イングランドの上流階級って全体の何割ぐらいいますか?
年収1億超えあたりが上流階級でしょうか?
イギリスの上流階級は全人口の2%〜数%程度だったと思います。(うろ覚えで正確な数字ではありません。正確な数字がわかったら後述します)
また、イギリスにおける階級は年収とはほとんど関係ありません(ヒエラルキーの上にいくほど年収が高い層が多くなりますが、個別にはしばしば逆転が見られます)。
上流階級(王族、貴族など)はほとんどの場合、先祖伝来の広大な土地を持つ大地主であり、多くの場合、その土地に建つ広大な屋敷を複数所有しています。しかし、これは収入の多さとは必ずしも一致せず、当代の領主が事業か何かで巨額の収入を得ているのではなければ、むしろ屋敷の維持費が捻出できずに手放したり、映画のロケや結婚披露宴などに貸し出している家が多いです。
例えば、ウィルトシャーのストーンヘンジの近くにロングリートという広大な土地持ちのお屋敷がありますが、ここはケーパビリティ・ブラウンという有名な造園家の作った庭とサファリパークが有名で、一年中、内外の観光客でにぎわっています。遊園地や迷路など家族連れが一日中遊べる施設があります。
http://en.wikipedia.org/wiki/Longleat
実際に行ってみるとその敷地はほんとに巨大で、柵で囲まれた範囲に行きつくずいぶん前からロングリートの敷地であるとの表示があり、森、農地、宅地その他が延々と続きます。お屋敷はお城のように大きく、美術品もたくさんあって一般公開されていますが、屋敷全体の半分ぐらいが私邸になっていて公共の部分とは分かれています。
でも、ともかくロングリート自体はクリスマスを除けば年中無休なので、その私邸部分で暮らす屋敷の持ち主一家は常に観光客の歓声や騒音に囲まれて生活しているわけで、それはそれでなかなか気骨が折れるのではないかと思いました。
大き過ぎ、豪華過ぎ、ロングリートのお屋敷。

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イギリスの階級の説明はむずかしい。一つにはわたしも研究中ということもあるけれど、いちばんむずかしいのは、階級はお金の問題じゃないのだ〜というのがなかなか伝わらないことだ。(日本はなんでもお金が尺度になっているんだな〜ということがよくわかる)
上流階級は確かに資産家ではあるけれど、資産があるということといますぐ使えるお金があるということはずいぶん違う。上流階級の資産はおちおちお金に換えることができない場合もあり、むしろ金食い虫でお荷物だったりもする。上流という階級に縛られているので手元が寂しいからといってどんな職業にでも就けるというわけでもないし、たとえお金がなくても社会奉仕活動はしなければならない。
また、上流という階級が(日本の人に)理解されていないことによる誤解もしばしばある。上流は王族とか貴族とか大地主とかだよ〜(中流じゃないよ〜)と言っても、「上流階級のサッカー選手は話し方から違うらしいですね」とか言われてがっくりする。上流階級はサッカー選手にはならんのだ。上流階級はスポーツするけどプロにはならず、乗馬とか射撃とかでオリンピックにでるぐらいじゃないかと思う(そのうち調べてみます)。
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