2010年11月18日

[知恵袋]最近イギリスで人気のミュージシャンはだれですか?

最近イギリスで人気のミュージシャンはだれですか?
バラードやガールズロックにだれかいい人いませんか?
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イギリス版芸能学校 BRITスクール&Elliotスクール

2010年のマーキュリープライズのアルバム・オブ・ザ・イヤーのファイナリストから選びました。

The xx--Islands


2010年マーキュリープライズ、アルバム・オブ・ザ・イヤー受賞者の3人組。ロンドン南西部パットニーの公立中等学校エリオットスクールの同級生バンドです(それどころか幼稚園からいっしょだそうです。バンド名の「x」は小文字)。最初に聴いたとき、ぺんぺこしたギターがちょっとドルッティコラムに似てるなあと思いました(この曲ではないです)。

エリオットスクールからは過去数年、インディ系の人気バンドがいくつも出てきてます。この学区に住んでいたので息子の中学選びのときにヴィジットしたことがありますが、なんということはない普通のコンプリヘンシブです。(エリオットスクールについては続きを読むのあとに)


Laura Marling--Goodbye England (Coverd in Snow)




Villagers--Set the tigers free




Cornnie Bailey Rae--I'd Do It All Again



他に8アルバムがノミネートされました。12アルバム全部を紹介している動画のリンクも貼付けておきます。50秒過ぎからアルバムの紹介が始まり、4枚ずつ3回にわけて出てきます。ポール・ウェラーが元気でうれしいです。
http://www.youtube.com/watch?v=h_7dW_7FaIA


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イギリスにはパフォーミンクアーツ(いわゆる芸能)に特化して十代の若者たちを教育する学校(アメリカのドラマ/映画の『フェーム』みたいな学校)がけっこうな数ある。芸能学校と言っても芸能科目(演劇、音楽、ダンスなど)だけを教える各種学校ではなく、アカデミックな科目もナショナルカリキュラムに沿って教育し、在校生はGCSE(中等教育修了試験)や、場合によってはAレベル(大学入学資格試験)も受験する。

そのなかでも、芸能界で成功した卒業生の数や華やかさではロンドン南部、クロイドンのBRITスクールが群を抜いている。ブリットスクール出身の有名芸能人の長い長〜いリストには、エイミー・ワインハウス、レオナ・ルイス、ケイティ・ナッシュ、アデル、ケイティ・メルアなどなどイギリスポップミュージック界の現役スターがずらりと名を連ねている。

それもそのはず、ブリットスクールはポップスター/プロフェッショナルパフォーマーとそれを支えるテクニシャン養成のために、ブリットアウォードのBRIT/British Record Industry Trust 英国レコード産業トラストがスポンサーになって開校した学校なんである。開校は1991年なのでまだ20年もたってないにもかかわらず成果は著しい。



ブリットスクールはサッチャーの肝いりで始まったシティテクノロジーカレッジ (CTC) のひとつだ。CTCは税金は控えめに使用しつつ、質の高い教育を無料で提供するために考え出された政策に沿った教育機関で、最終的には全国に15校程度が誕生した。困難校の建て直しや新設校開設のためにスポンサーとなる企業/団体を募り、それらの企業/団体は土地と建物と年間運営費の5分の1を提供する代わりに自分たちの名前を校名に付けることができ、また生徒の選抜基準や学校の方針を決定できる。そんなわけでCTCは公立で授業料がかからず、学校の運営方針や生徒の選択基準は運営委員会にゆだねられている。

というわけで、ブリットスクールはパフォーミングアートと音楽産業の発展のために作られたCTCなので、そこから有名アーティストや有名テクニシャンが大量に出てきても驚くにはあたらない。なにしろ設備がすごい。700名収容可能な専用劇場やダンススタジオ、レコーディングスタジオ、ミュージカル用のスタジオ劇場、テレビやラジオのスタジオまである。

子どもをイギリスの芸能界で成功させたかったらブリットスクールをねらうという手もある、かも。現在、学校の敷地に隣接した新しく入手した土地に新施設を建設中で、募集人員は2012年度から倍増する予定だそうだ。入学資格等についてはブリットスクールのホームページをお読みくださいまし。在校生による学校案内など動画満載なので入学に興味がなくても見ると楽しいです。ダンスにしろ音楽にしろ、みなうまいのでたまげる。

BRITスクールプロモ




ブリットスクールに比べた場合、イギリスのパフォーミングアート界におけるエリオットスクールの活躍は特筆に値する。

エリオットスクールはパフォーミングアートには伝統的に力を入れてきた学校で、生徒を校外の劇場に出して本格的に演劇を学ばせたりはしてきたようだし、ぼろっちいけど劇場も持っている。とは言え、なにしろロンドン南西部パットニーの住宅街にある普通の公立コンプリヘンシブだ。校舎も老朽化しているし、アカデミックな方面はかなりヤバい状態にさえある。

インディ系を中心とするエリオット卒業生の活躍については、2008年のインディペンデント紙の記事 The real school of rockに詳しい。わたしがエリオットのこういう側面を知ったのもこの新聞記事からで、息子の中学校選びのためにエリオットのオープンデイに行ったころはまだ知らなかった。知っていてもぱっとしない学校の印象は変わらないとは思うけど、希望する公立校のリストの優先順位には影響があったかもしれない(*末尾に説明を加えました)。

