2011年08月13日

ロンドン(イギリス)暴動ーーキャメロン首相のマッチョな対応にあきれる

ロンドンから始まり、またたくまにイングランド全土に広がった「暴動(略奪と放火)」がなぜ発生し、なぜここまで広がったかについて考えたことを書いておくつもりだが、まだまとまった時間がとれないので以下は覚え書きとして。

キャメロンのマッチョ志向が悪化の一途をたどっている。

かれの「意図した乱暴者ぶり」はいまに始まったことではないが、今回は相手に非があるのが明らかなので毎度のカウボーイぶりに拍車がかかり、単にタイミングの外し方が間抜けなだけでなく、危険水域に入った気がする。

言葉の軽さはブッシュの最盛期に匹敵するかも。この国は「病んでいる」と議会でスピーチしたかと思えば、盗みに参加した者には「容赦なく」対処し、ごろつきどもに「地獄」を見せるんだそうだ。

かれがいちいち大げさに驚いてみせる今回の暴動中に起きたいくつかのエピソードについて言えば、そんなことはいまに始まったことではないという事実をだれでも知っている。

たとえば、キャメロンによって「病んだ」イギリスの象徴とされた「けがをしたマレーシア人留学生を介抱するふりをしてリュックからものを盗む」行為。映像になって残ったのは非常に珍しいが、これに近いことはオックスフォードサーカスで(ロンドンの繁華街のどこでも、イギリスの観光地のどこでも)、ヨーロッパの観光地のどこでも、毎日何度となく起きている古典的な盗みの手口のひとつだ。

被害者の留学生を殴ってけがを負わせた「小学生」については、もしかすると「病んでいる」と言ってもいいかもしれないが、その後の盗み(介抱するふりをしてリュックから盗む)についてはあまりにもありふれている。これを指して「病んだイギリスの象徴」と言うキャメロンがもし本気なら、かれはあまりにものを知らない(もし、これが「病んだイギリス」象徴なら、イギリスはずっと前から病んでいたし、病んでいるのはイギリスだけではない)。

また、キャメロンが「容赦しない」という窃盗犯の多く(おそらく半数以上)が、スリルと出来心と一時の熱狂に浮かされて売り物に手を出した初犯だ。親に連れられて出頭した時点で反省し、怯えきり、地方判事裁判所の前で報道のカメラに追われるだけでもう罰を受けたようなものだ(すでにCCTVの顔写真をさらされているし)。そんな者たちに厳罰を加えることは害になりこそすれ、良い結果は産まない。

暴動を見物に来た帰りに破れたスーパーの窓からガム一箱(1ポンド)を盗んだ小学生、すでに荒らされているスーパーの棚から「のどが乾いていたので」ボトルの水1本(3ポンド)を盗んだ通りすがりの大学生、暴動を見物中に割れたショーウインドウに飾られていた小道具のゴミ箱1個(値段なし)を記念に盗んだ小学生、宝石店の割れたショーウインドウから空き箱を盗んだ若者などなど、こうした子どもたちにどんな厳しい罰を与えるというのだろう。

キャメロンは、野党労働党党首のエド・ミリバンドが提案した暴動の原因究明の調査委員会設置を却下し、代わりに、ギャングカルチャーに対処するために「経験豊かなアドバイザー」を任命した。キャメロンが任命したアドバイザーとは引退したニューヨークのベテランポリスだ。ポリスもギャングも一般人も銃を持つアメリカと、原則だれも銃を持たないイギリスとでは、同じギャングでもまったく違うカルチャーの元に行動しているはず。このチグハグな任命が悪い結果を生まないことを祈るばかりだ。

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posted by nfsw19 at 00:00| ロンドン ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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