖縄から撤退していたと思っていたみたいだ」と往年のハリウッドスターの名前を交えながら語り、「海兵隊がいまだに沖縄にいる意味が私にはよく分からないね」と話した。(後略)
2010年7月16日 琉球新報
在沖米海兵隊の不要論が最近、米国内で急速にわき上がっている。米民主党の重鎮で、政府に影響力を持つバーニー・フランク下院歳出委員長が「米国が世界の警察だという見解は冷戦の遺物であり、時代遅れだ。沖縄に海兵隊がいる必要はない」と公に訴えたことがきっかけだ。同氏らの意見が反響を呼び、メディアも大々的に取り上げている。背景にあるのは深刻な財政赤字。リーマン・ショック以降、不況で生活に苦しむ国民の不満が、膨大な軍事費に向き始めている。米軍の戦略見直しと財政再建の必要性が合わさり、海外駐留米軍の撤退を求める声は拡大する様相を見せている。
ことの発端は今月6日。与党フランク氏と野党ロン・ポール氏の両下院議員が、米国の有力サイト「ハフィントン・ポスト」に寄せた論文だ。「なぜわれわれは軍事費を削減しなければならないのか」と題し、2010年度の軍事費6930億ドル(約61兆円)は歳出全体の42%にも上り、経済活動や国民生活を圧迫していると説明。米国が超大国として他国に関与することが、逆に反米感情を生み出している側面も指摘した。(後略)
***
フランク米下院議員、沖縄の米海兵隊の撤退を主張
2010年7月12日 JAPAN REALTIME (THE WALL STREET JOURNAL 日本版)
普天間基地の県外・国外移設を望む沖縄の人々にとって強力な助っ人が新たに現れた。米民主党のベテラン議員、バーニー・フランク下院議員だ。
名前のごとく歯に衣着せぬ発言で有名なフランク議員は、米議会の中でも発言が最も注目される政治家の1人だが、先週のトークショーで普天間基地問題について物議を醸す発言をした。フランク議員は7月8日のMSNBCの番組“モーニング・ジョー”で「私が(海兵隊が駐留する普天間基地について)話をした人のほとんどが、アメリカの海兵隊はジョン・ウェインが亡くなったころに沖縄から撤退していたと思っていたみたいだ」と往年のハリウッドスターの名前を交えながら語り、「海兵隊がいまだに沖縄にいる意味が私にはよく分からないね」と話した。(後略)
2010年06月20日
ガザ自由船団の目撃者ーーカナダ人乗組員の証言
転送・転載歓迎。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 以下転送 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
Subject: [CML 004597] ガザ自由船団の目撃者
From: "Ken Masuoka"
Date: 2010/06/19 8:16
To: 市民のML
CMLの皆様:
益岡@東ティモール全国協議会と申します。マビ・マルマラに乗っていたカナダ人のお話をざっと日本語にしましたので紹介いたします。ウェブでは、
http://trans-aid.jp/
http://jca.apc.org/~kmasuoka/
にアップします。
マビ・マルマラに対するイスラエル軍の攻撃の目撃者
デーブ・リンドルフ
http://www.thiscantbehappening.net/node/101
2010年6月15日(火)
ブリティッシュコロンビア州ビクトリアのケビン・ネイシュは、イスタンブールからオタワへ向かう飛行機に乗り込もうとするときまで自分が有名人になったことを知らなかった。「美しい服を着たアラブ人女性が私のところに駆け寄ってきて叫んだのです。『あなただ! アラブのTVで見ました! 誰もが知っています!』」。ネイシュはそのときのことを笑い声で説明する。「何を話しているかわかりませんでしたが、彼女は『イスラエル奇襲部隊の本を眺めているあなたを見ました! 何度も何度も放送されています!』」。
落ち着いた口調の教師で、カナダ国防省の文民技師をしていたこともあるネイシュは、それでようやく、イスラエル軍がガザへ向かう自由船団を攻撃している最中にアラブのTVカメラマンが撮影したブックレットを眺めている彼の姿が、船団からの電子信号をイスラエルが妨害する前に送信されたことを知った。乗っていた人々全員の写真と経歴が掲載されていたそのブックレットは、ネイシュがイスラエル軍奇襲部隊員のバックパックから見つけたものだった。
