http://ameblo.jp/nfsw19library/entry-10939775239.html
原発震災 ー 日本メディアは西洋よりも真実を伝えているか
2011-07-01 03:08:26 posted by nfsw19library
関東在住のアイルランド人ジャーナリスト、ディヴィッド・マクニールさんが CNN International のウェブサイトに寄稿した記事『誰が福島原発事故の真実を伝えたか』に和訳がついた。オリジナル(英語)は6月15日に掲載されていて、すでにどっさりコメントがついている。
地震発生からほとんど毎日、マクニールさんが東京や被災地から書き送る記事をインディペンデント紙で読んでいた。長い記事、エモーショナルな記事が多く、読みながらよく泣いた。
インディペンデントはイギリスの高級紙のひとつで(わたしの長年の愛読紙でもあり)、3月13日日曜日の朝刊の1面を全部使って日の丸と日本語のコピーを掲載したのを見た時は胸がいっぱいになった(そして泣いた)。
がんばれ、日本。
がんばれ、東北。
http://www.asahi.com/international/update/0313/TKY201103130283.html
ニュースエージェントの店頭で当日のインディペンデントを持つその店の看板娘(だと思うよ、ニュースエージェントはインド亜大陸系移民が経営していることが多いので)の映った写真と朝日新聞の記事。
マクニールさんは地震以前も、日本の新聞でもめったに書かないようなディープな日本の問題をきめ細かい取材に基づいてしばしば報じていた。辺野古に座り込むおじいおばあのこと、元日本軍捕虜をビルマにまねく活動をしていた元日本軍通訳の永井隆さんのこと(つい先きごろ亡くなられた)、築地市場が移転すると言われている豊洲の毒性のこと、皇太子妃雅子さんの苦境など、みんなマクニールさんの長編レポートで読んだ。
CNN Internatipnalのこの記事も、日本をよく知るマクニールさんがもう黙っていられない気持ちで書いたのだろう。
あのとき、日本のテレビがどのように震災を報じていたかをわたしは知らないので想像するしかないのだが、当時ユーストリームで無料公開されていたNHKの報道を見る限りでは、わたしには英国BBCやチャンネル4やアルジャジーラ・イングリッシュやロシア・トゥデイのほうが、知らせるべきことを知らせ、見せるべきものを見せていた気がする。
たとえばチャンネル4ニュース(毎日夜7時から50分間のニュースショー)はメインキャスターのジョン・スノーがすぐに現地入りし、毎日レポートしていたし、チャンネル4のウェブサイトにはかれの日記も掲載されていた。そして、かれがスタジオに戻ってすぐに被害を伝える20分ほどのドキュメンタリーが放送された。
また、地震学者もすぐに調査のために渡航し、震災発生後2週間かそこらで地震と津波発生のメカニズムや被害を多角的に分析する科学ドキュメンタリーが放映された(これは別途掲載
する)。原発に関する報道も丁寧だった。
<震災を報じるチャンネル4ニュース>
(福島第一原発についての報道ではありません)
ジョン・スノーのある晩のレポート。仙台から。
http://www.youtube.com/watch?v=CAOWDy-0H-E
別の晩のレポートの一部。南三陸から。
http://www.youtube.com/watch?v=CnEr1dbF434&feature=relmfu
日本でも見られると思いますが見られなかったらごめんなさい。日本のテレビでは報じられない側面が出てきます。
*
誰が福島原発事故の真実を伝えたか
日本メディアは西洋よりも真実を伝えていると果たして言えるのか
デイヴィッド・マクニール
By David McNeill 30 June, 2011 CNN-GO
http://www.cnngo.com/ja/tokyo/life/TMAI/david-mcneill-whos-telling-truth-fukushima-meltdown-222708
福島第一原発に対する政策や規制、技術など、一連に渡る批判的意見が飛び交っている。メディアはいち早く自省をし始めたものの、決して美しいとは言えない。
Newsweek Japan は、惨事の中、「自らのミッションを遂行できなかった」として、過激な外国人レポーターを批判した多くの出版会社の 1 社である。
Newsweek によれば、ジャーナリストの中には逃げ出したものもおり、その多くが機能不全に陥った原発に過剰反応し過ぎていると伝えている。
鼻息の荒い外国人記者は、そういった槍玉に挙げられやすい。視聴者の多くは、福島原発の放射線レベルが安全値の 1 千万倍にも達し、ゼロを数個削除した TEPCO の修正を無視した CNN の Jonathan Mann 氏の殺気立ったレポートを思いだすことだろう。
<伝えられない言葉>
そんな中、日本の新聞紙やテレビ記者達は、冷静さを保っていたものの、原発内部で起こっている事実関係の隠蔽や情報開示に遅れがあったことは事実である。
中でも、福島原発を取材した地元メディアの報道から、「メルトダウン」という言葉がすっぽり抜け落ちていた事実は注目に値する。状況を考えれば、3 月 11 日から 15 日の間にメルトダウンが起こっていたと推測する方が納得できるのだ。そもそも、3 月 12 日に大気からセシウムが検出されたことを考慮しても説明は付くのである。
<正確な情報を伝えないことも
メディアの責任であると言えるのだろうか?>
原子力安全委員会委員長の斑目春樹氏は、現在、初期段階でメルトダウンが起こっていると判断し、政府に報告したと話している。福島に農場を持つ元ワシントン TBS 支局長秋山豊寛氏も同様の結論から、群馬県に車で避難した。
「言葉を伝えるメディアにブラックアウトが起こっていたと言えるでしょう。」と、今月、外国人記者クラブの雑誌『No.1 Shimbun』の取材に答えた秋山氏は話している。4 月に入ってから初めて、原子力学会副会長の沢田隆氏も、1 号機と 3 号機の原子炉内の燃料棒が溶融していると発言した。新聞やテレビが、「メルトダウン」という言葉を発するまでに 2 ヶ月以上もかかっている。一体これはなぜだろう?
