《シリーズ「マラライ・ジョヤとアフガニスタンの今」第4回》
2011-10-22 7:00:00
◎シリーズ「マラライ・ジョヤとアフガニスタンの今」
第4回アフガニスタンの「殺人部隊」によって明かされた真実
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シリーズ前書き(岡 真理/TUP)はTUP速報第926号にあります。
http://www.tup-bulletin.org/modules/contents/index.php?content_id=958
シリーズ4回目となる今回の速報は、2011年3月30日に『ガーディアン』に掲載されたマラライ・ジョヤの論説の元原稿である下記アドレスにある論説を翻訳してお届けします。したがって『ガーディアン』に掲載されているものとは異なります。
【出典】http://www.malalaijoya.com/dcmj/joya-in-media/605-the-truth-revealed-by-the-qkill-teamsq-in-afghanistan.html
[訳者注:本訳文中に言及されている画像は上記アドレスでいくつか見ることができますが、気分を害されるかたがおられるかもしれません。ご自分で御判断願います]
シリーズ第4回翻訳:福永克紀/TUP
アフガニスタンの「殺人部隊」によって明かされた真実
Zマグ 2011年3月31日(木)
――本論説は、昨日『ガーディアン』紙に掲載されたマラライ・ジョヤの論説記事の完全オリジナル版である――
マラライ・ジョヤ 2011年3月31日 Zマグ
先週メディアで公表されたこの忌まわしくも心痛む数々の写真は、アフガニスタン戦争の陰惨な真実をやっと広く公衆の目にさらすこととなりました。この戦争が民主主義と人権のためであるという宣伝のすべては、殺されてバラバラにされた無辜のアフガニスタン市民の遺体と共にポーズをとっている米兵の写真で跡形もなく消えうせてしまいます。
アフガニスタン人は、これがわずかなごろつき兵士の話だとは考えていないことをお伝えしなければなりません。こういう「殺人部隊」の残虐行為は、軍事占領全体の要である武力による侵略行為と人種差別を暴露しているのだと私たちは考えています。この写真は目新しいものでも、無実の人の殺害はそうではありません。こうした市民に対する犯罪が、アフガニスタンでの多くの抗議を招き、アフガニスタン庶民の間に反米感情を激化させてきました。
殺害したアフガニスタン人を弄ぶ米軍「殺人部隊」のこのような画像を、米国主要メディアが公表したがらなかったことには別に驚きません。何と言っても、アフガニスタンの現実を米国民の視界から隠す組織的取り組みが行なわれてきましたから。ともかく、米国が主導する占領の現責任者ペトレイアス将軍は世論に向けた「情報戦争」に多大な重点を置いていると言われており、その戦略に則り、ペンタゴンはこういう犯罪を隠蔽するのに多大な努力を払ってきたのです。
こういう写真の兵士たちはほんのわずかしか訴追されていませんが、それは米国がアフガニスタンで行なっているさらに大きな人権侵害を隠す努力の一環だと思います。2月中旬にクナル州のガジアーバードで女性と子供65名を殺害した者たち、2009年10月にクンドゥズ州で民間人150人を殺害した者たち、2009年5月にファラフ州のバラブルクで民間人140人以上を殺害した者たち、2008年9月にヘラート州のアジーザーバードで子供と女性100人を殺害した者たちなど、ペンタゴンが「遺憾」に思うと述べるだけであとは忘れてしまうこのような数多くの非人間的犯罪に責任を負うべき者たちを、米国は何よりもまず訴追すべきです。もし米国が真に公正であるのなら、ロバート・ゲイツからデービッド・ペトレイアスに至るまで、その指揮下でこのような戦争犯罪が行なわれたすべての米国高官がまず最初に裁判にかけられなければならないと思います。
それでも、米国とNATOはアフガニスタンでの戦争犯罪に精を出している一方で、カダフィを人権侵害で罰するとしてリビアを攻撃しているのです! 米政府がわが国でもっと汚れた大勢のカダフィもどきを誠心誠意支えているのを見るとき、これは私たちにとってはまったく馬鹿げた冗談に聞こえます。
実際先週には、最初の米国入国ビザ申請が却下されて、支援者が私の入国する権利を要求してくれるなか、私のこの出版記念講演米国ツアーが延期されました。とはいえ軟化するように圧力をかけられた米国政府は、私の訪問を許さざるを得なくなりました。最終的にはアフガニスタン戦争の真実を隠し通すこともできなくなるでしょう。