5月31日早朝まだ暗い中でイスラエル軍が着発手榴弾と催涙ガス、銃弾の雨により自由船団の主船、トルコ船籍のマビ・マルマラ号に攻撃を仕掛けてきたとき、53歳のネイシュは、マビ・マルマラ号の第2デッキ----船尾が見渡せるところだった----に乗っていた。彼は第4デッキの吹き抜けに移動し、犠牲者が即席の診療所に運び込まれる光景を目にしながら写真を撮っていた。乗客と乗員に拘束されたイスラエル軍奇襲部隊員数人も彼の横を運ばれていった。
「人々がこのイスラエル軍兵士を下に連れていくのを目にしました」と彼は言う。「兵士はおびえていました。殺されると思っているような様子でした。IDFの発砲で乗客が重傷を負ったのを見て頭に来た大柄なトルコ人がこの兵士を殴ろうとしたとき、トルコ人救援隊員たちが彼を押し止めて壁に押さえつけたのです。イスラエル軍兵士の命を守ったのです」。
この兵士が落としたバックパックにネイシュが気づいたのはそのときだった。「中を見て、何を持っているのか調べようと思いました」とネイシュは話す。「中にはこのブックレットのようなものが入っていました。英語とヘブライ語で船団の全船に乗っている人の写真と名前が書いてあったのです。さらに、マビ・マルマラ号のデッキを詳しく描いた図もありました」。
そうしているうちに、イスラエル軍の攻撃で撃たれた人々、死にかけている人々、すでに死んだ人々が上から階段で次々と運ばれてきた。「自分のカメラで死者と負傷者の写真を丁寧に撮りました」と彼は言う。「側頭部に二つの弾痕がきれいに並んで開いた状態の遺体が数体ありました----彼らが処刑されたことは明らかでした」。
ネイシュは船上で拘束され数日間イスラエルで投獄されていたが、写真をイスラエルからトルコに持ち出すことに成功した。「メモリーカードを取り出してから、カメラをはじめ電気電子製品はすべてイスラエル軍に渡しました。チップはあちこち場所を変えてかくして見つからないようにしました」と彼は言う。「イスラエル軍はカメラとコンピュータをすべて没収しました。叩き壊したものも持ち去ったものもあります。チップは舌の裏にかくしたり、尻や靴下など色々なところに隠して見つからないようにしたのです」。結局、チップはトルコ航空で帰国することになったトルコ人に渡すことができた。メモリーカードは「自由ガザ」という組織の手に渡り、写真の一部が公開されたことを確認したという。つまり、写真をうまく持ち出すことができたことがわかったのである。
イスラエル軍奇襲部隊は武器としてペイントガンと9ミリピストルしか持っていなかったというイスラエルの主張は「まったくでたらめだ」と話す。「階段の吹き抜けにいたとき、奇襲部隊兵士が上のハッチを持ち上げて機関銃を突っ込み、撃ち始めました。銃弾が一面に跳ね返りました。兵士が覗き込んで中を確認していたら、私の命はなかったでしょう。けれども吹き抜けにいたトルコ人2人が救命ボートのアクセスポイントから持ってきた短い鎖を持っていて、ハッチの脇に立ち、機関銃の銃身に鎖を叩きつけたのです。兵士を叩こうと
したのか機関銃を取ろうとしたのかはわかりませんが、イスラエル軍兵士が身を引いたので、ハッチを閉じて鍵を締めたのです。
「ペイントガンなんか一つも見ませんでした。ペイントボールもどこにもありませんでした」。
乗客の中で銃を持っていた人も一人も見なかったと彼は言う。「私はずっと船の中にいましたが、乗員や援助職員が武器を持っていたこはまったくありません」と彼は言う。実は、ネイシュは当初、チャレンジャーII という名の、より小さな70フィートのヨットに乗っていたのだが、キプロスに立ち寄ったときにマビ・マルマラに移った経緯があった。イスラエルの工作員がチャレンジャーIIに細工をしたため(イスラエル政府はのちにこれを認めた)、チャレンジャーIIが操縦不能になったためであった。「マビ・マルマラに乗るときには身体検査を受けましたし、武器がないかどうか手荷物も調べられました」と彼は言う。「私は技師ですので、ポケットナイフを持っていましたが、検査員はそれを取り上げ、海に投げ込みました。今回の航海では乗客はどんな武器を持つことも認められなかったのです。この点については細心の注意を払っていました」。
