2011年04月09日

<電力の将来>スペインの風力発電、最大の電力源に成長

朝日新聞に掲載されたイギリスの原子力安全性専門家ウォルト・パターソンさん(英国在住のカナダ人科学者)のお話にもあったが、スペインでは風力発電が最大の電力源に成長したことを紹介する記事。


スマートグリッド:
スペインの風力発電、最大の電力源に成長


欧州の沿岸諸国は風力発電の採用に熱心だ。スペインの送電企業REEは、2011年3月、風力発電が原子力や水力を上回り、最大の電力源に成長したと発表した。

2011年04月04日 21時15分 UPDATE
[畑陽一郎,@IT MONOist]
http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1104/04/news113.html

 スペインの送電企業であるRed Electrica de Espana(REE)は2011年3月31日、スペインの電力供給に占める風力発電の比率が前年同月比5%増の21%(4738GWh)に達し、月別統計では初めて最大の電力源になったと発表した。REEは政府系企業が1985年に設立したスペイン全土の送電を担う企業。

 スペインは再生可能エネルギーの採用に熱心であり、風力発電(21%)と水力(17.3%)、太陽光(2.6%)の合計が電力供給の4割を超える(図1)。同社は温室効果ガスの排出削減にも熱心であり、2011年3月には、CO2を発電時に発生しない技術によって、電力の57.9%を生み出したという。

図1キャプション スペインの電力供給 2011年3月の値。発電量の大きい順に、風力、原子力、水力、ガス火力(コンバインドサイクル)、コージェネレーションシステム、石炭火力、太陽光が並ぶ。出典:Red Electrica de Espana
(図=円グラフは当該ページにアクセスしてご覧下さい)



同じニュースを報じる4月1日付けのAFPの記事によると、同国の3月の風力発電量は、ポルトガル程度の広さの国の電力消費1月分をまかなえるという。ホセ・ドノソ(Jose Donoso)スペイン風力発電協会会長は、「この歴史的な成果は、風力が自然のクリーンなエネルギー源である上に競争力もつけており、スペインの300万世帯に供給する能力があることを示している」と語ったそうだ。



風力発電が全発電量の20%を超えて、しかも、それはポルトガル規模の国なら100%にあたる量というだけでも大したものだが、なんと過去には、瞬間的にとは言え40%を超えたこともあるそうだ(2008年3月)。Mottainai Lab.のアーカイブからコピペします(無断です)。


風力発電量が40%越え!
ドン・キホーテが生まれた国が、風力発電大国へ

(2008.08.15)
http://mottainai-lab.jp/wakuwaku/2008/08/001668.php

スペインから誕生した物語ドン・キホーテには、風車を巨人と間違えたというエピソードがあり、昔ながらの風車がスペインのシンボルとなってきた。しかし、近い将来、「風力発電の風車」がそのシンボルとなる日がきそうだ。

スペイン風力エネルギー協会(AEE: Asociacion Empresarial Eolica)が3月22日発表したのは「風力発電による発電量が全電力需要の40.8%となり、一時40%の大台を突破していた」というニュース。

40%を越えたのはスペイン全土で強風が吹き荒れ、また電力消費も少なかったことによる一時的な現象だが、スペインは2007年1年間の全発電量の9.5%を風力によってまかなっており、その発電量はドイツについで世界第2位となっている。

風力発電は、今後最も成長が見込めるクリーンエネルギー産業とも目されており、インドや中国でも風力発電産業の成長が目覚しい。スペインには世界第2位の風タービン製造会社ガメサ・エオリカ社など風力発電業界でリーダーシップをとる企業も多くあり、世界有数の風力発電大国なのだ。

日本は風力発電に向く土地が少ないという地理的条件や、設備に対して一定の制限があり、世界の2%弱の発電量を占めるに過ぎない。また、内の全発電量に占める割合は0.001%にも満たないというのが現状。しかしながら、日本の風土にあった風力発電装置の開発も進んでいるようなので、今後の展望に期待しましょう!

●スペイン風力エネルギー協会
http://www.aeeolica.es/
●Photo by boskizzi
http://www.flickr.com/photos/18548550@N00/20688048



上記の記事で日本の風土には合わないと言われている風力発電をはじめ、様々な再生可能エネルギーの実際については<緊急会議 田中優×小林武史 (2) 「新しいエネルギーの未来」>で語られている。この対談をツイートする人がどっさり出てきたら、これへの反論もどっさり出てきたが、なんだかとてもいい眺めだ。

いままでは「CO2を出さないクリーンな電気」と言えば主力は原子力というのが前提で、自然エネルギーについてはほとんど添え物、色物扱いだった。それに比べれば、その可能性について真剣に議論する人がたくさん出てきたのは何倍も喜ばしい。


それにしても「緊急会議 田中優×小林武史」は元気の出る対談なのでぜひ一読を。
緊急会議 田中優×小林武史 (1)今だからこそできる話がある
http://www.eco-reso.jp/feature/love_checkenergy/20110318_4983.php
緊急会議 田中優×小林武史 (1)新しいエネルギーの未来(2)
http://www.eco-reso.jp/feature/love_checkenergy/20110319_4986.php#e_teisei






ラベル:電気 原発震災
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posted by nfsw19 at 05:00| ロンドン | Comment(0) | TrackBack(0) | 記事&番組クリップ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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