2012年06月09日

[たんぽぽ舎]使用済み燃料は危険だが運転中の原発とは比べものにならない

[地震と原発事故情報]2012年6月4日(月)〜2012年6月9日(土)抜粋

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たんぽぽ舎です。【TMM:No1476】
2012年6月4日(月) 地震と原発事故情報−6つの情報をお知らせします
                         転送歓迎
━━━━━━━
★1.日本全土のすべての原発を即時廃炉にできる重大な根拠を示します
   6/7ustream放送に、広瀬隆さんが生出演
★2.原発ゼロでも「なんとかなる」
   再稼働問題で管直人前首相語る

★3.情報上がらず手詰まり 「最も安全なのは脱原発」
   管前首相 国会事故調での聴取

★4.メールマガジン読者からの投稿
   −福井県周辺で大地震はおきないと断言できますか?
★5.<テント日誌6/1(金)
   ―経産省前テントひろば265日目 稼働原発ゼロ27日目>
   官邸前 2700名の怒りの再稼働やめろ!コールがとどろく
   6・3福井緊急行動へ バスツアーのお知らせ
★6.<テント日誌6/2(土)
   ―経産省前テントひろば266日目 稼働原発ゼロ28日目>
   緊急福井現地行動ツアー!東京から25名参加
   東京から届け!再稼働阻止の声
━━━━━━━

(中略)

┏┓
┗■2.原発ゼロでも「なんとかなる」
 |  再稼働問題で管直人前首相語る
 └────(デーリー東北6月3日より)

 管直人前首相は2日、静岡県湖西市内で講演し、原発再稼働問題に関し「場合
によっては国民もかなり我慢しないといけない。しかしそういう気持ちをもって
対応すれば、止まった状態でもこの夏、何とかなると思う」と述べた。
 管氏は「脱原発を進めるかの判断は国政選挙で決め、国民投票に代えて皆さん
の1票で日本の方向を決めるのが重要だ」と述べ、原発問題について各政党が態
度を明確にし、次期衆議院選や来年夏の参院選の争点にすべきだとの認識を表明。
「しばらく動かそうとか止めようとかいう議論もあるが、最終的に原発をやめる
のか、いつやめるのか議論しないといけない」と述べた。
 管氏は「最も安全な原発は脱原発。自分の目の黒いうちに原発を世界からなく
したい」と脱原発を目指す姿勢をあらためて強調。「再生可能エネルギーの普及
は、国内産業や地域の活性化につながる」とも述べた。
 講演のテーマは、首相として中部電力浜岡原発(同県御前崎市)の停止要請を
決断した経緯や将来のエネルギー政策。脱原発と浜岡原発の廃炉を訴える湖西市
の三上元市長の招きを受けた。

┏┓
┗■3.情報上がらず手詰まり 「最も安全なのは脱原発」
 |  管前首相 国会事故調での聴取
 └────(東京新聞5/29より抜粋)

 管直人前首相は二十八日、国会の事故調査委員会に参考人として出席し、東京
電力福島第一原発事故で水素爆発など危機的な状況が続いていた発生当初、経済
産業省原子力安全・保安院や東京電力から「上がってくるべき情報が上がらず、
これでは手の打ちようがないという怖さを感じた」と証言した。事故で国が崩壊
しかねなかったとの認識を示し、「最も安全な原発は脱原発」と訴えた。(中略)
 一方、国が原発再稼働を急ぐ現状に対しては、電力会社を中心とする「原子力
ムラ」が「深刻な反省もないまま、原子力行政の実権を握り続けようとしている」
と指摘。「原発の確実な安全性確保は不可能だ。最も安全な原発(の対策)は、
原発に依存しないこと。脱原発だと思った。野田首相や全ての人にそういう方向
での努力をお願いしたい」と述べた。

※編集部コメント(柳田真)
 管前首相の国会事故調での発言がテレビ、新聞で報道されたがその中で一番大
事なことがほとんど報道されなかった。それは「最も安全なのは脱原発」、「再
稼働急ぐ原子力ムラが深刻な反省もないまま、原子力行政の実権を握り続けてい
る」という発言だ。今後の日本にとって一番核心的なことを話しているのに。し
かし、民主党野田政権の原発再稼働とは反対の内容なだけに、ほぼこの発言は握
りつぶされてほとんど報道されなかったと見られる。テレビ、新聞の大問題点を
今後も追及しよう。

