<イスラエルが、ハマスに拉致されたイスラエル兵一人と、
終身刑のテロリストを含む1000人以上の受刑者とを交換するそうです。
そこまでしても取り戻したかった一人なのでしょうが、
たった一人のために代価が大き過ぎませんか?>
状況からみて、イスラエルがまだパレスチナ(おもにハマス)との戦いを続けたい(攻撃されたい)ための戦略でしょう。どんなにひょろひょろのホームメイドであってもガザからロケット弾が飛んで来ていさえすれば、イスラエルがパレスチナを攻撃したりガザ封鎖を続けたり、また西岸に入植地を拡大することの申し訳が立ちますから。
今回、1000対1で交換されるイスラエル兵がハマスに捕らえられたのは5年も前です。各国に散らばったPLO幹部(とみなされた人物)を探し出して暗殺するなど、イスラエルの諜報部であるモサドの秘密作戦実行能力については国際社会でもよく知られているところであり、そんなモサドの実力をもってすれば、いくら敵地とは言え、せいぜい愛知県ぐらいの広さしかないガザで捕虜の隠し場所をつきとめるぐらい何の雑作もないでしょう。
また、もし捕虜の居場所を知らなけかったならガザ攻撃など怖くてできません。空爆を含む前回のガザ攻撃では1400人以上のパレスチナ人が亡くなりました。
どこにいるか知っていたのに奪還作戦を実行しなかったのは、今回のように「有効に使える機会」を待っていたんじゃないでしょうか。
今回の捕虜交換によってハマスがまたパレスチナの人びとの信を得ることがあれば、パレスチナ独立の希望で一つになりつつあったパレスチナの人びとは、また精神的にガザと西岸に分断されてしまうかもしれません。せっかくのアッバスの歴史的な国連演説も元の木阿弥です(アッバスもそうとうなタヌキですが、あの演説は良かったです)。
ともかく、1000対1という一見すると途方もない条件で捕虜を取り返すことによって、国内的には国民の命を第一に考える姿勢をアピールできるし、国際社会に対しても捕虜の解放で「人権に配慮するイスラエル(うわー、書くだけで吐きそうです)」のポーズをとることができます。そのうえ、アッバスの足元もすくえるとなればイスラエルの得るものは大きい。
イスラエルがいまある場所で領土を狭めずに(西岸の入植地をさらに拡大して)存在し続けるにはアメリカの後ろ盾が欠かせず、アメリカにバックアップしてもらうには周囲は敵だらけという状況を継続させる必要があります。捕虜交換が終わったら、遠からず、いつものパターン通りにイスラエルがハマスを挑発し、またガザからロケットが飛ぶでしょう。
な〜んて皮肉な見方をしちゃうんですよ、イスラエルが善意から行動したことなんて一度もないので。
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