<死刑制度に賛成ですか?反対ですか?>
死刑制度には反対です。
1) 刑事罰は懲罰のみを目的とはせず、更正もその目的としています。よって、更正の可能性がまったくない死刑は刑事罰の主旨に反します。終身刑をもって最高刑とすべきでしょう。
2) 被害者の遺族の懲罰感情は刑事罰の執行をもってしても満足を得られるものではありませんし、家族の生命など失ったものの埋め合わせにもう一つの生命を奪うのは矛盾しています。
奪われた家族の生命は、その殺人を未然に防げなかった国家の責任として、国が損害賠償の責任を負うべきです。それは、別の生命を奪うことではなく金銭により賠償されるべきで、特に被害者が一家の働き手であった場合など金銭による賠償の方がずっと役立ちます。
また、犯罪被害者に対しては、やはり国が責任をもって精神的なケアをする仕組みを用意する必要があります。
3) 冤罪の可能性が100%つぶせない以上、いかなる犯罪に対しても死刑をもって刑罰とすべきではないと考えます。
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終身刑の囚人を税金で養うことに抵抗がある人がいらっしゃるようですが、生命はそれがだれのものであっても同様に扱われなければならないとする原則を外すべきではありません。この生命は軽く、この生命は重いといったように、生命の軽重の決定権を国に持たせることは、いかなる理由があっても危険過ぎます。
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死刑について考える時、たいがいの人は自分を被害者に重ねますが、加害者の親であったらどうかと考えるともっと別の判断ができると思います。想像力や共感する能力を被害者だけでなく加害者の側にも働かせてみたらどうだろう。
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陪審員ならぬ裁判員制度に反対だ。法の素人がごく限られた日程(3日程度が理想とされている)の公判の後に判断できるのはせいぜい有罪か無罪かまでで、死刑も無期懲役も含む量刑までを裁判員に判断させるのは制度として間違っていると思う。
世の中にはどうしても専門家でなければ勤まらない職業があり、裁判官もそういう職業の一つだと思う。なんのために膨大な判例を覚えたり、長い長い判決の歴史を研究したりするかといえば、それを将来の裁判にいかすため、将来の裁判で歪みのない判決をするためだろう。
母子ともに申し分ないほど健康で分娩時間も短い軽いお産なら、素人だけでもなんとかこなすことができるだろうが、母か子どもか両方が健康上の問題を抱えていたり、お産が長引いて帝王切開になったときに、素人に執刀されるなんて、わたしはごめんだ。
裁判員制度は素人に帝王切開をさせるようなものだと思う。被告が死刑や無期懲役を宣告される可能性がある裁判は素人の手に余る。
特に昨今の、被害者に共感を寄せることを競うような極端に感情的な日本の社会で、このまま裁判員制度を持続させると、遠からず、法を使った間接的なリンチが起きるのではないか。
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