(以下略。メルマガの全文はここに)
http://www.tanpoposya.net/main/index.php?id=1155

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たんぽぽ舎です。【TMM:No1477】
2012年6月5日(火) 地震と原発事故情報
                               転送歓迎
━━━━━━━
★1.再稼働不満で署名提出へ−−安全対策が昔のままの体制
    民主120人超、「慎重に」判断すべきだ(6月5日 東京新聞から)

★2.大飯原発再稼働、「首相が国民に説明を」
    福井知事が同意判断先送り”     (6月5日 東京新聞より)
★3.6月3日、福井集会の報告と感想(名古屋市在住 鈴木成和)
★4.イベントのおさそい(会場:スペースたんぽぽ)
 ◇6月8日(金)19:00〜、原発についてみんなで観ようワンコイン上映会☆
  『世界は恐怖する 死の灰の正体』(日本、1957年)
★5.読者からイベントのおさそい(問い合わせは主催者へお願いします)
 ◇「原発いらない福島の女たち」からの呼びかけ、
  6月7日(木)国会周辺で緊急アクション!ダイ・イン&座り込み
★6.「脱原発杉並宣言」集会の報告      (たんぽぽ舎 杉嶋拓衛)
★7.憲法が泣いている(主権は国民に存する・・・筈なのに)
    原発推進派のやりたい放題・利権かじりつき

         (5月29日 東京新聞「本音のコラム」(鎌田慧さん))
━━━━━━━

┏┓
┗■1.再稼働不満で署名提出へ−−安全対策が昔のままの体制
 │   民主120人超、「慎重に」判断すべきだ
 └────(6月5日 東京新聞から)

関西電力大飯原発3、4号機再稼働問題で、政府に慎重な判断を求める民主党
の国会議員の署名が4日、120人を超えたことが明らかになった。(中略)

署名文は首相宛てで、大飯原発再稼働問題について「今夏は節電等で乗り切る
ことが国民の大部分の考え方」と指摘。党の作業チームがまとめた免震施設の
設置など事故対策が「一つも実現されていない」として、再稼働は慎重にする
ように要請した。(中略)

作業チーム事務局長の川内博史衆院議員は「安全対策は全て福島第一原発事故
以前のままの体制で行われている。住民の安全が確保できない状況で、再稼働
はあり得ない。慎重に判断すべきだ」と主張している。

(中略)

┏┓
┗■7.憲法が泣いている(主権は国民に存する・・・筈なのに)
 │  原発推進派のやりたい放題・利権かじりつき
 └────(5月29日 東京新聞「本音のコラム」(鎌田慧さん))

 検事が証拠を改ざんして冤罪をつくり、バスが一日600キロも走って事故を
起こし、トンネル工事にガス測定器をもたせず大爆発事故。いったい、この国
の安全管理はどうなっているんだ、と叫ぼうとして、気がついた。
 原発事故が起こると、電力会社の社長が「全員撤退する」と政府に通告して
逃げ出そうとし、首相がようやく押し止めた。ところが、いまになって、そん
なこといってません、と口を拭う。

 原発を監督するはずの「安全・保安院」の幹部は、原発推進の人物で固めら
れ、安全対策を検討する原子力安全委員会に圧力をかけた。これまた内閣府の
原子力委員会も原発推進の業界や学者、原発マネーの受益者で独占されている
から、推進ラッパを吹くだけ。
 大被害を尻目に、推進派は利権にかじり付き、失地回復を図っている。原発
の使用済み核燃料の再処理政策を検討する原子力委員会の小委員会は、ちゃっ
かり推進派で占められ、電力業界にお伺いをたてながらの「秘密会議」。燃料
サイクル護持の結論は見えている。
 これほど露骨な利権と腐敗のサイクルが明らかになっても、責任者の内閣は
知らん顔。これは民衆デモで倒される前の、フィリピンやチュニジアやエジプ
トとおなじだ。

