2011年05月22日

<原発ダイアリー> 後藤政志さん講演:「本質的に安全な原発は無理」

チェチェンニュースの大富さんの「原発ダイアリー」2011年5月22日分ハイライトを転載します。段落等適宜変更しました。
全文はこちら。http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20110504

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2011年5月22日原発ダイアリー

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今日のトピックス
後藤政志さん講演:「本質的に安全な原発は無理」

 おはようございます。

 昨日は都内某所で、元原子力プラント設計技術者の後藤政志さんのお話を聞いてきました。今日はその内容のメモにします。なお、私の文責です。

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 元々は船を設計していた。船は外圧容器。外からの圧力をどう防いで、船という容器を水に浮かべるかを設計する仕事。原子力産業に移る時に、「容器ならできます」と言ったら、原子炉の格納容器に回された。

 原子力産業は、とにかく金があった。5千万円くらいかかる実験を、おそるおそるやってみたいと言ったら、50億円つけてくれたこともある。

 3月11日に、政府は「核反応は止まった。あとは冷やし、閉じ込めるだけ」と発表した。しかし翌日の3月12日にはメルトダウンして、格納容器の底に穴が開いていた。

 格納容器はすでに設計限界を越えていて、あちこちから放射性物質が漏れていた。そこに爆発がかさなり、放射能を発電所の外に一気に広げた。ドライウェルベントは、何のフィルターも介さずに放射能を外に出すということ。それなのに政府は「万一のために、ただちに健康に影響のないレベルだ」といってベントした。本来なら「放射能を放出する。危険なので避難してください」というべきだった。

 事故の規模を考えるときのポイントは、現在の放出量だけではなく、危険源の量で評価しなければならない。チェルノブイリの場合は損傷したのは1基だけだった。福島の場合は4基とも事故を起こしていて、おおざっぱに言って3倍の放射性物質が事故に遭っている。

 1〜4号機のすべてが深刻な問題を抱えている。ひとつでも大事故を起こしたら、連鎖的に4基とも大事故になるのが目に見えている。事故はまったく収束していない。

 制御棒の挿入に動力が必要なこと、そして、制御棒の脱落事故が起こることが、沸騰水型原子炉(BWR)の最大の弱点。これまでも何度もそれ関係の事故が起こっており、どうしても絶対の安全がない。

 冷却と水蒸気爆発のリスクは抱き合わせ。

 絶対に安全な原子炉というものは作れない。今回の事故は、地震の時点で送電線が倒れ、外部からの電源供給が止まった。事故シーケンスは無限に考えられる。地震・津波はきっかけにすぎなかった。絶対安全な原発が作れない以上、私は原発に反対する。

 東電からの情報はころころ変わるから、データを基に何が起こっているかを考えることができない。批判的な研究者が一生懸命知恵をしぼって、考えを発表すると、とたんに「今までのデータは間違いでした」といって、根底からくつがえされてしまうことが続いている。こんな状態では、思考停止にならざるをえない。

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 ということでした。とくに、最後の部分は背筋が寒くなりますね。情報を隠して、外部の研究者を撹乱して、思考停止させる。「工程表を支障なく進めるため」とか考えているかもしれませんが、国全体として見ると、まさに滅びの道です。

 今、日本は戦争中だと私は思います。

「撤退」を「転進」と呼び、「全滅」を「玉砕」と呼び、「敗戦」を「終戦」と呼び変えて、いつも責任を逃れてきた政府と軍部。その癒着した関係が、今は政府と東電・財界なのです。そして、東北と首都圏で、何千万人もの人々が何も知らされずに放射能の風下に置かれています。

 明日の行動案内です。よろしければ、ご一緒しましょう。

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5月23日(月)文部科学省 包囲・要請行動&院内集会
〜子ども20ミリシーベルトを撤回せよ! 福島の子どもたちを守れ!〜

集合:5月23日(月)13:00@文部科学省前
東京都千代田区霞が関3-2-2(最寄駅:虎の門、霞が関)
地図:http://www.mext.go.jp/new_map/index.htm

あまりの事態に、福島の親たちが立ち上がりました! みなさんもぜひ応援してください。5月23日13:00、文科省前に集まってください。

5月23日(月)参議院行政監視委員会質疑
「原発事故と行政監視システムの在り方」

午後1時〜4時 <参考人の意見陳述(各15分程度)>

小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)
後藤政志(芝浦工業大学非常勤講師)
石橋克彦(神戸大学名誉教授)
孫正義(ソフトバンク株式会社代表取締役社長)
参考人及び政府(経済産業省の政務三役の誰か)に対する質疑<質疑 2時間>

<参議院インターネット審議中継>(アーカイブでも視聴可能)
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

それではまた明日まで、お元気で。

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posted by nfsw19 at 08:45| ロンドン ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | メルマガ引用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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