2010年11月12日

[知恵袋] 学生5万人がロンドン中心部でデモ行進ってどう思います?

大学生ら約5万人が10日、ロンドン中心部の英議会議事堂周辺でデモ行進したってどう思います?

【ロンドン=大内佐紀】英国の連立政権が進める財政赤字削減策の一環として、学費の負担が増えることに抗議、大学生ら約5万人が10日、ロンドン中心部の英議会議事堂周辺でデモ行進した。/デモ隊の一部は暴徒化し、近くにある与党第1党・保守党本部建物のガラスを割って乱入する騒ぎとなった。/デモは開始当初は平和的だったが、保守党本部前で警官隊ともみ合いとなった末、約50人が中に押し入り、屋上から消火器などを下に向かって投げつけるなどした。この騒ぎでデモ隊と警官隊双方にけが人が出た。(2010年11月11日11時12分 読売新聞)




政府に対する意見表明は民主主義社会におけるもっとも重要な市民の権利のひとつですから、それを行使することには何の疑問も感じません。逆になぜ「デモ行進したってどう思います?」と質問されるのかが気になります。デモは悪いことだと思ってるんでしょうか?

デモが行われたことと、デモ隊の一部が暴徒化したことは、別に考える必要があります。いっしょにすると「そんなデモはやらせてはいけない」とか「デモの取り締まりを強化しろ」といった発言に結びつきやすく、市民が自らの首をしめることになります。(息子の中学校でも歴史の先生が「デモによる意思表明は市民の権利であるから、一部にアナーキーな状態が発生したからといって、デモを禁止しろとかいった方向に理論を進めてはいけないと昨日の授業で言っていたそうです)



イギリスでは、警察がデモ隊の規模を低く見積もり、暴徒化を事前に食い止めることができなかったことが批判されています(言うまでもなく、消化器を投げた若者は殺人未遂で訴追される可能性があります)。警察はこの日のデモの参加者を2万人と見積もり、警官を200人しか配置していませんでした。同日同時刻に別のデモもあったので配置できる警官の数が足りなかったという事情もあるようですが、もっと大きくは昨年のG20サミットの際に警備を厳重にし過ぎ、デモ参加者への重大な権利の侵害があった(死者も1名でた)ことで批判されたことが原因となっています。


暴徒化の火をつけたのはごく一部の極左で、かれらは最初からデモを混乱させ、暴れることが目的でデモに参加しています。組合や支部ごとに参加する職業ごとのデモ(一般参加が少ない)でないかぎり、どんなデモにもこの手合いは参加し、暴れる機会をうかがっています。しかし、主催者側と警察が協力し(警察に取り締まりを依頼するといったことなどではなく、平和的に仕事を分けるという意味です。主催者にとっても暴徒は非常に迷惑ですから)、またあらかじめターゲットになりそうな場所の警備を強化することで、暴れ専門の参加者を一般の参加者から隔離し、暴徒化が広がることを防ぐことができます。

例えば、イスラエルによるガザ攻撃に反対するデモでは、警察はイスラエル大使館周りの警備を強化し、またデモ隊がその前で立ち止まることを禁ずることで暴力行為の広がりを最小限に食い止めてました。(だからと言って、イスラエル大使館をデモのコースから外すような圧力はかけられませんでした)



この授業料値上げ反対のデモでは、議会第一党の保守党よりも、現在の連立政権を構成する第三党の自民党への攻撃が予想されていたので、警察の警備はそちらに集中していたようです。というのも、自民党は選挙期間中、授業料値上げには絶対反対の布陣をしいていて、学生の組合が提案した反対署名に党の議員全員が署名していたからです。

イギリスでは現在、膨大な負債を削減するために、福祉や教育など社会生活のあらゆる面で厳しい引き締めが実行されようとしています。今回の学生のデモはこれから続くもっと大規模な、あるいは、もっと手厳しいデモの最初のひとつに過ぎないでしょう。イギリス人はデモにもストライキにも慣れてますが、あまり重なると社会生活が困難になりそうです。



2010年11月10日NUS主催大学授業料値上げ反対デモ


半ば過ぎあたりにNUS(全国学生連盟)の現会長が出てきますが、かれの世代は2003年からの過去7年にイラク戦争反対デモへの参加などを通して示威行動のノーハウを身につけてきた世代ではないかと思います。専用バスで全国から学生を集め、警察が2万と見積もったデモに5万を動員した手腕に感心。
posted by nfsw19 at 00:00| ロンドン ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 知恵袋回答 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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