マーキュリープライズのファイナリストのHot Chip、ダブアーティストのBurial、フォークシンガーのAdem Ihan、マーキュリープライス・ファイナリストのジャズミュージシャン、Emma Smith、インディバンドのThe Maccabees、パワーメタルのDragonForceなどの(バンドの場合はメンバーの一部/全部)がエリオットの卒業生だそうだ。ここに今度The xxが加わった。(音と映像はYOU-TUBEで検索してご覧ください。なかなか反逆的でよいものが多いです)

記事によると、短期間にこれだけの才能がひとつの場所から出てきた理由として、ひとりの音楽教師の貢献も見逃せないようだ。とは言え、特にかれが優れた授業を行っているというわけでもないようで、在学中にバンドを作っていた生徒などに、ありきたりなコード進行を使うなとかいった曲作りのアドヴァイスを与えたりしていたらしい。

優れたミュージシャンの続出についてかれは「ミュージシャンは互いに育て合う。学校の中や外でコンサートをしたり、他の学校のミュージシャンと交流を持ったりして、互いに刺激し合い成長する」と言っていて、それが次々に才能が開花する原因だろうとしている。そのようにして育ったミュージシャンの側からは学校が非常に協力的だったとの感想も出ている。

エリオットスクールのホームページはこちら。なんということのない普通の学校です。






ロンドンの公立セカンダリースクールの入学について。

ロンドンの公立中等学校に子どもを入学させたい場合は居住する区に願書を提出するのだか、その際に希望する学校を少なくとも4校書き込まなければならないシステムになっている。カウンシルはそれを使って、できるだけ希望順位の高い学校に入れるように生徒を割り振るのだが、これが一筋縄ではいかない。

ロンドンには選抜試験のあるグラマースクールはないので公立の中等学校はすべて原則無試験のコンプリヘンシブで、学校から近い子どもから入学を許可することになっている。が、全部コンプリヘンシブと言ってもやはり差はあり、元グラマーや中流居住地域の学校は概してアカデミック面や素行面で秀でている。そんなわけで人気が集中する学校はものすごい競争率になる。

エリオットスクールがある(しばらく前までうちの家族が住んでいた)ワンズワーズ区では元グラマーのマンモス校Gスクールがそれにあたり、近隣の区からの応募もあわせて倍率は毎年10倍以上に跳ね上がる。

Gにはコンプリヘンシブとしては少々特殊な事情があり、生徒の約2割がリーズニング試験(複雑な知能テストのようなもの)で選抜されるので、その枠をねらう受験者の数が半端でないのだ。残りの生徒は家が学校から近い順に入学許可が出るため、Gスクールの周りだけ不動産価格がむちゃくちゃ高い。つまり、公立校であるにもかかわらず、Gにはその高い不動産を買う/借りる余裕のある中流家族の子どもが集まることになる(こうした機会の不平等を解決するためにくじ引きに移行する学校が近年増えている)。

Gスクールの場合、学校の近くにカウンシルエステートがあるので在校生は金持ちばかりではないが、とにかく学校の門から道なりに測って500〜600メートル以内に居住する子どもで無試験入学枠は埋まってしまう。

願書のリストに4校書き込まなければならないのは、どうしてもこの学校に子どもを入れたいと願う親が希望する学校1校だけを書いて提出するのを防ぐためだ。そんなことをしても入学許可の確率は上がらないし、それどころか、その子の学校は他の子どもの第2希望、第3希望で枠が埋まったあとでしか決められないので、悪くすると行ける学校がない場合も出てくる。

我が家は願書の希望順位1位にキングストンのグラマー、Tスクールを入れ、Gスクールを2位にし(家から遠かったので試験枠ねらいで)、3位はビジュアルアートに力を入れている学校にし、4位にエリオットを入れた。つまり、エリオットの音楽業界への貢献を知っていたら3位と4位が入れ替わったかもということで〜す(ミーハー)。だって、願書を出した時点ではとてもじゃないがTやGに合格するとは思えず、公立にいくとしたら3位の学校になるだろうと半ば以上予測していて、もしものときのために滑り止め用の私立も受験させていた。

結果、まずGスクールから入学許可をもらって大喜びし、その後、Tスクールからも補欠入学の許可をもらった。でも、とても受かりそうもないと思っていた(人の勧めでよく調べもせずに願書を出した)私立のKカレッジスクールに合格したのでそこに決め、結局両方とも辞退してしまった。競争率の点から言うとGの辞退が一番もったいなかったし、経済面から言えばTの辞退がもったいなかった。

いま思えばわずか4ヶ月の受験勉強でよく合格したものだ(死にものぐるいで勉強させたけど)。なにしろアカデミックな面ではてんで弱いシュタイナースクールに通っていたので、受験勉強を始めた8月の終わりには算数はナショナルカリキュラムより2年も遅れていたのだ。それを知った時の焦りはいまでも忘れない。

posted by nfsw19 at 00:00| ロンドン | Comment(0) | TrackBack(0) | 知恵袋回答 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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