世の中の大半の人がやっていることにあわせることができない主人公、という冒頭部分は似ていますが、行き着く先はまったく違います。ほとんど逆と言っていいでしょう。
『かもめのジョナサン』が飛行そのものに喜びを見出して修行するところまではいいですが、だんだん特別なものに変わっていき、昔の仲間のかもめたちを啓蒙しようとしたりするところなど、なんだかな〜、カルトの始まりかい?って感じです。上から目線で共感できません。
『ライ麦畑でつかまえて』は学校を追い出された若者が家に帰りはぐれて都会を彷徨する、いわば青春の地獄巡りのような構成で、かれは特別なものになぞなろうとしていない。自分と同じように世の中にうまく適応できない若者が落っこちる前に捕まえてあげたい、そういうキャッチャーになりたい、ささやかに役立ちたいと願っている、みたいなストーリーでしたよね(読んだのが昔なのでよく覚えてないんですけど)。主人公の悩みも願いも等身大で引き込まれました。
『かもめのジョナサン』は一時ベストセラーになっていたけどそれっきりで、『ライ麦畑でつかまえて』には毎年毎年新しい読者が世界中に生まれてます。お話の力の差だと思います。
ラベル:読書
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