イスラエル軍の攻撃の際に彼が目にしたのは弾傷だった。「殺された数人をこの目で見ましたし、数十人のけが人も見ました。胸に大きな穴を開けた年嵩の人が壁にもたれていました。私が写真を撮っている間に彼は死にました」。
殺されたことが確認されている9人のほとんどを自分の目で見ているし、負傷者40人の大部分も見たとネイシュは言う。「それほど重い怪我ではないけが人は、さらにたくさんいました。イスラエルの監獄で、ナイフ傷を負ったり骨を折っていた人々に会いました。中には、連れ出されて一人になるのがいやで怪我を隠している人々もいました」。「当初、乗っていた人々のうち16人が殺されたという報道がありました。船の診療所は16人と言っていました。海に投げ捨てられた遺体がある恐れもあります。けれども、今では、行方のわからない7人については、家族からも何の連絡もないので、イスラエルのスパイではなかったかと人々は思い始めています」。
イスラエル軍はマビ・マルマラを制圧したのち、乗客と乗員を集めて、男たちをデッキの一カ所に、女たちを別の場所に集めた。 男たちは座るよう命令され、プラスチックの手錠を掛けられた。ネイシュによると、あまりにきつく縛られたので、手首は切れ、手は紫に
腫れ上がったという(それにより彼の手の神経は今も傷ついているが、カナダの医師は、少しずつそのまま回復するだろうと言っている)。
「兵士は私たちに黙るよう言いました」。「ところが、途中でトルコ人のイマームが立ち上がり、 アザーンを歌い始めたのです。誰もが静まり返っていました----イスラエル兵もです。けれども、10秒くらいして、イスラエル軍士官が座っている人を踏みつけて走りより、ピストルを取り出してイマームの頭に突きつけ、英語で「黙れ!」と叫びました。イマームは彼をまっすぐ見つめて歌い続けたのです! ジーザス、彼は殺される、と思いました。それから、多分私がここにいたのも何かの縁だろうと思って、立ち上がりました。くだんの士官は振り向いて、今度は私の頭に銃を突きつけました。そのときイマームは歌を終えて座り、私も座ったのです」。
イスラエル軍に乗っ取られた船団がイスラエルの港アシュドットに向かう中、捕虜にされた人々には食事も水も与えられなかった。「与えられたものといえば、船倉からイスラエル軍が盗み出したチョコレートバーだけでした」とネイシュは言う。「トイレに行くために
懇願しなくてはならず、ズボンに出さざるを得なかった人もたくさんいました」。
イスラエルの監獄に移されてからも、状況はさほど改善されなかった。ネイシュと、一緒に捕虜になった人々は、半日以上何も食べていなかったが、凍ったパンの塊とキュウリを投げ込まれただけだという。
2日目に、カナダ大使館の職員がやってきて、ネイシュの名前を呼んだ。「監房を一つ一つ回って私を探していたのです」とネイシュは言う。「娘がカナダ政府に、私が船団に乗っていたことを必死になって訴えていました。イスラエルは、私の名前を把握してどこにいるかも知っていたのですが、カナダ大使館の職員に教えなかったのです。大使館職員も、そして娘も、私が殺されたと思っていたようです。最初に攻撃された場所の近くにいたという話が伝わっていたためです。よかったことといえば、私の名前を呼んで回っているときに、大使館職員は、偶然、そこにいることを把握していなかったアラブ生まれのカナダ人2人も見つけ出せたことです」。
「職員がついに私の監房にやってきたので、私は返事をしました。『ケビンですか? 死んだと聞いていたのですが』と職員は言いました」。
数日間拘束されたのち、今度は大慌てで全員がベングリオン空港に移され、トルコ行きの飛行機に載せられた。「イスラエルの弁護士たちが、公海上で私たちを拘留したのは不法であると私たちのケースを最高裁に訴えていたことがわかりました。最高裁がイスラエル軍に、私たちを船に戻して船を行かせるよう命ずる可能性があったので、イスラエル政府は私たちをすぐにイスラエルから追い出して訴えの意味をなくそうとしたのです。けれども、おそらくはモサド(イスラエルの諜報機関)に連れ去られた人が2人いました。ですから、私たちは『2人を戻すまでは私たちもここを動かない』と言ったのです」。
2人は戻され、他の人々と一緒にイスラエル国外に出ることを許された。
