学年末の試験週間は先々週で、先週は1年前倒しのフランス語と宗教学/哲学と日本語のGCSE(中等教育修了国家資格試験)があった。週末には学校の創立祭と独立百周年祭があり、シェークスピアの野外劇に小さい役をもらって出演した息子は連日夜までリハーサルと公演(夜7時開演)で、10時過ぎに帰ってくると猛烈な勢いでブログを更新していた(まさに機関銃のごとく)。最後のGCSEである日本語のライティングが明日あって、それで試験は全部終わり。
先週から授業はないも同然で、教科書はもうブックルームに返却したし、ほとんどビデオ見たりなどしているだけのようだ。水曜日からは夏休み前のアクティビティ週間に突入で、何をするかは数多くの選択肢から自分で選べる。息子が選んだのは水曜:ウォーミュージアム、木曜:『シュレック』鑑賞(ミュージカルか?)、金曜:ロンドンダンジョンと連日セントラルに出かけ、来週の月火にはクリエイティブコースをとったようだが、残りは全部観光コース。なんというパッシブな選択とあきれる。
それが終わるとたっぷり2ヶ月の長い長い夏休みが始まる。宿題は例年ほとんど出ない。
午後4時過ぎ、東京に単身赴任中のつれあいと夏休みの計画について電話で話していたら息子が帰宅した。つれあいは息子のブログを毎日読んでいるので、わたしよりかれの生活(の一面)に詳しい。わたしもたまに読むけど、あきれるほどどっさり書いてあって読み疲れする。つれあいは息子とフェイスブック友達でもあるので、かれの交友関係もよく知っている。わたしはフェイスブックはやらない。
つれあいと息子は毎夏ゴゾ島に1週間ダイビングに行く。ダイビングクラブのあるビーチの近所にホリデイフラットを借りるので、わたしもいっしょに行くが、ふたりが潜りに行ったあとはビーチでちょっと泳ぐほかはおもに宿にいる。たいがい仕事を持って行って、一日の大半はビールか水を飲みながらラップトップを開いている。他にやることがないので仕事がはかどる。あとは読書。
でも、今年はゴゾには行けないかもとつれあいは言う。震災と原発災害の影響で新学期のスタートがほぼ1ヶ月遅れたので、1学期が後ろに延びて夏休みが1ヶ月しかない(つれあいは大学で教職に就いている)。じゃあ、ふたりで相談すればと寝転がっている息子に受話器を渡した。
しばらくして受話器が戻って来たら、つれあいが「夏休みに日本には来ないの?」と聞いてきた。この件についてはもう何度も話してある。「行くわけないじゃない、こんなときに」と答えると、「日本に来たいって言ってるよ」とのこと。息子に「なんで日本に行きたいの?」と聞くと「マンガ買いたい。『銀魂』の新しいのが〜」。それだけかよ〜。
なんで、こんな時に日本に来ないのとか言うわけ?
