全文はこちら http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20110409
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2011年4月9日原発ダイアリー
今日のトピックス/この日記の目的/福島第一原子力発電所の状況/使用済燃料プールの冷却/タービン建屋の汚染水/大気を経由した汚染/海水を経由した汚染(海洋投棄)/地下水を経由した汚染/モニタリングデータ/計画停電は何のため?/イベント情報/重要情報のブックマーク
今日のトピックス
日本の核開発を止めようとしたアメリカ人科学者
おはようございます。福島原発から200キロほど離れた私の家も、一日に何度も揺れます。いつ起こるかわからない東海地震に備えて、今すぐにも浜岡原発を止めてほしいと、祈るような気持ちで毎日思います。3月11日の巨大地震によって、日本の火山の活動が活発化しているのです。
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大震災後、全国20火山で地震活動が活発化
(読売新聞 4/8)
気象庁は8日、3月に発生したマグニチュード(M)6以上の地震は77回を数え、過去3年の月平均の約50倍に上ったと発表した。
また、全国の20の火山で平常時よりも地震が増加したとしている。同庁地震火山部は「東日本大震災以降、全国的に地震活動が活発化しており、大震災との関連性は否定できない。歴史的には巨大地震から数か月後に火山が噴火した例もあり、注意深く監視していきたい」と話している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110408-00000873-yom-sci
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そして7日深夜の福島震度6強の地震で、ふたたび東北各地の原発が危機に見舞われました。
東通原発、非常用発電機全て使えず 女川も1台故障
(朝日新聞4/8)
7日深夜に起きた余震では、東北地方の複数の原子力施設で外部電源からの電力供給が途絶した。このうち東北電力東通原発1号機(青森県東通村)では、復旧した外部電源で核燃料の冷却はできているものの、非常用ディーゼル発電機3台がいずれも使えない状態が続いている。
http://www.asahi.com/national/update/0408/TKY201104080592.html
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これらに加えて、六ヶ所村の再処理工場も電源喪失しました。背筋が寒くなりますね。
今日はこのことに関連して……皆さんは、川本稔さんという方をご存知でしょうか。1920年カリフォルニア州サクラメント生まれた日系2世で、戦後GHQに務めたした後、国策会社だった電源開発の高崎達之助総裁の秘書なども務めました。
今日紹介するのは、若い日の川本さんが、日本政府の資金で、原発視察のためにアメリカに行ったとき、アルヴィン・ウェインバーグ博士という人から、厳しく注意されたいきさつです。
これを読むと、日本で『原子力の平和利用』が始まるずっと前から、福島原発事故が起こることは、決まっていたようにさえ思えます。
「私は広島に落とされた原子爆弾、"Little Boy" の製作に係わった一人です。まさか人間の密集する頭上にこれが落とされるとは思いも寄らなかった。それ以来罪悪感に苛まれ、若しもう一度人間に生まれ変わることがあれば物理学者に絶対ならないと誓っている。それほど後悔している。日本国民に深くお詫びしたい」と言って右手をさしだした。
そしてウェインバーグ博士は、若い川本氏に熱く語ります。
日本の原子力発電施設の立地条件の観点から見ると、
1. 日本の人口が多い。(アメリカの約50%)
2. その領土は狭い。(アメリカの約5%)
3. その上 地震多発国である。
という悪条件が三拍子揃っている。まるでバッターボックスに立つ前に三振がコールされているのと同然である。(like having three strikes called before coming to the batter’s box)
また原子炉の運転ミスが絶対にないと言い切れない。その上予想外に大きい地震が発生し大量の放射能漏れが発生したとなると、日本の人口が稠密である為、外国と比べ物にならない多くの人身災害が出る可能性が大である。
このウェインバーグ博士の警告にもかかわらず、日本政府と産業界が原発を推進してきたのは、ご存知のとおりです。
一つの数式も出てきませんが、ある意味で、知るべきことはすべてこのテキストにあるといっても、過言ではないと思います。ぜひご一読ください。