 日本は憲法で「主権は国民に存す」「専制と隷従、圧迫と偏狭」を除去する、
と誓っている国なのだ。

(以下略。メルマガの全文はここに)
http://www.tanpoposya.net/main/index.php?id=1156

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たんぽぽ舎です。【TMM:No1478】
2012年6月6日(水) 地震と原発事故情報−4つの情報をお知らせします
                           転送歓迎
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★1.使用済み燃料は確かに危険だが、しかし運転中の原発の危険とは
   比べものにならない。−読者からの質問に答えて−

                      山崎久隆(たんぽぽ舎)
★2.民意力の結集で原発再稼働阻止へ
               (たんぽぽ舎ボランティア 上村)
★3.読者からイベントのおさそい(問い合わせは主催者へお願いします)
  ◇6/18さようなら原発江戸川連絡会・講演会『プロメテウスの罠』
   〜取材記者が語る“原発事故の真実”〜
★4.<テント日誌6/3(日)
   ―経産省前テントひろば267日目 稼働原発ゼロ29日目>
   〜福井と東京、緊張が続く中「再稼働反対」の声を上げ続ける市民〜
━━━━━━━

┏┓
┗■1.使用済み燃料は確かに危険だが、しかし運転中の原発の危険とは
 |  比べものにならない。−読者からの質問に答えて−
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎)

【読者から】−−ニュースで聞きましたが「原発を動かさなくてもすでに
 使用済み核燃料がある以上、危険は同じ」と言って、再稼動を容認する
 意見がやはりあるのですね。これが通るのなら、全国で動かされてしま
 いそうです。
  専門家でない私のような一般人は、だまされてしまいそうです。燃料
 棒の温度の違いも大きいでしょうし、事故時の対処もちがってくるで
 しょうし、本当はかなりのリスクの違いがあるのではないのでしょうか?

 〜〜〜〜〜・〜〜〜〜〜・〜〜〜〜〜
 使用済み燃料は確かに危険です。しかし運転中の原発の危険とは比べものにな
りません。
 原発が動いている時は、まず核分裂反応を止められるかどうかが最初の試練に
なります。
 これに失敗すればチェルノブイリ原発事故になります。あっというまもなく炉
心の放射能が大量放出され、周囲の人々は致死量の放射能を浴びて死に至ります。
その間、対処する時間はほとんど無く、避難も絶望的です。チェルノブイリ原発
事故クラスの事故が起きれば数時間で致死量の放射能が、例えば大飯ならば滋賀、
京都に、東海2ならば東京に、浜岡ならば名古屋に降り注ぐ可能性すらあります。
もちろん気象条件とか風向風速に依存します。

 使用済み燃料プール中の燃料は、それが冷却水に浸かっている限り放射能の大
量放出はありません。また、燃料プールの底が抜けるとか、建屋が倒壊するなど
で燃料が露出する事態になれば直ちに冷却できなくなって破損が始まりますが、
それに至るには時間があります。何の手も打たなければ最悪の事態になるでしょ
うが、そこまで手をこまねくとも思えません。プールが原型をとどめるならば放
水し続ける方法も在ります。放り出される事態になれば、鉛やドロマイトをかぶ
せる方法もあります。チェルノブイリ原発事故は、いわば使用済み燃料が大量放
出された状態と同じです。最初の爆発と火災が収まれば(つまり事故後10日後
には)核燃料からの放射能放出をかなり抑えることが出来ました。
 チェルノブイリ原発事故は動いていたから炉心が爆発したのであり、福島第一
は止まったからかろうじて格納容器は原型を止め、放出量を抑制しています。

 使用済み燃料プールの危険性は、対処の時間を無駄に過ごしたり意味の無い対
策を行ってしまうなどで破局事故になる可能性はありますが、運転中の原発のよ
うに秒単位で破壊されてしまうようなことはありません。
 使用済み燃料プールが現在危険な状態にあるとの警告が、今回のような話に発
展したのかもしれませんが、4号機の危険性は別格であり、他の原発のプールと
は次元の違う状況にあることも付け加えておきます。

(以下略。メルマガの全文はここに)
http://www.tanpoposya.net/main/index.php?id=1157

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たんぽぽ舎です。【TMM:No1479】
2012年6月7日(木) 地震と原発事故情報−5つの情報をお知らせします
                          転送歓迎
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★1.関西電力美浜原発2号機の40年+10年=50年運転の認可…保安院も
   共謀のデタラメぶり
   そのまますんなりと延長申請が認められるわけがない

