<イギリスの大学を卒業する年齢は
ストレートで出れば何歳ですか?
日本 小学校6年 中学校3年 高校3年 大学4年 計16年
英国 小学校6年 中学校5年 高校2年 大学3年 計16年
でもイギリスは5歳から小学校が始まるから大卒新卒が日本より1歳若い。
これで正しいですか?>
上記の年数で正解です。ストレートで卒業すれば大卒の時点で21歳。以下蛇足ですが解説を少々。
初等教育は5歳で開始し、11歳(8月末)までの6年間、
中等教育は11歳で開始し、16歳(8月末)までの5年間、
15歳から16歳のあいだに中等教育修了試験 GCSE(国家試験)を受験し、義務教育は終了。
このGCSEの結果(何の科目でどんな成績を取ったか)が大学進学、就職等、一生ついてまわります。卒業という考え方ではないので、たとえ中等教育を5年間履修しても試験に合格しなければ(いわゆる)中卒資格も得られません。逆に言えば、ホームエデュケーションで学校に行かなくてもGCSEに合格すれば大学進学の道が開かれています(後述→ただし、コースワーク=学校での学習の成果も成績に加味されるので完全な家庭学習だけで合格するのは実際には無理)。
試験終了後、コースは大学進学組(Higher education)と各種学校組(Further education)、就職組に完全に分かれます。
この時点で大学進学コースに進まない場合、日本ではしばしば「中卒」というふうに言われてますが(特にフットボーラーの話題などで)、正しくは中卒ではなく中等教育修了(義務教育修了)で、日本で言えば高卒と同程度と考えたほうがよいと思います(あくまでもGCSEの試験結果しだいですが)。
大学進学組(Higher education)は大学進学準備校(6th form)で2年間、大学で履修予定の科目の基礎を学びます(日本の大学でいう教養&基礎課程)。通常は3〜4科目(Aレベル)、多くても6科目(IB/インターナショナルバカロレア)程度を深く履修するもので、日本の高校普通科とは異なり、大学進学を予定していなければまったくする必要のない勉強です(つまり、すでに大学教育が始まっていると考えていいと思います)。年齢的には16歳で開始し、18歳(8月末)までの2年間です。その間に大学進学資格試験 Aレベル(国家試験)かIBを受験します。
AレベルとIBの結果、希望する大学からオファーをもらえた場合はコースは2つに分かれます。すぐに進学するか、あるいはギャップイヤーをとって旅行やボランティア活動、学費稼ぎなどのために1年間進学を遅らせるかです。ギャップイヤーをとった場合、大学卒業も1年あとになるので卒業時には22歳になっています。
また、希望する大学からオファーがもらえなかった場合はさらに1年間、6th formで勉強し、Aレベルを受験し直します(浪人状態)。とは言え、大学入学は1年以上は遅らせられず、1年遅れて入学した場合も卒業は22歳です(後述→20歳以上で大学に入学する場合はマチュアスチューデント枠で)。
教師を目指す場合は、この後、教職用の大学院に進学する必要がある場合もあります。医学部、歯学部、獣医学部や建築学部などは4〜6年間です。
大学は全国に100校程度しかなく、生徒は上記のように大学進学前にすでに2年間勉強漬けになってますし、資格試験でよい成績をおさめなければ進学できません。また、卒業もむずかしいですから、イギリスでは大卒者は(卒業成績にもよりますが)ほんとうに秀才と考えてほぼ間違いないです(後述→大学数は英国全土で115校、イングランドだけだと85校)。
冒頭の一覧を現状にあわせてみます。
日本 小学校6年 中学校3年 高校3年 大学4年 計16年
英国1) 小学校6年 中等学校5年 大学進学準備校2年 大学3年 計16年 あるいは
英国2) 小学校6年 中等学校5年 職業訓練校/各種カレッジ2年以上 計13年以上
(2は大学に進学しない場合です)
くどいようですが、中等学校は中学校ではなく、大学進学準備校は高校ではありません。
***
1997年にニューレイバー(第三の道政策の「労働党」)が政権についたとき(だったか遊説中だったか)にトニー・ブレアが演説を行った。いまでも語りぐさになっている有名なスピーチで、自分の政権で実現したいこと3つとして、第一に教育、第二に教育、第三に教育とうたい上げたのだ。
教育によって社会の流動性を増し(つまり階級差と経済格差を取っ払い)、国の底力を強くするという。
サッチャー(+メイジャー)の保守党新自由主義路線は悪名高い英国病の払拭にはある程度成功したものの、富める者をより富ませ、貧しい者をより貧しくし、そのうえ自助努力を奨励して突き放すという徹底した冷徹さで不評を買った。労働党政権時代の遺産(NHSや失業手当など)がなければもっとひどいことになっていたかもしれない。
ともかくそんなわけで、ニューレイバーは教育にはほんとに金をかけた。
*
いまから4年ほど前、息子の中学校進学のとき、公立私立あわせて10を越える学校を見学に行ったが、設備の点では公立は私立に引けをとらないほど充実していた。
どの学校にもデスクトップがずらりと並んだIT教室があり、ほとんどの教室にインタラクティブホワイトボードがあった。そして、それらの多くがぴっかぴかの新品だった。スポーツ重点校には新品のジムやスイミングプール、芸術重点校の音楽室にはモニタ付きのキーボードが並び、立派な照明を備えた劇場もあちこちにあった。日本の公立中学校、高校のことを考えると、彼我の違いはあまりに大きい。
そんな具合に中等教育には目に見える進歩があったが、逆に高等教育には冷たかった。そりゃあそうだろう、限られた教育予算を分配する以上、あちらが手厚くなればこちらは手薄になる。
ニューレイバーは大学進学率50%を目標に掲げていたが、10年後の調査では進学率は3割止まりだった(後述→今現在は約40%)。公立校出身者、貧困家庭からの大学進学車の増加をうたっておきながら、公約を破ってまで大学に学費制を導入するという矛盾した政策を実施したからだろう。
サッチャー時代から予算を削られ続けた大学は企業の財布に頼るしかなく、企業にとって都合のいい学問は羽振りが良くなる一方で、純粋に教養としての学問、すぐに役に立たない学問はどんどん廃れていった。国内の学生から徴収する授業料は上限が決められているので、大学はもっと高い授業料を集められる留学生を盛んに入学させるようになり、国内からの大学進学者は減少し始めているのに、留学生はあいかわらず増え続けている。これがいまのイギリスの高等教育の一面だ。
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