全文はこちら http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20110422/1303430787
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2011年4月22日原発ダイアリー
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今日のトピックス
人体実験が始まる──対政府交渉の失望
おはようございます。
昨日(21日)は、福島の小中学校での汚染と、被爆基準値引き上げに関する政府交渉に行ってきました。とりあえずビデオを紹介します。
子どもの安全基準、根拠不透明〜市民の追及で明らかに
福島老朽原発を考える会をはじめ3団体の呼びかけで21日、文部科学省が児童の放射線許容量を年間20ミリシーベルトとする安全基準を出したことに関して、その数値を撤回するよう交渉を行った。出席した文部科学省と内閣府原子力安全委員会の担当者は、ほとんどの質問に対して回答することができず、子どもの安全基準の根拠が不透明であり、きちんとしたプロセスがとられていない可能性があることが明らかとなった。
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1012
[ourplanet-tv がY/Tにアップロードした動画を「続きを読む」の下に貼付けました]
[上記政府交渉の冒頭で発言した福島の女性、5人のお子さんをもつかたの発言の書き起こし「福島の母親の声」を「続きを読む」の下に貼付けました]
なんというか、すごいつかれました……。
参議院議員会館の会議室を埋め尽くす、120人ほどの人々の前に、原子力安全委員会や文部科学省から、4人の若い官僚が説明に来ました。しかし、誰が、どのように20ミリシーベルト/年への基準緩和を決めたのか、それすら明らかになりませんでした。
これは緊急時、つまりやむをえない場合のための基準の緩和です。ほかにどうにもできない場合にのみ、認められる話のはず。たとえば、子どもたちを疎開させたり、汚染された校庭の表土を取ったり、可能なかぎりのことをした上で許されることなのですが、文部科学省がしているのは、ただ基準を上げることだけです。
基準が引き上げられると、子どもたちへの放射線管理手帳の交付すら、必要になるかもしれません。……そう思っていたら、今日の産経新聞にこんな記事がありました。
住民の健康を数十年調査へ
広島・長崎モデルに放射線研究機関
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110421-00000541-san-soci
[記事の全文は「続きを読む」の下にあります]
広島で被爆者を対象に研究を続けながら、一切治療を行わなかったことで悪名高い、原爆傷害調査委員会(ABCC)に始まる被爆研究。
彼らは大量の論文を製造しながら、人々を放射能から守るのではなく、結局、被爆基準の引き上げに賛成するだけです。そしてこれから福島で始まる研究から、新しい知識が生まれてくるでしょうが、そういうやり方は「人体実験」と呼べるものです。
ふう。つい、怒りをぶちまけてしまいました。
ビデオを見てもらうとわかると思いますが、会場も怒りの声に満ちています。若い官僚の方々は、おそらく何も知らない状態でこの会議室に送り込まれたか、「何を言われても確定的な回答はするな」と厳命されて来たのでしょう。
しかし、その一方で、たった一枚の通達書で失われていく命があります。権力というものは、こういう表情で、私たちを切り捨てていくのですね。今日知りました。
さて、怒りは怒りとして、明日はデータ的な整理をもう少し進めて、放射性物質との付き合い方を考えてみたいと思います。それではまた明日まで、お元気で。
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Sat, 23 Apr 2011 18:02:30 +0900 (JST)
Mさん;「福島の母親の声」
友人から昨日(日本時間22日)もらったのメールを投稿します。
〜 〜 〜
きょう参院議員会館で、福島県の学校の校庭利用における「被曝限度年20ミリシーベルト」の撤回を求めて「福島老朽原発を考える会」などが原子力安全委員会、文部科学省と交渉しました。
回答はひどいものでした。文科省の担当者は「放射線管理区域」とは何かさえ知りませんでした。原子力安全委員会は諮問から回答までわずか2時間で、会議も開かず「20ミリOK」を決めたとのこと。菅政権は福島の子どもたちを見殺しです。