「正直、イスラエル軍が船に乗り込んでくるとは全然思っていませんでした」とネイシュは話す。「ガザに行けると思っていたのです。自由ガザ運動の一環でしたし、運動はこれまでも何度か援助を試み、うまくいったり妨害されたりしましたが、今回は大船団でした。止められて捜索を受けるかもしれないとは思っていました。最初に乗っていたチャレンジャーII号には、ドイツの国会議員3人とアン・ライト中佐というお偉方、それに私が乗っていただけです」。
イスラエルの監獄にいたとき、恐らくはイラクやアフガニスタンで軍務に就いている多くの米兵よりもたくさんの死者と惨劇を目撃しただろうネイシュは、暴力の記憶に耐えられなくなった。「取り乱して、泣き出しました」。「体の大きなトルコ人がやってきて、『どうした?』と聞いてきました。『16人もが殺されたんだ』と答えました」。
「『すばらしい大義のために命を落としたんだ。満足しているに違いない。あなたは戻ったら、見たことを伝えればよい』。彼はこう言ったのです」。
【元記事の独立系サイトでは運営資金の援助も募集して
います。 http://www.thiscantbehappening.net/supportus 】
〜ここまで〜
*誤字を訂正し(公開→公海)、改行に手を加えました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 以下転送 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
Subject: [CML 004597] ガザ自由船団の目撃者
From: "Ken Masuoka"
Date: 2010/06/19 8:16
To: 市民のML
CMLの皆様:
益岡@東ティモール全国協議会と申します。マビ・マルマラに乗っていたカナダ人のお話をざっと日本語にしましたので紹介いたします。ウェブでは、
http://trans-aid.jp/
http://jca.apc.org/~kmasuoka/
にアップします。
マビ・マルマラに対するイスラエル軍の攻撃の目撃者
デーブ・リンドルフ
http://www.thiscantbehappening.net/node/101
2010年6月15日(火)
ブリティッシュコロンビア州ビクトリアのケビン・ネイシュは、イスタンブールからオタワへ向かう飛行機に乗り込もうとするときまで自分が有名人になったことを知らなかった。「美しい服を着たアラブ人女性が私のところに駆け寄ってきて叫んだのです。『あなただ! アラブのTVで見ました! 誰もが知っています!』」。ネイシュはそのときのことを笑い声で説明する。「何を話しているかわかりませんでしたが、彼女は『イスラエル奇襲部隊の本を眺めているあなたを見ました! 何度も何度も放送されています!』」。
落ち着いた口調の教師で、カナダ国防省の文民技師をしていたこともあるネイシュは、それでようやく、イスラエル軍がガザへ向かう自由船団を攻撃している最中にアラブのTVカメラマンが撮影したブックレットを眺めている彼の姿が、船団からの電子信号をイスラエルが妨害する前に送信されたことを知った。乗っていた人々全員の写真と経歴が掲載されていたそのブックレットは、ネイシュがイスラエル軍奇襲部隊員のバックパックから見つけたものだった。
5月31日早朝まだ暗い中でイスラエル軍が着発手榴弾と催涙ガス、銃弾の雨により自由船団の主船、トルコ船籍のマビ・マルマラ号に攻撃を仕掛けてきたとき、53歳のネイシュは、マビ・マルマラ号の第2デッキ----船尾が見渡せるところだった----に乗っていた。彼は第4デッキの吹き抜けに移動し、犠牲者が即席の診療所に運び込まれる光景を目にしながら写真を撮っていた。乗客と乗員に拘束されたイスラエル軍奇襲部隊員数人も彼の横を運ばれていった。
「人々がこのイスラエル軍兵士を下に連れていくのを目にしました」と彼は言う。「兵士はおびえていました。殺されると思っているような様子でした。IDFの発砲で乗客が重傷を負ったのを見て頭に来た大柄なトルコ人がこの兵士を殴ろうとしたとき、トルコ人救援隊員たちが彼を押し止めて壁に押さえつけたのです。イスラエル軍兵士の命を守ったのです」。
この兵士が落としたバックパックにネイシュが気づいたのはそのときだった。「中を見て、何を持っているのか調べようと思いました」とネイシュは話す。「中にはこのブックレットのようなものが入っていました。英語とヘブライ語で船団の全船に乗っている人の写真と名前が書いてあったのです。さらに、マビ・マルマラ号のデッキを詳しく描いた図もありました」。