                   山崎久隆(たんぽぽ舎)
★2.「首相に命を預けた覚えはない」
    脱原発で集結 署名720万筆に
★3.読者からイベントのおさそい
  ◇6/9第3回平和力養成講座
   講師:前田朗「ピースゾーンの思想―人民の平和への権利」
★4.<テント日誌6/4(月)
   ―経産省前テントひろば268日目 稼働原発ゼロ30日目>
   6/7〜9 連日の官邸前行動 1人でも多くの人が官邸前へ!
   6/17福井・全国集会参加バスツアー参加申し込みとカンパが続々と
★5.<テント日誌6/5(火)
   ―経産省前テントひろば269日目 稼働原発ゼロ31日目>
   6日からの連日行動をやり抜こう!
   加藤登紀子さんが6月7日(木)テント来訪予定―午後2時頃
━━━━━━━
┏┓
┗■1.関西電力美浜原発2号機の40年+10年=50年運転の容認…保安院も
 |  共謀のデタラメぶり
 |   そのまますんなりと延長申請が認められるわけがない
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎)

 またあり得ないことが起きてしまった。
 関西電力美浜原発2号機は、今年7月25日に営業運転開始から40年を迎える。
新しい国の方針に従えば、運転は終了するはずだった。細野大臣も「それ以上の
運転を認めるのは例外的」としていたはずだった。ところが新しい法律や規則が
出来る前にいわば「駆け込み」で認可を得てしまえば、一般的に法律は既に旧法
で認可された設備にまでさかのぼらないから、40年+10年、すなわち50年まで使
い続けられるということで、申請を行い、規制当局の保安院も共謀して、この老
朽炉の延命に荷担しようとしている。なんというデタラメぶりだろう。
 もちろん、そのまますんなりと延長申請が認められるわけがない。専門家会合
で審査をするし、そもそもこの原発のストレステストも終わっていない。
 つまり運転を再開できる見通しさえ立っていないのだから、このような申請そ
のものに実質的に意味はない。単に関電の「原発中毒ぶり」が際立つだけだろうに。
 こんな申請をそのまま審査し、妥当などと判定をして専門家会合の意見聴取に
かける保安院も、もはや「終わった」機関だ。
 美浜原発2号機について言えば、関電で最も古い1号機に次いで古い。つまり
2号機が運転を再開するということは美浜1号以外は再起動できることにもなり
かねず、何のための40年規制かということになろう。
 これまでの保安院と関電のやってきたことを見れば、細野大臣がいくら40年
以上は例外と強調しようとも実務ではいくらでも延伸できるということの証明に
他ならない。あとどれだけ担当大臣でいるか分からない人間の言うことなど、こ
の程度の重さしかない。
 今行われている審査を全部止めて、全原発の運転認可を取り消してから「40
年規制」を導入するならば、かなり高いハードルにはなるだろう。
 ずるずると3.11以前の規制や法令をそのまま無批判に適用している保安院
や現政権に原発の安全性を語る資格はない。

(以下略。メルマガの全文はここに)
http://www.tanpoposya.net/main/index.php?id=1158

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たんぽぽ舎です。【TMM:No1480】
2012年6月9日(土) 地震と原発事故情報−3つの情報をお知らせします
                               転送歓迎
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★1.緊急!民主党の議員によびかけよう。−特に署名していない国会議員に
   原発再稼働は危険!事故を防ぐ根拠はない
   民主党国会議員117名の再稼働慎重判断に署名を!
★2.続・美浜2号機運転延長=40年+10年で50年運転の問題
   (6/7発行TMM:No1479の続編)
   美浜2号機の何が問題か〜過去に重大事故を起こした原発
   原子炉等規制法に違反して建っている原発−地震に襲われ
   美浜は崩壊する
   (たんぽぽ舎 山崎久隆)
★3.広がる東電「一時不払い」―デモじゃない「個」の抗議
   福島の被災者訴えがきっかけ
 埼玉の大畑豊さんら活動
━━━━━━━

┏┓
┗■2.続・美浜2号機運転延長=40年+10年で50年運転の問題
 │  (6/7発行TMM:No1479の続編)
 │  美浜2号機の何が問題か〜過去に重大事故を起こした原発
 │  原子炉等規制法に違反して建っている原発−地震に襲われ
 │  美浜は崩壊する
 └────(たんぽぽ舎 山崎久隆)