交渉に先立って、福島から来た一人のお母さんが以下のような発言をしました。ICレコーダの録音から起こしたものなので、聞き間違いなどがあることはご容赦ください。
−ここから−
私はただの主婦です。5人の子どもを育てている主婦です。ここにいる方のような学問も知識もありません。わが子の命を守りたいとここに来た。
生きることの大切さを子どもに伝えてきたつもりだ。その生きる大切さを一瞬のうちに奪われてしまった現実を伝えたい。
福島の子どもたちは学校の中に押し込められて、ぎゅうぎゅうづめで通っている。それが20ミリシーベルトという数字が発表になったその日に、教育委員会は「もうここで活動していいです」と言ってきた。本当にそれで安全なのか分からないまま子どもを学校に通わせるのは不安だというお母さんはたくさんいる。
家庭の中でも、お父さんとお母さんの意見が違う、おじいちゃんとおばあちゃんの意見が違う。子どもたちはその中で翻弄されて、家庭崩壊につながっている家庭もある。学校に送り出した後に、罪悪感で涙するお母さんもいる。いろんなことが起こっている。
私たちただの主婦が分かるように説明してください。東大や京大や慶応や早稲田を卒業した人たちが地域に住んでるんじゃないんです。私たちは中学や高校しか出ていない。でも、子どもを守りたいという母親の気持ちはどこに行っても、日本中、世界中いっしょです。それを、あなたたちのような安全なところでのうのうと毎日を生活している人たちに数字だけで決められたくない。半径10キロ以内のところに対策本部を持ってきなさい。
どんな思いでとどまっているか、知らないでしょう。私たちは離れられないんです、あの場所を。生まれた時からずっと何十年も住んでるんです。子どもたちも、おじいちゃんおばあちゃんも、あの場所を離れたら…。
こんなひどいことをしておいて、数字の実験? ふざけんじゃないよ。
こんなことが許されるんですか。私はとてもじゃないけど冷静な気持ちでこの場にいられない。あなたたちの給料、あなたたちの家族を全部、福島県民のために使いなさい。福島県民を全員、東電の社員にしなさい。給料を払いなさい。そして安全を保障してください。
私たちは子どもたちを普通の生活に戻してあげたいんです。母親のこの願いをかなえてください。
−ここまで−
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子どもの安全基準、根拠不透明〜市民の追及で明らかに(前編)
子どもの安全基準、根拠不透明〜市民の追及で明らかに(後編)
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住民の健康を数十年調査へ
広島・長崎モデルに放射線研究機関
産経新聞 4月21日(木)14時19分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110421-00000541-san-soci
東京電力福島第1原発事故で、放射線の専門研究機関でつくる「放射線影響研究機関協議会」が、原発周辺住民の健康状態をモニターする長期疫学調査をスタートさせる方針であることが21日、わかった。事故収束後に調査を始める予定で、広島、長崎での被爆者調査をモデルに数十年間にわたり調査を続ける。
協議会は、放射線の健康への影響について情報交換しており、放射線医学総合研究所(放医研、千葉)、広島大学、長崎大学、放射線影響研究所(放影研、広島市)などで構成されている。
長期にわたる放射線の人体への影響については、広島、長崎で昭和22年に米国が設置した原爆傷害調査委員会が健康調査を開始。昭和50年から放影研が引き継ぎ被爆者9万4千人を追跡調査している。これまでにがんの発症率などの膨大なデータは放射線リスク予測の基礎資料になっている。
放影研によると、今回の福島第1原発事故に関連して、海外から調査の実施要請が、すでにあるという。
大規模調査は、それぞれの自治体や医療機関が個別に小規模の調査を行うことを避け、調査方法や条件を統一してデータの精度を高める。被害が現在のレベルにとどまれば、低線量の放射線による健康への影響が主な調査対象となる。また、時間の経過とともに増える転居者を追跡するため、国や自治体に協力を求める方針という。
放影研の大久保利晃理事長は「長期にわたる調査には、ノウハウだけでなく、被爆者の十分な理解が不可欠だった。放影研の経験が福島での調査でも生かせる」と話している。
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