2012年05月06日

日本の放射能汚染に関する海外の報道は信用できますか?

[知恵袋]回答(*)2012-05-06

<イギリスやドイツの報道だと日本の放射能は危機的な状況と言われていますが、日本の報道はほとんど福島のことには触れません。
海外と日本の報道、どちらが正しいですか?

<このエントリの最後にドイツZDF Frontal21「事故から5ヶ月の報告」の動画があります>

海外の放送といっても比べられるものは少ないので、イギリスとドイツに限ってわかる範囲で回答します。

日本における放射能汚染については、NHKの報道(一部を除く)よりもイギリス(BBC)やドイツ(ZDFなど)の報道のほうが信頼性が高いと思います。理由は、BBCやZDFは本来そうあるべき形の公共放送だから。NHKも公共放送ですがだいぶ歪んでいます。

時々「BBCはイギリスの国営放送」と勘違いしている人がいますが、BBC(イギリス)やZDFなど(ドイツ)は国営放送ではなく公共放送です。では国営放送と公共放送の違いは何か。

放送局の運営は大きく3つに分けられます。国家予算/税金によって運営される国営放送、広告収入によって運営される民間放送(私営放送)、受信料によって運営される公共放送です。運営形態がどれであろうと十分な資本がなくては健全な運営できませんから、各放送局は必要な予算を確保するために出資元の利益になる(出資元が求める)、あるいは、出資元の不利益にならない放送を目指します。では出資元はだれか。国営の場合は「国/政府」、民間の場合は「私企業」、そして公共放送の場合は「視聴者」です。

公共放送は受信料で運営されることで国(政府)や企業から自由でいられ、受信料を負担する視聴者の利益を代表する放送局として、国に対しては有権者の代理として、企業に対しては消費者の代理としてものを言うことができます。


NHKも公共放送なのに、なぜBBCやZDFのように政府や企業(東電)から独立した立場から日本の視聴者が欲する情報を発信できないか。一言で言えば、政府が電波法をたてにNHKを牛耳っているからなんですが、なぜ日本政府は(英国政府やドイツ政府にはできない)そのような横暴ができるかと言えば、一部にはNHK受信料に不払いの罰則規定がないからではないかと思います。受信料の支払いは受信者の義務ですが、払わなかったからといって罰則があるわけではないので不払いを決め込む受信者が多く、そのためNHKの経営は安定していません。

イギリスとドイツの受信料の支払いは義務で、未払いの場合は罰則規定があります。たとえばイギリスでは支払い義務がある人が受信料を払わないとまず1000ポンドの罰金を科せられ、それでも払わないと裁判所から呼び出しがかかり(裁判費用も上乗せされます)、それでも払わないと収監されます(毎年これで何人かは刑務所に入ると聞いています)。受信料の回収率は98%程度とのことです。

公共放送はデモクラシーが健全に働くためには欠かせないもので、受信料の支払いは公共放送を持つ権利を確保するための負担です。この点を日本の視聴者が気づき、NHKを政府や企業から切り離すためにすすんで受信料を負担するようになれば、NHKはもっと視聴者の利益になる報道をするようになるでしょう。もし、ある国に公共放送がなく(そういう国はたくさんあります)国営放送と民間放送だけだったらどうなるか。冷戦時代の共産圏の放送局はみな国営でしたから、国民は政府のプロパガンダマシンとなった放送局の報道の裏を読んで真実を推測しなければなりませんでした(たとえば中国の中央電子台とか北朝鮮の平壌放送は国営です)。

NHKはまがりなりにも公共放送ですから、政府のプロパガンダマシンと言うほどにはひどくないですが(NHK特集とかETV特集などにはいい番組があります)、やはり政府(とそれにつながる大企業)の意向が色濃く反映する、かなり歪んだ形の公共放送と言えるのではないでしょうか。

* * *

イギリスやドイツの放送局が福島第一の爆発による放射能汚染に敏感に対応している背景には、チェルノブイリ原発事故の教訓があるからです。日本ではまり知られていませんが、イギリスとドイツはスウェーデンなどと並び、旧ソ連圏以外の地域ではもっともひどくチェルノブイリの被害を受けた地域です。たとえば、イギリスのカンブリア地方の牧場は風向きと降雨の影響でかなりの濃度に放射能汚染されたため、つい数年前まで羊の出荷が禁止されていましたし、ドイツのアルプス地方では爆発のだいぶあとに生まれた子どもにまで放射線誘発性の疾患が広がっています。

* * *

ドイツZDFで震災5ヵ月後に放送されたフッテージをいま見ると、この危機感がいま現在の日本で共有されているのかよくわからなくなってくる。ドイツでの放映からまもなくアップロードされた日本語字幕版は、いまではもう見られなくなっているが、いくつもコピーされてYOUTUBEにあがっている。そのうち「新訳」と題した1本を上げておきます。

(新訳) ドイツZDF Frontal21「事故から5ヶ月の報告」
2011/8/9 放送 (9/7改訂)

http://www.youtube.com/watch?v=WZiAWJVr0HU

posted by nfsw19 at 01:00| ロンドン ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 知恵袋回答 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。