そうしているうちに、イスラエル軍の攻撃で撃たれた人々、死にかけている人々、すでに死んだ人々が上から階段で次々と運ばれてきた。「自分のカメラで死者と負傷者の写真を丁寧に撮りました」と彼は言う。「側頭部に二つの弾痕がきれいに並んで開いた状態の遺体が数体ありました----彼らが処刑されたことは明らかでした」。
ネイシュは船上で拘束され数日間イスラエルで投獄されていたが、写真をイスラエルからトルコに持ち出すことに成功した。「メモリーカードを取り出してから、カメラをはじめ電気電子製品はすべてイスラエル軍に渡しました。チップはあちこち場所を変えてかくして見つからないようにしました」と彼は言う。「イスラエル軍はカメラとコンピュータをすべて没収しました。叩き壊したものも持ち去ったものもあります。チップは舌の裏にかくしたり、尻や靴下など色々なところに隠して見つからないようにしたのです」。結局、チップはトルコ航空で帰国することになったトルコ人に渡すことができた。メモリーカードは「自由ガザ」という組織の手に渡り、写真の一部が公開されたことを確認したという。つまり、写真をうまく持ち出すことができたことがわかったのである。
イスラエル軍奇襲部隊は武器としてペイントガンと9ミリピストルしか持っていなかったというイスラエルの主張は「まったくでたらめだ」と話す。「階段の吹き抜けにいたとき、奇襲部隊兵士が上のハッチを持ち上げて機関銃を突っ込み、撃ち始めました。銃弾が一面に跳ね返りました。兵士が覗き込んで中を確認していたら、私の命はなかったでしょう。けれども吹き抜けにいたトルコ人2人が救命ボートのアクセスポイントから持ってきた短い鎖を持っていて、ハッチの脇に立ち、機関銃の銃身に鎖を叩きつけたのです。兵士を叩こうと
したのか機関銃を取ろうとしたのかはわかりませんが、イスラエル軍兵士が身を引いたので、ハッチを閉じて鍵を締めたのです。
「ペイントガンなんか一つも見ませんでした。ペイントボールもどこにもありませんでした」。
乗客の中で銃を持っていた人も一人も見なかったと彼は言う。「私はずっと船の中にいましたが、乗員や援助職員が武器を持っていたこはまったくありません」と彼は言う。実は、ネイシュは当初、チャレンジャーII という名の、より小さな70フィートのヨットに乗っていたのだが、キプロスに立ち寄ったときにマビ・マルマラに移った経緯があった。イスラエルの工作員がチャレンジャーIIに細工をしたため(イスラエル政府はのちにこれを認めた)、チャレンジャーIIが操縦不能になったためであった。「マビ・マルマラに乗るときには身体検査を受けましたし、武器がないかどうか手荷物も調べられました」と彼は言う。「私は技師ですので、ポケットナイフを持っていましたが、検査員はそれを取り上げ、海に投げ込みました。今回の航海では乗客はどんな武器を持つことも認められなかったのです。この点については細心の注意を払っていました」。
イスラエル軍の攻撃の際に彼が目にしたのは弾傷だった。「殺された数人をこの目で見ましたし、数十人のけが人も見ました。胸に大きな穴を開けた年嵩の人が壁にもたれていました。私が写真を撮っている間に彼は死にました」。
殺されたことが確認されている9人のほとんどを自分の目で見ているし、負傷者40人の大部分も見たとネイシュは言う。「それほど重い怪我ではないけが人は、さらにたくさんいました。イスラエルの監獄で、ナイフ傷を負ったり骨を折っていた人々に会いました。中には、連れ出されて一人になるのがいやで怪我を隠している人々もいました」。「当初、乗っていた人々のうち16人が殺されたという報道がありました。船の診療所は16人と言っていました。海に投げ捨てられた遺体がある恐れもあります。けれども、今では、行方のわからない7人については、家族からも何の連絡もないので、イスラエルのスパイではなかったかと人々は思い始めています」。
イスラエル軍はマビ・マルマラを制圧したのち、乗客と乗員を集めて、男たちをデッキの一カ所に、女たちを別の場所に集めた。 男たちは座るよう命令され、プラスチックの手錠を掛けられた。ネイシュによると、あまりにきつく縛られたので、手首は切れ、手は紫に
腫れ上がったという(それにより彼の手の神経は今も傷ついているが、カナダの医師は、少しずつそのまま回復するだろうと言っている)。
