と言うか、イギリスだからそう感じるのかもしれない。なにしろ、この国は第二次大戦中のプロパガンダ映画でさえ、「うちはこことここ弱いから、なんとかしないといけない」と言って国民を鼓舞した前歴がある(それで士気を高める効果があるかどうかは不明だが)。植民地が続々と独立したときも、過日を懐かしむどころか、「これからは海外領土なしで自力でやっていかなければなりません」と小中学校の社会科で教えていたぐらいだ。
そんなわけで、リビアの民衆蜂起に際しても、キャメロン内閣ののん気ぶりや、のん気転じてのおたおたぶりはつぶさに報じられていたし、やる気満々のサルコジに比べてオバマの腰の引けた態度も丸見えだった。
つまり、チュニジアやエジプトの民衆蜂起もリビアのそれも「欧米政府」が裏で画策した事実などありそうにないことは、普通にニュースを追っていればだれでもわかった。最初からわかったわけではないが、1年足らずのあいだに3度も起きれば(継続中のものはまだたくさんあるし)誤解しようがない。サンやデイリーメイル(どちらも右翼の大衆紙、イギリスで1位と2位の発行部数)の読者だってそんな幻想は持っていないだろう(確認はしてませんが)。
にもかかわらず、日本では(ネット言論をみる限り)、アラブの春は欧米(アメリカ、あるいはユダヤ資本)が仕組んだという陰謀論がけっこうな幅をきかせているみたいだ。首相になるとすぐにアメリカのご挨拶に行ったりとか、政治家のへなちょこぶりが顕著だからか、日本におけるアメリカの巨人ぶり(巨大であるという刷り込み)はなかなか払拭されない。
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[知恵袋]への回答 2011-10-25
<カダフィ大佐が殺害された理由は
西側諸国から反発を受けていたからでしょうか?
アメリカの介入は石油利権を得るためですか?>
カダフィが殺されるように欧米が仕組んだ事実はないと思います。だた、反乱軍によって捕獲されればどっちみち殺されるのは目に見えてましたから、殺害に手を貸したとは言えるかもしれません。
だからと言って、カダフィが欧米に反感を持たれていたからというわけではなく(反感はずっと持たれてましたから)、もし動機を探すとすれば、国際刑事裁判所の証言台で公にされたくないことがあったからではないかと想像されます。下手な事をしゃべり出す前に、NATOの攻撃時に死んでくれれば事は簡単だとは考えていたでしょう。ダークな裏取引がいろいろあったみたいですから。
もともとアメリカはリビア戦に参加する気はなかったと思いますよ。アメリカのみならずEUも同様に。カダフィのリビアは核放棄を条件にとっくに「ならず者国家」の烙印から解き放たれてましたし、欧米諸国とロシア、中国は欲しい物(石油)をすでに手に入れていましたから。
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