アメリカの黒人とヒスパニックは
なぜ貧困率と犯罪率が高いのか?
表面的にはどちらも同じように見えますが、黒人とヒスパニックを分けて考える必要があると思います。
まず黒人について。この問題も奴隷の末裔とそれ以外に分けて考える必要があると思います。
アメリカとイギリスの黒人のうち、大航海時代にアフリカ大陸から無理矢理連れられて来た奴隷の末裔である黒人についてしばしば言及されるのは、自分たちのルーツから完全に絶たれた寄る辺なさです。
アフリカのどこかで暮らしていた人が、ある日、奴隷狩りに捕まり、不衛生な船底に押し込まれて長く苦しい航海の末に見知らぬ土地に連れて行かれ、本来持っていた名前も言葉も宗教も音楽も踊りも料理も何もかも奪われて牛馬のように何世代も働かされていた。のちに自由の身になっても、そんなわけで、その人たちの末裔は外見的な特徴(肌の色など)以外に何一つ自分の根っこにつながるものを持ちません。
この寄る辺なさ、見下ろすと自分の足元には何もない暗闇が広がっているばかりといった空虚感がアイデンティティの危機の根源的な原因になり、刹那的で、将来に向けた努力を積むことに希望を見出せないなど、奴隷の末裔に特徴的なメンタリティを構築しているとも言われています。
話はそれますが、過去の黒人指導者たちと異なり、オバマ大統領は例外的にルーツのはっきりした黒人であったために、リベラルな白人のあいだで人気を得たのとは逆に、アメリカ黒人のあいだで信用を勝ち取るのに時間がかかりました。奴隷の末裔である奥さんのミシェルがいなければ大統領にはなれなかったかもしれません。
わたしはイギリス在住なのでヒスパニックについて具体的に言及する材料を持ちませんが、ヒスパニックの移民が経済的に困窮した隣国(あるいは、その南の地続きの国々)から就労目的でやってきた、来る前から貧しい人々であったことを考えると、アメリカへ移住後のいまもあいかわらず貧困で、貧困であるがゆえに犯罪に手を出しやすい環境に暮らしているのは容易に想像がつきます。
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