だって来たいって言ってるし。
いつ放射能が吹き出すかわからないし、東京だってけっこう汚染されてる。今日だってどっかの二重扉を開けて放射能を吐き出すんでしょう? そんなところに子どもは連れていけない。
どうするかは生き方の問題だよ、結局〜。(←これは流行の理屈)
生き方の問題にできるのは、選択できるだけの情報があったときだよ。これだけのリスクがあります。どうしますかってなって初めて生き方の問題でしょう。
リスクがどれだけあるかわからないときは、まずワーストケースシナリオを描いて、なんとしても子どもを守ろうとする(=勝てない戦いはしない)おかあさんと、絶対に勝てない放射能との戦いを「生き方の問題」として片付ける(=負けるリスクも生き方の問題に集約させる)おとうさんとの溝は、とても埋まりそうにない。
想像力の問題かなという気もする。放射能は見えないから想像するしかない。怖がり過ぎぐらいでちょうどいいんじゃないんだろか。
*
例えば、火山学者の早川由起夫さんのブログ「早川由起夫の火山ブログ」の6月8日のエントリ「私のスタンス」のコメント欄に並ぶ、冷静で愛情深いおかあさんたちの言葉に、遠くにいるわたしがかえって勇気づけられる。(無断引用ご容赦)
http://kipuka.blog70.fc2.com/blog-entry-394.html
*
「船橋在住の主婦です。(略)事故当初から子供を連れて逃げ出したい!その一心でしたが、家族との意見も合わず、さらに東葛エリアの状況に毎日心の中では泣きながら過ごしていましたが、とにかく動こうと思い、市内計測結果をうけ、除染などの署名活動などを起そうと思っています。
周囲に危機感を抱く人があまりにも少ないです。身内でも孤立しています。
「ネットの情報は信じられない」
「福島よりマシだ」
「気にしても仕方ない」
「チェルノブイリのようにはならない」
これまで私が言われてきたことです。
私が調べた資料を見せて現状を説明しても最初から疑い、否定されるのです。そんなに大変な状況だったら政府が言うだろうと。いまだに政府が身を守ってくれると思っているのです。/何をどう説明してもこの有様です。正直、もうどうしたらいいか分かりません。時間だけが過ぎ、子供の被ばく量は蓄積されていきます。(略)」
*
「こんにちは。埼玉県鴻巣市に住む主婦です。
(略)原発事故以来、なかなか埼玉の放射線量が分からず不安な毎日でしたが、熊谷近辺の線量を知ることができて感謝しています。数値が想像していたより少し高くて驚きました。(略)・・・我が家は「逃げてどうするの?」という家長の下で人生を過ごしていますので、就活中の息子と手を取って逃げるわけにもいかず・・飯山一郎さん推奨の「乳酸菌で放射性物質除去」に励もうと思います。(略)」
*
「私も船橋市北習志野周辺です。/14日から放射能怖くて二人の子供をつれて避難生活をしてます。たまに一週間とか帰ると決まって子供達が高熱を出したり、中耳炎になったりと嫌な予感がしてしかたなかたんですが、今日まで自分が神経質すぎるのかなと孤独でした。もちろん近所のママさん中では私だけ避難生活してます。早川先生の汚染地図をみて、確信にかわりました。私も何度も役所になどに電話しますが、役所の対応を待つ時間は子供達をどんどん被ばくさせてしまうので、もう移住かな。。。終の棲家として注文住宅を購入してまだ2年もたってませんが子供たちの人生にはかえられません(泣)」
*
「(略)東葛の幼児2人を持つ母です。私も孤立しています。避難のつてはあるので(西日本の実家)今月末に決行します。ずっと主人に理解を求めましたが、無理なことでした。泣くことを止め、覚悟を決めました。義両親などにも恨まれるでしょう。波乱の生活にはなるとは思います。/今朝も某新聞にて某お偉いさんによる記事「100ミリまで問題無い」というのをみて反吐が出そうでした。喫煙や生活習慣のガンになる確率などと比較され、怒りがこみ上げます。(略)」
*
おとうさんの反応。生き方の問題か。
*
「(略)現在松戸在住、子供3人の父親です。/早速ですが、ご披露いただいている放射能図(改定版)について、「注意喚起をすることで健康被害を食い止めたい」という気持ちで作成いただいているのであれば、現状は東京都をはじめ市町村が動きだし、測定の実施とこれを受けた対応を検討するという段階となっております。
こういったきっかけを作っていただいたことには感謝しますが、現状は、もはや対策を検討する段階にあり、前向きに対応しようとする中で、また別の問題としてこういった地図による「汚染地区」という言葉が独り歩きし、街の活気は失われ、子供たちの不安をあおり
住民たちも混乱しております。(略)
我々は子供を持つ親として、子供の命と向き合いながら、親としての英知を結集し、我々にできること、対処を行うことで将来に夢と希望を見出そうとしております。
(略)我々を助けていただくという気持ちで、何卒ご配慮(不要に煽らない、健康被害にも触れるなど)いただければ幸いです。(松戸市を通した正式抗議という動きもあるようですが、そんなことをしたいわけではありません。)(略)」
*
これ ↑ 脅迫と言わない?