┏━━━
・美浜原発2号機は、関電にとって同1号機に次いで古い原発だ。
 さらに、この2号機は日本ではじめて営業運転中に重大事故を起こし、環境中
に放射能を放出している。90億ベクレルのヨウ素、希ガス、トリチウムなどや
50トンの放射性廃液だ。これにより市民も多数被曝している。
 福島第一に比べるべくも無い規模だが、この事故の教訓が正しく認識されてい
たら、少なくても福島第一の事故の様相も変わっていたかも知れない。
 教訓化できず同様の事故を繰り返す原発の運転管理のずさんさが白日の下にさ
らされた事故でもある。
┏━━━
・事故
 1991年2月9日、原子炉内の核燃料からの熱を取り出す1次冷却水と、薄い伝
熱管で熱交換するために設置された蒸気発生器で、振動を抑える金具が正常に取
り付けられていなかった伝熱管1本がギロチン破断した。このため一次冷却水は
二次側に漏えいしはじめ、原子炉冷却材喪失事故いわゆるLOCAが発生した。
 この種の事故は加圧水型軽水炉には典型的な過酷事故にいたる過程だった。
 タービン系統内から空気を抜く「空気抽出器」の放射能量が増大したため原子
炉は自動停止したが、その後炉心に水を注入するために緊急炉心冷却装置(EC
CS)が作動したものの、能力不足で冷却剤の補給が十分出来ず、ついに圧力容
器内部の燃料の上に空隙が発生した。
 これはTMI(米国のスリーマイル島原発)事故と同様の経過であり、このまま
水を失い続ければ、TMI事故を再現することになっていた。ところが運転員は、
冷却材が足りないことに気づかず、むしろ一次冷却水が二次側に漏れ続けること
を止めようと、ECCSを切ろうとした。
 このままだと本当にTMI事故の二の舞になっていた。
 誤解の原因は、原子炉圧力容器よりも高い位置に設置されている加圧器の存在
だった。加圧器は大きな円筒形容器で、通常は半分くらい水が入っている。つま
り運転時には水面がある。この加圧器の水位を運転員は見ていたが、水位はまだ
ある程度高い位置を示していて、その下にある圧力容器で空だきが始まったこと
に気づかなかった。
 上部に着いているからといって、必ずしも圧力容器は満水では無いことは、T
MI事故で実証されていた。しかし圧力容器にはとうとう水位計は設置されなか
った。技術的に難しいと、断念してしまった。
 そのため今回もまた、圧力容器の空だきが加圧器水位の影響で見えなかった。
 加圧器につながる配管内部で蒸気が発生し、空だきは進行し、加圧器内には水
がまだ存在するという現象が起きていた。
 圧力容器の圧を抜くための加圧器逃がし弁が、その前の定期検査で元栓を閉じ
るという誤操作をしていたため、開かなかった。
 ECCSは能力が不足し、圧力容器上部に空隙が出来ていたものの、断続的に
冷却水はわずかながら入っていたので、TMI事故にはならなかったが、もし条
件が一つでも異なっていたら、美浜原発2号機は20年以上も前にメルトダウン
をしていたかもしれなかった。
┏━━━
・欠陥蒸気発生器は交換したが・・・
 蒸気発生器は既に交換されている。だから同じことは起きない?
 冗談ではない。プラントとして美浜原発2号機は、そもそも欠陥だらけの原子炉だ。
 二次系には放射能は含まないと決めつけ、外部に上記をそのまま放出する仕組
みになっている。ベントよりも遙かに生の蒸気を外部に放出することから、二次
系の損傷で一次系の冷却材が漏れ出せば直接放射能放出事故にいたる。
 ECCS能力の欠陥も重大だ。原子炉圧力に負けて注水できないことになれば、
TMI事故の道を辿る。
 それをカバーするために加圧器逃がし弁があるのだが、これが開固着する危険
性がある。
 第一、制御棒の挿入は福島第一を考えるまでも無く、内陸直下地震の原発既往
最大加速度として柏崎刈羽原発の1699ガルを採用すれば、間違いなく失格だ。
┏━━━
・これでも審査を通る「審査」とは
 原発の運転認可申請は、旧制度においては10年ごとに2回の更新だった。そ
のうちの1回目が今回の美浜2が保安院により「妥当」とされた申請だった。
 美浜2号のような欠陥原発でさえ「妥当」とされるようなレベルの審査なのだ
から、程度の低さが知れるというもの。しかもこの手続きが「旧制度」になって
ない。4月から規制方法を変えるはずだったのに出来ていない。
 仕組みが出来なければ旧制度のままで通過させて良い。これが今の保安院と経
産省と、原発担当大臣のレベルなのだ。福島第一の教訓などかけらもありはしない。
┏━━━
・いったい何がしたいのか
 ここまで批判をしてきたが、むなしくなるばかりだ。いったい原子力ムラの官
僚達は何をしたいのだ。どう甘く見てもこんな手続きが「通る」わけがない。美
浜2号機はもともと原子力ムラにおいてさえ「廃炉予定」だったはずだ。そうで
なければ廃炉になる原発など一基も無い。
 その廃炉寸前原発を今後10年も動かして良いなどと、審査している姿は、敢
えて言えば哀れとしか思えない。昔から続けてきた仕事を「取り上げられたくな
い」からと、だだっ子のように調査審議をしているふりをする。これら国家公務
員に高額の給与を支払う予算があるのならば、彼らを福島第一原発か福島県内の
災害対策要員に派遣をしてもらいたい。そのほうが遙かにましな仕事が出来るだろう。
┏━━━
 地震に襲われる美浜は崩壊する
 美浜原発は、隣に建つ敦賀や「もんじゅ」と同様、敦賀半島内に走る断層の影
響を強く受ける。今後10年の間にM7を超える大地震に見舞われる恐れは、敦
賀や「もんじゅ」と同じだ。それに対しても、何一つ考えることもなく運転延長
を認めている。
 敦賀と同様、原子炉等規制法に違反して建っている原発だ。なのに運転延長が
認められるというのだから、もはや何も審査していないことになる。
 白木−丹生(しらき−にゅう)断層など彼らの頭の中には存在さえしない。破
砕帯の真上に建つことも考えてもみない。
 こんな体質の関西電力が大飯原発の運転再開をしようとしている。世界に対す
る犯罪行為だ。