この「殺人部隊」の画像はヨーロッパと北アメリカの多くの人にはショックであっても、アフガニスタン人にとっては何ひとつ新しいことではありません。ここ10年間、私たちは米軍やNATO軍が虫けらのごとく無辜の人々を殺害してきた事例を数知れず見てきました。
例えば、彼らは最近クナル州の山でまきを集めていた9人の子供を殺しました。数知れずある無辜の民間人大虐殺のひとつが発生したのは今年の2月中旬で、米軍主体の軍が65人の何の罪もない村人を殺害し、その大半は女性と子供でした。この事件では、地元当局者たちが犠牲者は一般民間人だと認めているにもかかわらず、多くの他の例と同様、抵抗分子を殺害したにすぎないとNATO軍は主張しました。事実の暴露を防ぐためにNATO軍は、大虐殺の現場を訪れて報道しようとしたアル=ジャジーラの記者二人の逮捕まで行なったのです。
米国とNATOは、死亡者すべてをテロリストや抵抗分子と呼ぶことでこういう民間人の死を隠そうと懸命に努めてきました。こんな嘘は彼ら側からの追い打ちであり、彼らに無残に殺された最愛の者に対する侮蔑だとアフガニスタン人は見做しています。
歴代の米当局は、市民を守り今まで以上の注意を払うと言ってきましたが、実際には自らの犯罪を隠し、メディアでそれが公表されるのをやめさせる努力に注意を傾けてきたに過ぎず、したがって多くの恐怖の殺人が報道されることはありませんでした。通常、米軍、NATO軍、並びに国連アフガニスタン援助派遣団の事務所が民間人死者数の統計を公表していますが、その数字は占領軍に殺害された人数を過小評価したものです。しかし現実は、オバマ大統領がアフガニスタン駐留米兵の数を増加して以来、民間人死者数が増えています。オバマのいわゆる「増派」は、すべての陣営が暴力を拡大させる結果を招いているだけなのです。
信じられないかもしれませんが、占領軍は犠牲者の家族の買収まで試みようとして、家族の死者一名につき2000ドルを提供してきました。アフガニスタン人の命は米軍やNATO軍にとっては安いものでしょうが、どんなにお金をつまれようとも、私たちは血にまみれた金銭など望んではいません。
皆さんもこのすべてをひとたび知れば、この身の毛もよだつ「殺人部隊」の写真をひとたび見れば、なぜアフガニスタン人がこの占領に嫌悪を抱くのかより明確に理解されるでしょう。カルザイ政権というのは北部同盟の悪名高い残忍な軍閥だらけの政権で、この政権はかつてないほど忌み嫌われています。占領軍の助けを借りて、脅迫と買収をもって支配しているだけなのですから。アフガニスタン人はこれよりもっとましな政権を享受するに値します。
しかしながら、こうしたことすべてのために復古的なターリバーンのいわゆるレジスタンスを支持するアフガニスタン人が増えているわけではなく、そのターリバーンも自爆攻撃で無辜のアフガニスタン人を殺し続けているのです。私たちは今、非常に困難な条件下で、アフガニスタンの学生、女性、貧しい一般市民が率いる別の形のレジスタンスが成長しているのを目の当たりにしています。こういう人たちが、民間人の虐殺に抗議し、戦争終結を要求して街頭に繰り出しています。最近このようなデモがカーブルで、マザーリシャリーフで、ジャラーラーバードで、クナルで、ヘラートで、また国内の別のところでも行なわれました。
このレジスタンスは、エジプトやチュニジアのような他国の運動に触発されたもので、アフガニスタンでも「民衆の力」を見たいものだと思っています。それにはもちろん、NATO諸国での平和を愛する民衆の力による支援と連帯も必要です。費用ばかりかかる偽善的なこのアフガニスタン戦争に反対する声が、多くのところから新たに上がっています。その中には何人かのNATO軍兵士がいます。
この前の英国訪問時に、アフガニスタン戦争に抵抗して何カ月もの牢獄生活を経験した良心的兵役拒否者ジョー・グレントン氏とお会いする栄誉を得ました。グレントン氏は、獄中期間に触れて「最近の情勢で、実刑判決に服したことは名誉の証だと思えます」と言われました。
つまり、世界が慄きながら「殺人部隊」の写真を目の当たりにしている今こそ、ジョー・グレントンの勇気とヒューマニティは、アフガニスタン戦争が永遠に続く必要などないことを思い起こす重要な役割を果たすのです。
【原文】The Truth Revealed By The "Kill Teams" In Afghanistan
【URL】http://www.malalaijoya.com/dcmj/joya-in-media/605-the-truth-revealed-by-the-qkill-teamsq-in-afghanistan.html
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