イギリス在住です。息子が中学生で、やはり毎週のようになにかしらのエッセイを書いてます。先々週だったかには歴史のエッセイ書いてましたよ。今週は英語でシェークスピアみたいです。たいへんだけど、英語うまくなるし、がんばってね〜。
まず形式から言いますね。たぶん、他のお子さんたちはすでに中学で身につけているので先生ももう説明してくださらないと思いますから。
冒頭にIntroductionをおきます。全体が1000ワードということなので100ワードぐらいでいいと思います。ここでは、これから書くエッセイについての議論をたてます。つまり、そのエッセイで何を見つけたいか、何を見つけることを目標にしているかを書き出します。(ただ、疑問文を作るのではなく、これこれしかじかの理由により、これについて調べようと思ったとか、考えようと思ったとか言った感じです。)ここでよい疑問文(議論)を見つけることができるとよいエッセイができる可能性が高まります。逆に、あまりよい議論をだてることができないと、頑張って書いてもあまりいいエッセイになりません。
中については後述します。
で、最後がConclusionでまとめです。Introductionで立てた議論(疑問)に対してリサーチした結果、どのような結論を得たかを書きます。どういう点で自分の仮説とあっていたか、違っていたかなどなど。分量はIntroductionと同じか少し長めがいいと思います。この最後に全体のワード数を書いておきます。
このあとにBibliographyを付けます。リサーチした素材(書籍、新聞、インターネットのページなどなど)の列挙です。決まった形式がいくつかありますから、ネットで検索してどれにするかあらかじめ決めましょう。これはワード数にカウントされません。
で、中身ですが、残り800ワードぐらいを3つぐらいのパート(パラグラフという意味ではありません)に分けるのがいいでしょう。最初に立てた議論にそって3つの観点から調べて述べるということです。歴史のエッセイなので時間軸で追ってもいいし(戦争のはじめ、中頃、終盤など)、それぞれのパートで3人の人物に焦点をあててもいいでしょう。場所で区切ってもいいし、単に3つの資料を一つずつのパートにまとめてもいいです。ここで大事なのは、Introductionで立てた議論から外れないようにすることです。あくまでもその疑問に対する答えを見つけるための過程なので。逆に言うと、ここでIntroductionから外れてしまうようなら、最初に立てた命題に問題があります。
もっと長いエッセイだとIntroductionの前に全体を見渡したAbstractを付けますが、1000ワードなら不要です。
じゃあ、肝心の議論について。Did the First World war chage the position of womenから、どんな疑問点が見つけられますか。changeということは、戦争の前に比べてchangeしたってことですよね? 思いつくことを紙に書き出してみましょう。
WW1のころは徴兵制ですよ。
家庭の大黒柱が戦争に行ってしまいます。女性はどうしたでしょうか。
社会はどうなったでしょうか。その中で女性の役割は?
いろいろ書き出してみて自分のエッセイの命題を決めます。命題は小さい方がおもしろいエッセイが書けます(大き過ぎると誰が書いても同じになり、大味なエッセイにしかなりません。リサーチも楽しくないです)。あとは、それに沿って資料を探します。図書館(ライブラリアンに相談するといいですよ)やインターネットを使って調べるといいですよ。引用は必ずそれとわかるように書きましょう。見つけた文章をそのまま自分のエッセイに流用してはいけません。見つかると良くてもディテンションぐらいのペナルティになります。
タイトル周り(フォーム名、氏名等)は別紙にしてもいいし冒頭につけてもいいと思います。写真やグラフ、図はエッセイの中身に関係の深いものなら付けたほうがいいですが(なくてもいいです)、単なる飾り程度だとマイナスになることもあるかもしれません。無意味ですから。
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他のかたが厳しいお返事なので気の毒になって補足します(*)。イギリスの勉強のしかたは日本とは全然違うのきっとたいへんだと思います。それにいきなり6th formでしょう? エッセイに求められるのは形式も内容も日本の学部レベルです。あなたが入り口でとまどっているなんて同級生も先生もわからないでしょう。中学校で何をやってきたのって聞かれるかも。
(*)「何のための留学?」とか「そんなことぐらい先生に聞きなさい」とかいった、若年の留学生の質問にに対してしばしば発生するいじめ。
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イギリスの教育システムのうち、日本ともっとも異なる(ゆえに、もっとも説明しにくい)のが高校から大学受験に望む16〜18歳の期間、6th formだ。
イギリスでは16歳で義務教育を終えるとすぐに職に就くか(職があれば、ですが)職業訓練校に進学する生徒がとても多い。つまり、この子たちは日本人の感覚から言えば中卒の資格しかないことになり、義務教育でないにもかかわらず高校進学までがスタンダードになっている日本人からみると「とんでもない」ことのようだ。「とんでもない」というのは実はよく言い過ぎなくらいで、「中卒のフットボーラー」などについてあからさまな侮蔑をしばしば目にする。
イギリスの6th formは純粋に大学進学準備のための学校だから、大学より先の勉強をする気がない人にとっては時間のむだでしかない。6th formで勉強するのは大学で勉強する予定科目の基礎なので、実はもうこの2年間から大学教育が始まると言ってもいいかもしれない。
大学の数は、1992年の高等教育法により大学に格上げされた元ポリテクニック(実業学校)やアートスクールなどを含めても120校程度しかない(うち1校が私立で残りは国立)。日本は公立私立あわせて1200校余りの大学があるので数だけみれば10倍以上だ。
中学までが義務教育と言っておきながら、実際のところ、高卒でなければ就職もできないなんて、制度的に何か間違っているのではないだろうか。大学に進学しない生徒が高校で過ごす3年間はいったい何なんだろう。高校で勉強したことで、大人になってからも役立っていることなんてあるだろうか。
そんなこんなを考えていると、日本の高校は進学か就職かを選ぶまでのモラトリアム期間に過ぎないのがわかる。
ラベル:英国教育
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