なぜ最近になって「格差社会」のことが取り上げられるのですか?
「格差社会」のことが盛んに取り上げられるようになったのは、2006年に「格差社会」というタイトルを持つ新書の出版が相次いで以降ではないかと思います。
論争 格差社会 (文春新書) 文春新書編集部(8月)
格差社会の結末 富裕層の傲慢・貧困層の怠慢 (ソフトバンク新書) 中野雅至著(8月)
格差社会―何が問題なのか (岩波新書) 橘木俊詔著(9月)
おそらく「格差社会」という言葉自体はそれ以前に雑誌などで使われて始めていたと思いますが、テレビや新聞の見出しなどにさかんに使われるようになったのは新書が出てからではないかと推測します。調べればわかるでしょうが、いまはとりあえず推測のみ。
使いやすい名詞(特に四字熟語)があると、前々からあった問題にいきなりスポットライトがあたり、まるで新しい出来事のように流行る傾向があります。例えば「自己責任」とか。これもそういうものの一つだと思います。同じことを以前は「貧困問題」「貧富の差」、格差という熟語を使うとしても「経済格差」と言っていて、前々から問題はありました。
しかし、新自由主義政策の導入以降、終身雇用が崩壊に向かってますから、実際に貧困に陥っていない人にとっても貧困は人ごとではないのかもしれません。そのわりに、やはり新自由主義政策の導入以降の競争が美化される社会にあって、敗者(貧しい人)に対する社会の目がよりいっそう厳しくなっている点が以前とは異なると思います。
わたしは「格差社会」という言葉がいい言葉だと思いません。具体性にかけるのでほんとうの問題を隠してしまうし、「〜社会」ということで、まるでもう動かしがたい確固とした社会の決まり事のように聞こえます。「貧富の差」とか「貧困問題」のほうがいいと思います。
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