「兵士は私たちに黙るよう言いました」。「ところが、途中でトルコ人のイマームが立ち上がり、 アザーンを歌い始めたのです。誰もが静まり返っていました----イスラエル兵もです。けれども、10秒くらいして、イスラエル軍士官が座っている人を踏みつけて走りより、ピストルを取り出してイマームの頭に突きつけ、英語で「黙れ!」と叫びました。イマームは彼をまっすぐ見つめて歌い続けたのです! ジーザス、彼は殺される、と思いました。それから、多分私がここにいたのも何かの縁だろうと思って、立ち上がりました。くだんの士官は振り向いて、今度は私の頭に銃を突きつけました。そのときイマームは歌を終えて座り、私も座ったのです」。
イスラエル軍に乗っ取られた船団がイスラエルの港アシュドットに向かう中、捕虜にされた人々には食事も水も与えられなかった。「与えられたものといえば、船倉からイスラエル軍が盗み出したチョコレートバーだけでした」とネイシュは言う。「トイレに行くために
懇願しなくてはならず、ズボンに出さざるを得なかった人もたくさんいました」。
イスラエルの監獄に移されてからも、状況はさほど改善されなかった。ネイシュと、一緒に捕虜になった人々は、半日以上何も食べていなかったが、凍ったパンの塊とキュウリを投げ込まれただけだという。
2日目に、カナダ大使館の職員がやってきて、ネイシュの名前を呼んだ。「監房を一つ一つ回って私を探していたのです」とネイシュは言う。「娘がカナダ政府に、私が船団に乗っていたことを必死になって訴えていました。イスラエルは、私の名前を把握してどこにいるかも知っていたのですが、カナダ大使館の職員に教えなかったのです。大使館職員も、そして娘も、私が殺されたと思っていたようです。最初に攻撃された場所の近くにいたという話が伝わっていたためです。よかったことといえば、私の名前を呼んで回っているときに、大使館職員は、偶然、そこにいることを把握していなかったアラブ生まれのカナダ人2人も見つけ出せたことです」。
「職員がついに私の監房にやってきたので、私は返事をしました。『ケビンですか? 死んだと聞いていたのですが』と職員は言いました」。
数日間拘束されたのち、今度は大慌てで全員がベングリオン空港に移され、トルコ行きの飛行機に載せられた。「イスラエルの弁護士たちが、公海上で私たちを拘留したのは不法であると私たちのケースを最高裁に訴えていたことがわかりました。最高裁がイスラエル軍に、私たちを船に戻して船を行かせるよう命ずる可能性があったので、イスラエル政府は私たちをすぐにイスラエルから追い出して訴えの意味をなくそうとしたのです。けれども、おそらくはモサド(イスラエルの諜報機関)に連れ去られた人が2人いました。ですから、私たちは『2人を戻すまでは私たちもここを動かない』と言ったのです」。
2人は戻され、他の人々と一緒にイスラエル国外に出ることを許された。
「正直、イスラエル軍が船に乗り込んでくるとは全然思っていませんでした」とネイシュは話す。「ガザに行けると思っていたのです。自由ガザ運動の一環でしたし、運動はこれまでも何度か援助を試み、うまくいったり妨害されたりしましたが、今回は大船団でした。止められて捜索を受けるかもしれないとは思っていました。最初に乗っていたチャレンジャーII号には、ドイツの国会議員3人とアン・ライト中佐というお偉方、それに私が乗っていただけです」。
イスラエルの監獄にいたとき、恐らくはイラクやアフガニスタンで軍務に就いている多くの米兵よりもたくさんの死者と惨劇を目撃しただろうネイシュは、暴力の記憶に耐えられなくなった。「取り乱して、泣き出しました」。「体の大きなトルコ人がやってきて、『どうした?』と聞いてきました。『16人もが殺されたんだ』と答えました」。
「『すばらしい大義のために命を落としたんだ。満足しているに違いない。あなたは戻ったら、見たことを伝えればよい』。彼はこう言ったのです」。
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います。 http://www.thiscantbehappening.net/supportus 】
〜ここまで〜
*誤字を訂正し(公開→公海)、改行に手を加えました。
ラベル:イスラエル軍が支援船を急襲 パレスチナ

