2011年07月23日

<原発ダイアリー>福島1号機は地震だけで破壊されていた!?元設計者の分析

チェチェンニュースの大富さんの「原発ダイアリー」2011年7月23日分トピックスを転載します。段落等適宜変更しました。
全文はこちら http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20110723


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2011年7月23日原発ダイアリー 

今日のトピックス
福島1号機は地震だけで破壊されていた!?元設計者の分析


 おはようございます。

 まともな技術者なら、浜岡原発を再稼働させようとは思わないはず‥‥と思うのですが、中部電力としては、防潮提を設置することで、なんとか再来年くらいには再稼働にこぎつけたいようです。原発が儲かるからでしょうか。お金の魅力というのは、ほんとうに恐ろしいです。


(朝日新聞7/22) 中部電力は22日、浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)に、高さ18メートルの防潮堤を建設すると発表した。東日本大震災で、東京電力福島第一原発が高さ約15メートルの津波に襲われたことを考慮して、これまで「15メートル以上」としてきた高さを、18メートルに決定した。
http://www.asahi.com/national/update/0722/NGY201107220018.html

 18メートルというのは、ちょうどこのぐらいの高さです。
f:id:ootomi:20110723131041j:image
(お台場にあらわれた等身大ガンダム)

 ガンダムはさておき、今日の本題は、津波を防げれば、原発事故は防げるか?という問題です。原子力資料情報室に掲載された、サイエンスライターの田中三彦さんの記事を紹介します。


“想定外”のためなら何でもする 東電、「シミュレーション解析」騙しのテクニック(原子力資料情報室通信、2011/7/1)

  国と東電が、できることなら永遠に遠ざけておきたい話は、東電・福島第一原発1〜3号機の重要な設備や機器が、“想定外”の大津波とは無関係に、「地震動」によって重大な損傷を負ったとすることだ。なぜなら、もし福島第一原発1〜3号機のいずれか一つにおいてでも、たとえばなにがしかの重要な配管が地震動で破損し、その破損部から冷却材が格納容器に噴出するような「冷却材喪失事故」(LOCA)が起きていたことがわかれば、「原発中枢構造の耐震脆弱性」という、地震国日本の原発の安全性を根底から揺るがす深刻な問題が浮上するからだ。http://www.cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=1159


 ここから先は、ちょっとむずかしくなりますが、できるだけかみくだいて説明しますね。まず、この図をご覧ください。

f:id:ootomi:20110723131823j:image

 まず(1)まるいち、の矢印。原子炉の水位は、最初燃料棒の上端から5メートル上まであったのですが、地震発生後から6時間44分後までに一気に下降し、燃料棒の上端スレスレまで減ります。これは地震によって原子炉の配管のどれかが破断してしまい、冷却水が噴出てしまったためです。

 その一方、(2)の矢印では、地震発生後から11時間44分で、圧力容器を包んでいる格納容器の圧力が、普通の0気圧から0.74気圧まで高まります。ここが格納容器のピークで、しばらく続きます。

 こうして、圧力容器の気圧は下がり、外側の圧力容器の気圧は上がり同じ圧力になったために、原子炉の水位は燃料棒の上1.3メートル程度でしばらく推移しました。

 しかし格納容器は、7気圧もの圧力に耐えるようにはできていません。隙間が空いて圧力が下がり始めてしまいます。その隙をついて格納容器から再び水が噴出。ついに高熱の燃料棒が水の上に出てしまいます(5)。メルトダウンが始まります。

 そして、燃料棒を包んでいるジルコニウムと水蒸気が反応して大量の水素が発生、これが格納容器の外に漏れて、12日午後3時36分に水素爆発が起こってしまいました。

 格納容器の下には圧力抑制室があって、緊急時にはそこに送り込まれた水蒸気が、水の中を通ることによって減圧されることになっています。どうしてそれが今回働かず、水素爆発が起きる直前まで、7気圧もの圧力がかかりつづけたのか。謎です。

 しかし、窒素ガスと水の挙動には予測できない部分があるため、圧力抑制室が設計どおりに動作するかどうかわからない、ということは、すでに1970年代にはGEの設計者たち自身によって指摘されていました。しかも今回の事故では、地震動まで加わってしまったのです。

 以上は田中さんの報告の概略ですが、わたしなりにまとめると、こういうことかと思います。

 まず、福島事故では、外部から電源を供給するための送電鉄塔が、地震で倒壊してしまいました。同時に、地震によって圧力容器からの配管が破壊され、もしかしたら圧力抑制室も機能しなかったか、破壊されていたので、もし電源があっても、できることは何もなかっただろうと思います。

 ディーゼル発電機や重油タンクが津波に流される以前に、大勢は決していたと考えられるわけです。

 と、いうわけで、最初のガンダム、ではない浜岡の防潮提に話を戻しますと、18メートルの防潮提を建てたところで、地震のときに原子炉が損壊することは防げません。浜岡原発はもちろん、日本の原発はすべて廃炉にするのが妥当です。

 田中さんの元記事、ぜひご一読ください。

http://www.cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=1159

 それではまた明日まで、お元気で。


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posted by nfsw19 at 10:00| ロンドン ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | メルマガ引用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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