貴賓席にはチャールズの嫁のカミラも来ていた。いまごろ、「すごかったのよ〜、あなたも来れば良かったのに〜。ガンプク、ガンプク」と夫婦で語り合っていることだろう。
女の人生は第二幕からが面白いのよ〜と、カミラなら伊達にしみじみ言えそうだ。
パワーテニスのヴィーナスをあそこまで走らせ、追い込んだ。試合後に並んだ二人を見たら、試合中にはすっかり忘れていた体格の違いに改めて気づいてたまげた。身長差は20センチぐらいあるんではないだろうか。脚の長さもリーチの長さもパワーも、体格だけで言えば、男と女、大人と子どもぐらいの違いがある。
まだ3日めだけど、おそらく今回のウィンブルドン大会で男女を通じて1番の試合になるだろう。それどことか女子テニスの歴史に残る試合になる。解説者が言っていた。「30数年ここでテニスを見て来たが、女子の試合ではこれが最高だ」って。男子の試合でもここまでのものはそうは見られない。
日本と違って、ふだん年齢のことはあまり話題にしないイギリス人だが、伊達に関して言えば年齢の話は避けては通れず、40歳9カ月という彼女の年齢が話題になりがちだった。しかし、緊迫した試合運びに解説者からも賞賛以外の言葉が出なくなり、時々、わたしたちはすっかり忘れて見入っているんだがこの女性は40歳なんですよ、対するヴィーナスも31歳なんですよ。若さとスピードとパワーだけになった昨今のテニスが忘れていたものがこれです、と。
しかし、なんという鍛錬だろう。
なんという心の強さだろう。
なんという頭の良さだろう。
ライジングショットを上がり際に叩いて相手コートに戻すテクニックは世界ランク1ケタ時代と変わらぬ切れの良さ、パワーサーブや強いリターンへの気の抜けるような軽いボレーや、ネットをぎりぎりでかすめて相手コートのライン際に突き刺さるリターン。効率のいい試合運びにほれぼれした。
試合中、ヴィーナスは何度もトスをあげてからサーブを中止して仕切り直すことを繰り返していたが、それについて試合後に言っていた。トスを上げると伊達がサーブの方向を予想して動き、それがプレッシャーになった、すごく頭のいい対戦相手だった、と。
1回戦に勝ち上がったときの伊達のインタビューを見たが、満面の笑顔でリラックスしていて
あんなのは現役時代には見たことない。それに英語でジョークも飛ばしてた。以前、伊達が世界ランクの上位にいたころは、英語でのインタビューや記者会見が嫌いでそのために緊張して無愛想だった。そんなに強くないのに、いつでも如才なく受け答えする松岡がウィンブルドンの人気者だったのとは対照的に。
小泉じゃないが「感動をありがとう」。いや、ガンプク、ガンプク。
結果がわかっていても、もう1回最初から見たいなあ。そんなマッチ、めったにあるものじゃない。
*
伊達の1回戦突破翌朝のガーディアン紙1面。戦った相手はイギリスのホープ。
伊達vsヴィーナス戦の論評リンクはこちらに貼付けてあります。
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2手3手先を読む試合運びは、さながらコート上のチェスか将棋(どっちもまるで解らないけれどw)のようで、じつにスリリングでしたね。そして胸のすくようなパッシングショットやサーブ&ボレーに、一瞬、ナブラチロワを思い出したり。
以前、東レパンパシで、伊達さんのナマ試合を見たことがあるのですが、「あぁダメだ、これはネットにかかる!」としか思えない軌道なのに、「にゅ〜ん」とヌメるような感じでネットを越えてくるんですよ、彼女のショット。しかもかなり速い。
ヴィーナスもパワーだけで押すのではなく、上手さを見せてくれたし。というか、そうさせたのはやはり伊達さんのプレーなんだと思います。
長コメ失礼!
ヴィーナス負けちゃったね。どうせなら優勝して欲しかったんだけど。今年の女子は混戦模様でだれが勝つかわからない。男子のほうは上位選手が順当に勝ち上がっていて、これまただれが勝つかわからない。マリーにはイギリスの75年の悲願がかかってる。
伊達公子の記事と写真をこっちに入れておきました。
http://newsfromsw19.seesaa.net/article/212171718.html?1309346928