┏┓
┗■3.広がる東電「一時不払い」―デモじゃない「個」の抗議
 |  福島の被災者訴えがきっかけ 埼玉の大畑豊さんら活動
 └────

 福島原発事故の原因が分からないまま、来年度から柏崎刈羽原発(新潟県)を
再稼働させる方針を打ち出した東京電力。家庭向け電気料金も平均10.28%値上
げするという。そうした姿勢に疑問を持ち、電気料金の支払いを遅らせて抗議の
意思を示す人たちが増えている。

 このままでは何も変わらない。東電が市民の怒りを感じるような行動をしたい
と思った」 埼玉県志木市のアルバイト大畑豊さん(四八)はそう語る。昨年十
月分以来、料金の全額や一円の支払いを遅らせている。
 昨年九月、東京・霞が関で、福島から東京に避難してきた女性が「賠償もされ
てないのに、電気料金の請求書だけは送られてくる」と訴えている声を聞いた。
「私も何らかの形で、抗議の意思を示さないといけないと考えた」と振り返る。(中略)

 「デモや署名で多くの市民が抗議の声を上げているのに、東電は無視するだけ。
料金の支払いによる抗議なら、集金人が不足分を取りに来た際に直接、訴えられ
る。不足分が一円以下なら延滞利息もかからない。『デモはちょっと・・・』と
思っている人でも、意思を伝えられる」と大畑さん。(中略)
 この抗議活動に対し、東電広報部は「振込用紙に記された、正しい金額を払っ
ていただきたいとお願いしている。抗議は窓口や電話などで受け付けている」と話す。

 実は東電に対する「一時不払い」には三十年以上の歴史がある。オイルショッ
ク(一九七三年)に伴う料金の大幅値上げが発表された際、消費者団体を中心に
一時不払いの動きが広がった。
 この際に「政治家にまでお金を払いたくない」という声も少なくなく、東電は
法人としての政治献金をやめ、役員個人として献金するようになったという経緯
がある。(中略)
 「消費者として納得できないなら、簡単に料金を支払う必要はない。暮らしの
場からなされる意思表示は重い」と富山さんは語る。「一人一人は微力かもしれ
ないが、活動を広げていけば、東電も無視できなくなる。そうしたことの繰り返
しが、世の中を変える大きな力になっていく」(東京新聞6月2日より抜粋)