大手新聞社やテレビ局で構成される日本の記者クラブのシステムは、政府や TEPCO、原子力安全・保安院から直接開示される情報を脚色して伝えているに過ぎない。 与えられた事実に基づき、非常に規律のとれた、表面的でイマイチはっきりしない情報が公表されていたということだ。
さらに、多くの記者は、独自に最悪の事態を結論付けるべきであるにも関わらず、原発内部の状況を推測することを躊躇っていたのだ。
<真の責任とは>
日本のレポーターには、東京という人口過密地帯でパニックが発生することを避ける責任があったと話す人もいる。 確かに、28 百万人の人々が高速道路や空港、駅に一気に押し寄せれば、放射線の影響の前に多大な死者を出すだろう。
とは言え、単に誇張しなければ、メディアはその責任を果たしていると言えるのだろうか?事実の隠蔽や、情報開示の遅延、曲解は、メディアの責任に当たらないのだろうか?
(写真説明:国際メディアは、福島の事故の様子を過激に伝え過ぎていると批判された。)
3 月 12 日に原子力安全委員会が、ウラン燃料の入った 1 号機の金属容器が溶融し始めていると警告したとき、市民の不安を払拭すべく東京大学院教授関村直人氏が何度もテレビ番組に登場した。
「燃料のごく一部が溶けて漏れ出たと思われるが、原子炉はすでに停止しているうえ、冷やされている状態だ」、原発付近の住民は、「冷静な対応を」行動するように、と言っていた。
一体どこから知り得た情報だったのだろう?さらに、テレビ局は、(明らかに事実と違う)関村教授の意見を是正するために、違った意見を紹介することはできなかったのだろうか? あるいは、ここでもパニック発生を危惧していたとでもいうのだろうか。
読者は、穏やかな生活を送るために事実を知らされないことに対し、自問自答すべきだ。
<最悪の想定>
先日、日本人フリーランサー上杉隆氏は、メディアに対し、もっと違った対応が取れたのではないかと意見を述べた。「最悪のシナリオを想定し、記事にして、さらに、それに関連する現在を追加する方法が、原発状況に関する正しい報道の仕方と言えるでしょう。」と彼は言う。
「今回の日本のメディアのように、新聞やテレビが『心配いりません。安全です。遠くに逃げる必要はありません。』と、言うべきではありません。」
さらに、MOX 燃料とプルトニウムが、「小さじほどの固形で 1 千万人を殺害できてしまう」ほど非常に毒性の強い物質であるという事実も考慮すべきであるだろう。
日本の新聞やテレビ報道からは、そういった言葉が一つも見当たらなかった。 MOX は、浜岡原子力発電所でも利用されているものの、菅直人首相が先月、同原発の操業停止を言い渡すまで、この事実は一般の日本人にほとんど知られていなかった。
新聞やテレビとは反対に、3 月以降、日本の雑誌は危機感があり、抑制がなく、情報を伝える世界一の出版物であったと言えるだろう。 『週刊新潮』は、TEPCO の管理陣を「戦犯」と呼び、『週刊現代』は、関村教授やその他の原子核科学者を「とんちんかん」だと伝えた。
<非常事態>
斑目春樹氏は、今や「デタラメ」春樹として世間一般に知られている。とは言え、公共監視機関である新聞やテレビニュースは、最新の情報をタイムリーに伝えるべきではないだろうか?
こういった一連の問題に対し、まっさきに噛み付いたのは外国ジャーナリズムであった。 まず最初に、『The Washington Post』が、突然姿を消した TEPCO 元社長清水正孝氏の行動を 3 月 29 日に批判した。
さらに『New York Times』は、度々、福島原発内の作業員に対する TEPCO の酷い扱いを追求している。有名メディアが南相馬や福島のその他の町から撤退した時、中国、韓国、ヨーロッパのジャーナリストが、残された市民に取材すべくまず始めに戻ってきた。
あいまいな情報伝達は日本のメディアに限ったことではない。日本の業界の裏側を見れば、広告の影響力や業界とメディアの結びつきに気付くことだろう。
日経広告研究所によると、日本の電力業界は、年間に 880 億円も広告事業に費やしている日本最大の広告主である。
TEPCO 単独でも年間 244 億円を費やしている。これは、世界企業のトヨタ自動車の約半分の金額である。 どこから来たのかに関係なく、お金の使われ方を見つけ出すことがジャーナリストの仕事ではないだろうか。
*
表紙に「放射能が来る」と大書きした『AERA』を批判したり笑ったりした人たちは、それが誇張でもアオリでもなんでもない「正しい危機感」であっただけでなく、残念なことに、「冷厳たる事実」でさえあったことがわかったいま、何を語るのだろう。
どんな言葉を語るにせよ、まず、自らの間違いを認識し、反省し、できれば間違った非難をしたことを謝罪すべきと思うが、もうだれかそうした言葉を口にしただろうか。善悪を決めようというのではなく、単にマナーとして。
http://getnews.jp/archives/105688
『AERA』の「風評被害をあおるけしからん表紙」と『週刊ポスト』の「日本人の情緒と倫理観に訴える高潔な表紙」を比較対照する写真と記事。単なるサンプルとして(この記事そのものは『AERA』を非難していないし)。
それにしても、なんの情報開示もないなかで、ポストは日本の何を信じようとしたのだろうか。
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