政権交替を支持していなかった人たちが勢いづいているよです。
そらみたことか、だから言ったじゃないか、というようなスタンスです。
政権交代は不要だったと思いますか?
民主党の如何にかかわらず自民党主導ではできないことがあったと思います。
国家公務員法の改正はできなかったし、記者クラブ開放もできなかった。
やはり、政権交代は不要だったと思いますか?
もちろん必要でした。
政権交替の第一の目的はときの政権に「ノー」を突きつけることです。もう、あなたたちに政治をまかせられない、と。長く権力の座にあり続けると必ず腐敗しますから、ときどき権力のありどころを取り替えて腐敗を防がなくてはなりません。また、議員を雇っているのは有権者であり、有権者のお金(税金)を私利私欲のために使うことは絶対にあってはならないと示す機会が選挙です。
政権交替がないと、議員は金銭的にだけでなく知的にも堕落します。政策を作る能力を問われることがないので、まず不勉強になり、官僚の助けがなければ何も考えられないようになってしまいます。
政権交替したあと、民主党が何ができたかを考えるのも大事ですが、それよりも、自民党がやろうとしていたことのうち、政権から滑り落ちたことでできなくなったことは何かを考えてみるといいと思います。また、民主党が政権交替後にやろうとして挫折したこと、激しい抵抗にあっていることは何かを考えてみるといいと思います。その裏には、たいがい自民党がらみの利権があるでしょう。自民党の一党独裁のあいだ、日本中に腐敗と利権誘導が蔓延してましたから。
メディアもその利権の一角にあることを忘れてはいけないと思います。日本の大手メディアは記者クラブという他国に例のない閉鎖的な制度によって、情報へのアクセスとアウトプットを独占してきました。苦労して調べなくても与えられる情報を適当に料理してお客さんに出しているだけでよかった。そんなことを長々続けているうちに、調べ歩く体力も考える能力もずいぶん衰えたのではないかと思います。かれらにしてみれば、民主党は親切じゃないからいや、ってとこじゃないでしょうか。
というわけで、政権交替の目的は、ときの政権に「ノー」ということなので、民主党の政治が気に入らないのであれば、次の選挙で「ノー」と言えばいいんです。でも、あまり早い判断はどうかと思います。まだ自民党の汚れを拭き取るのが精一杯で、民主党らしい政策は何も実現できていないんじゃないでしょうか。
ところで、実際問題、自民党はもうずいぶん前に国民から「ノー」と言われてましたよ。公明党と組まなければ、選挙に勝てなくなっていたんですから。
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繰り返しになりますが、政権交替とはその政権に対する不支持を形にすることです。そしてその政権交替を実現させるのは支持政党を持たない浮動票です。
各政党にはそれぞれコアな支持者がいますが、これだけで有権者の過半数を占めることなどあり得ず(それじゃほとんど独裁ですから)、これに浮動票を加えない限り過半数には達しません。つまり、浮動票がどこに向かうかで次の政権担当が決まります。
民主党は、民主党のコアな支持者に加えて、いままで自民党に投じられていた多くの浮動票を得ることで政権を取りました。おそらく民主党の得票の多くが浮動票だと思います。この層はメディアなど大きな声の誘導に流されやすいのが特徴で、民主党の支持が下がり続けているのはそのせいでしょう。支持を失えばやりたい政策も(たとえ良いものであっても)実現できず、政策を実現して結果を出さなければ支持は減り続けます。
民主党のやろうとしていることを頭ごなしに否定せず、もう少しじっくり待てないものかと思いますが、一方で、日本の人は結局変わりたくないんだな、変わるのが怖いんだなとあきらめつつあります。残念。
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