(メルマガの全文はここに)
http://www.tanpoposya.net/main/index.php?id=1159

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たんぽぽ舎です。【TMM:No1481】
2012年6月9日(土) 地震と原発事故情報−5つの情報をお知らせします
                             転送歓迎
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★1.新たな段階に入った再稼働阻止の闘い
   再稼働反対の民意を生かし、身体を張ってでも阻止しよう
                  (さよなら原発みなと)
★2.確証なき安全宣言−「事故防げる」 根拠どこに
   「大飯再稼働すべき」−首相来週にも決定の予定

★3.原発の再稼働は容認できない
   東電の原発を抱える新潟県知事が怒りの直言

★4.「6・10消費税増税TPP反対 脱原発デモ」
  内閣総理大臣・野田佳彦事務所前
★5.<テント日誌6/6(水)
   ―経産省前テントひろば270日目 稼働原発ゼロ32日目>
   緊迫感増す霞ヶ関周辺 連日再稼働反対の声
   政府は国民の声を聞く気があるのか

━━━━━━━
 ※速報!
 6月9日(土)夜の官邸前ウォークは、雨の中、700人の参加で盛り上がった。
野田首相や枝野経産大臣たちへ「市民からの問責決議文」を提出し、内閣府職員
へ手交した。再稼働を中止させるため、更に闘おう−非暴力直接抵抗で−の熱気
が満ちた行動でした。(柳田 真)
━━━━━━━

┏┓
┗■2.確証なき安全宣言−「事故防げる」 根拠どこに
 |  「大飯再稼働すべき」−首相来週にも決定の予定
 └────

 野田佳彦首相は8日、官邸で記者会見し、関西電力大飯原発3、4号機(福井
県おおい町)に関し、「再稼働すべきだというのが私の判断だ」と表明した。東
京電力福島第一原発事故の原因究明が途上にもかかわらず、首相は夏の電力確保
や原発の継続性を重視。福井県の理解を得る前に最終決断の意思を示す必要があ
ると判断した。国民に広がる安全への不安を解消できないまま、政府は再稼働に
突き進み、来週にも最終決定する。(中略)

 実際の事故のとき、被害をどう最小限に抑えるか、これらを検証する安全評価
(ストレステスト)の二次評価は、関電も含め1社も評価をしていない。
政府は、再稼働を優先し、重要な対策でも時間のかかるものは先送りを認めた。
まずは免震施設。福島の事故では最前線基地となり、現在も現地対策本部が置か
れている。「あれがなかったら、と思うとぞっとする」。東電の清水正孝前社長
が8日の国会事故調でこう語った。それでも当初の放射能防護は不十分で、作業
員たちを十分には守れなかった。だが、大飯原発にはそれもなく、整備は3年先
のこと。不十分な代替施設でしのぐしかない。
福島では、格納容器の圧力を下げるため汚染蒸気を外部放出するベントを迫られ
た。
大飯原発の格納容器の容量は福島第一の数倍あるが、ベント設備がなく、放射性
物質を除去するフィルターもない。これも設置は3年ほど先という。
 福島では、原発の熱を海に流す海水ポンプが破壊された。ポンプを守る防潮堤
が大飯原発にも造られるが、来年度のことだ。
原発の外も重要な問題が山積みだ。(後略)(6月9日東京新聞より抜粋)