全文: http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20110407/1302193002
テキストお寄せいただいたKさんに感謝します。ではまた明日まで、お元気で。
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上記テキストより一部抜粋します。お急ぎのかたはこれだけでも。
戦後日本の原子力発電計画に対する
一人の米国人物理学者の諌言
(川本 稔 2011年4月8日)
1957年、私は当時の岸内閣の経済閣僚であった高崎達之助氏の命を受け、原子力の平和利用の現状視察のため同僚と二人でアメリカへ渡った。
当時日本の原子力に対する一般認識が低く、原子力=原子爆弾と云う域を余り出ていなかったと思う。原子力の平和利用についてはまったくという程一般知識が欠けていた。勿論私も例外ではなかった。
(中略)
同研究所[オークリッジ国立研究所]の所長、アルヴィン・ウェインバーグ博士(Dr. Alvin Weinberg)が、戦後初めて会う我々日本人に話してくれた貴重な lesson を ここで紹介しておきたいと思う。
(中略)
「日本は廣島、長崎と二度までも原爆と言う悪魔の洗礼を受け、もう原子力には懲り懲りだと私は思っていたにも拘わらず、今度は原子力の平和利用と言う名目で、特に原子力発電に興味を持ち始めた。これには私は理解に苦しむ。そこで貴方に言っておきたい事がある。どうかそれを私の土産として日本の皆様にお伝え下さい」
(中略)
「原子炉でウラン燃料を燃やすとウランの灰が残る。この灰には有毒放射能が残っていて其の毒性は何千何万年と言う長時間残存するものが多い。そこでこの灰を人類其の他地上のあらゆる生物に危害が加わらない安全な方法で保管または処置をしなければならない。
現在アメリカでは、用済み燃料をドラム缶に詰めて人里はなれた広大な砂漠の地中深く埋めるか、深海に沈めている。しかしいずれドラム缶が腐食し中の放射能が漏れて地下水に溶け込み、河川に運ばれ魚介類に吸収され、植物連鎖で最終的には人間の口に入り我々の健康を害し、また連鎖的に動植物に危害を加え、その結果生物に取り返しのつかない事態を引き起こす。
アメリカの一般国民はまだこの様な無責任なやり方に気付いていない。しかし早晩これに気付き、大問題に発展することは必死である。しかし今の所、山積する放射能廃棄物を処分する方法はこれ以外にないのである。実に情けないことである。
未来何千年、何万年にわたり地上の生物を放射能の危害から100%安全に守る方法が見つかる可能性は残念ながら薄いと言わざるを得ない。まさに八方塞がりの状態で、これは原子力開発のもつ実に悲しい宿命である。
また原子炉の耐用命数は約30年。30年経てば解体しなければならない。しかし今日現在、いまだ安全な解体技術が開発されてないという悲しい現状である。かりに開発されたとしても、比べ物にならない高レベルの放射能を持つ炉心部やその他部品をどうやって安全管理するのかと言う更なる難問題にぶつかる。」
(中略)
原爆の恐ろしさを身をもって体験させられた日本人こそ、原子力の平和利用、中でも安価で豊富な電力と言う美名に乗せられて悪魔と取引してはならない。又、科学者の言うことを鵜呑みしてはいけない。
(中略)
帰国して岸総理、高崎大臣に、博士の忠告をそのまま報告したことは言うまでもない。しかし日本の採った道は博士の言う「悪魔の原子力発電」であった。いまや60余の原子力発電施設が日本狭しと並んでいる。しかし日本が選んだ発電炉は皮肉にもウェインバーグ博士の特許である、ウランを燃料とする軽水炉であった。しかも早や1960年代初頭、既に博士はウラン型軽水炉の弱点を声高々と警告していた。
(中略)
いうまでもなく日本の原子力発電は、勤勉な日本の労働力と相まって、戦後日本の産業復興に貢献し「ジャパン・アズ・ナンバーワン」のラベルが至るところに貼られるまでに至った。その功績は将に原子力発電に負うところ大であった。一方、パンドラの箱が開かれてから早や50数年、博士の恐れた「この世のありとあらゆる災難」の一つ、いや三つ、「地震、津波、原発破壊」がわが国を襲い、我々は英知を絞って対処している真っ最中である。
結果いかんを問わずわが国民は、これ以上原子力発電政策の継続を許さないだろう。これに変わるClean energy, clean air政策を重点的に採用することを要求するであろうし、そうすべきである。
(後略)
*原発の核廃棄物(死の灰)の処理保管技術は、筆者の川村さんがウェインバーグ博士から助言を受けたときからほとんど進歩していない。
2011年4月8日原発ダイアリーはこちら。
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