生き方の問題にしないおとうさんもいる。
*
「こんにちは、ぼくも松戸市に住んでいました。幼い子どもがおり、今は避難して、少し数値の低い市川市に退避しました。
上の方のおっしゃること、もし今ぼくが計測器を持っておらず、自分で調べていなければ「そうだそうだ」と思ったでしょう。しかし、自分で計測器を持ってあちこち測った結果、いろいろ考え方は変わりました。
(略)ぼくも柏で始めて異常値を発見し、各自治体に問い合わせても「そんなものはデマ」で一蹴されたのを忘れません。
そして今も「健康には影響ない」の一言で自治体は除染などを行う考えが無いということを表明しています。こんな中で、どうやって親としての英知だの対策だのができるとお考えですか?今まさに「計測をするな」「勝手な除染はするな」と行政や学校から言われ始めています。残念ながら、個人が自宅以外の場所を勝手に除染などできないのです。実際、もうすぐプール授業が始まりますが、プールサイドの高い硬β線放射は子供たちの裸足の足や剥き出しの幼い身体を射貫きます。しかし、プール授業を中止する学校はありません。
地域住民が今どれだけ危険な中に住み暮らしているか、住民の共通認識を持ち、また行政にきちんと「市民の総意として」伝えないと無理なのです。
そういう意味では、早川先生のマップに書かれていることは実測値に基づく事実でしかありません。残酷だけど厳然たる事実であることを、自分の計測からも確信しています。/小手先の防御は放射能にはききません。市民が団結して行政と力を合わせ立ち向かうか、個人としてあきらめて去るしかないのです。
チェルノブイリの汚染地域などの文献を調べて行くと、我々の地域よりも実は汚染されていない場所が多いことに気づきます。空間線量もはるかに低いのです。「恐怖に陥れられる」のではなく、「恐怖するに値する汚染地域になっている」ということをぜひ、松戸市民は認識するべきだと思います。そしてその損害に関しては原子力行政を進めてきた政府、東電に対してこそ怒るべきではないかと思います。(略)」
*
こんなコメントも。これ、↓ こわいです。
*
「盛岡在住です。やはり北上川沿いに汚染が北上してきていたのですね。そんなことだろうなと想像していました。今年のたんぽぽがプチ巨大化(一株に花が40本もついてたり…)していたので、きてるかもなーと感じていました。(略)」
ラベル:原発震災
【関連する記事】
- さくら。ねこ(泣ける動画、腹がよじれて)。
- パトリック・チャンと『けいおん』
- ルー・リード死す
- 2013年の対日戦勝記念日が終わり、映画『レイルウェイ・マン』が来る
- チャベスの死
- 究極のエキゾチシズム、ガラパゴス化をきわめるという手もある
- ハマス-イスラエル休戦協定発効とバス爆弾の謎
- 今年もぐっと来るジョンルイス百貨店のクリスマスTVアド
- 革命なう@リビア カダフィの後継、サイーフは自由の身、とBBCが報じる
- ロンドン(イギリス)暴動ーーキャメロン首相のマッチョな対応にあきれる
- ロンドン・イズ・バーニング、文字通りの。ロンドン暴動が全国に飛び火。
- 今日のNEWS‥ノルウェイの銃乱射+自動車爆弾続報とエイミー・ワインハウスの死
- 素浪人バグダティスと職人ルビチッチ<ウィンブルドン1週めの面白試合>
- 伊達vsヴィーナスのテニス史に残る試合。もう1回見たいマッチなんてそうはない。
- マフーvsイズナー、ウィンブルドン2日目に因縁のふたり再び相まみえる
- ウィキリークス、日本の原発の暗い歴史を大量放出
- 春のガーデニングすごろくーー1回休み
- 日本の加害者化 ーー対岸から火事を眺めて
- 映画『東京原発』ーー日本原子力発電の闇に切り込む
- キロシローの遺言「電力は余ってる おれはガンで死にたくねえ」