┏┓
┗■3.原発の再稼働は容認できない
 |  東電の原発を抱える新潟県知事が怒りの直言
 └────泉田裕彦

 現在、原発の再稼働が問題になっていますが、これについての知事としての見
解は、まず福島第一原発事故の原因究明が先決だということです。
 原因を知って対策を立てるというのが、まともな人間のやることでしょう。
ここが悪かったのだから、直しましょうと。(中略)
 そうしたプロセスも踏まずに、現在再稼働をするために論議をしている人たち
の神経が、私にはまったく理解できません。(中略)
 原発の安全を維持するには、電源が切れても、とにかく冷やさなければなりま
せん。これに失敗すると、放射性物質の閉じ込めをすることができずに大惨事に
なりますから。「止める」「冷やす」「閉じ込める」が、原発の安全性を確保す
るための基本的原理です。今回なぜ「冷やす」に失敗したのか。(中略)
 NRC(米国原子力規制委員会)は2001年の「9・11」事件後、テロが発生し
たら、数時間以内に全米すべての原発にホウ酸入りの水など冷却セットを送り届
ける体制を構築しました。(中略)
 問題は保安院がこの措置を東電に伝えていなかった点です。米国側は、この冷
却セットを使うよう必死になって各方面に伝えていました。(中略)
  日本政府にも正式にオファーがあったはずですが、結局使われませんでした。(中略)
さらにハードの面のみならずマネジメント、特に意思決定についても同様です。(中略)
 原発が危機的になって「誰の判断で冷却するのか」という意思決定の仕組みを
作らないと、また同じことが起きます。だから、事故原因をまずちゃんと究明す
べきだと言っているのです。
 そもそも、今に至るまで誰一人事故の責任を取っていません。たとえば工場で
爆発事故が起きたらどうしますか。警察と消防の合同現場検証をやって、捜査を
します。今回、まずそれをやるべきではないのですか。やることをやらず、教訓
を踏まえた対策を講ぜずに、再稼働の議論は時期尚早だと思います。(後略)
(6/1週刊金曜日より抜粋)

(中略)

┏┓
┗■5.<テント日誌6/6(水)
 │  ―経産省前テントひろば270日目 稼働原発ゼロ32日目>
 │  緊迫感増す霞ヶ関周辺 連日再稼働反対の声
 │  政府は国民の声を聞く気があるのか
 └────(M/O)、(Q)

 未だ、昨夜からの雨が残り、テントの中も湿り気味である。午後からは晴れて
きてテント前には多くの人が座り込む。本を手にする人、談笑する人、瞑想にふ
ける人などスタイルはそれぞれだけれどいつもの見なれた風景だ。イベントがな
ければ毎日くりかえされる光景だが、この中にテントの力がある。日常の繰り返
しのように意志を表現することの重要さである。
 道行く人で挨拶を交わすようになった人も少なくないが、修学旅行と思しき男
女が物珍しそうにテントを見ていた。テントにある資料をあげた。どんなつと
(苞)になるのだろうか。期待して出てきた東京には何かったが、脱原発テント
を見たよという話題くらいにはなるのだろうか。
 夕方からは日比谷公園で「さよなら原発1000万人署名第一集約」の集会とパレ
ードがあった。加藤登紀子さんも登場したコンサートの後は集会だった。パレー
ドには参加せずにテントに戻った。
 大江健三郎さんに会いに来たついでにテントに立ち寄ったフランスの映画関係
者と談笑した。相変わらず外国のメディア関係者にはテントの感心は高いようだ。
7月には代々木公園では10万人集会が予定されているが、多くの結集が望まれる
ところだ。
 他方で首相官邸前や文科省前では若者たちの抗議集会が開かれている。政府の
再稼働決定の動きに対して連日、霞ヶ関や国会の周辺では再稼働反対の声が響い
ている。テントには帰りに立ち寄る人も多いが、それぞれの胸には政府の対応に
怒りが渦巻いているのだと思う。
 経産省の原子力安全保安院は美浜2号機の10年間の運転延長を妥当とする審査
結果を示したと報じられている。本来は安全を監視する機関であるはずの保安院
が原発推進の機関と化していたこと、その所業は暴露されているが、すでに廃止
の決まっている存在でこういう決定をするのは驚きである。しかも、政府の方針
に反してである。官僚たちの不遜な態度には政権が変わる事まで見込んで対応か
と疑う。
 この週末は国会や霞が関周辺での抗議行動が連日に渡って展開される。
 明日の7日には「原発いらない福島の女たち」の行動が皮切りになると思う。
来週(6月16日〜17日)は福井行きのバスツアーがあるが、今週は6月9日(土)
に「大飯原発再稼働反対!首相官邸ウォーク《17時30分〜》がある。6月は梅雨
時だが政治的行動の季節でもある。(M/O)

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