どの作品から読み始めるといいですか?
『羊をめぐる冒険』がよいと思います。理由は以下の通り。
1) 長編ですが長過ぎない。村上春樹には短編集もたくさんありますが、かれの小説の醍醐味は長編のほうがよく味わえると思います。しかし、年々長くなる傾向があり(ハリー・ポッターのように)、長さが適当で取っ付きやすい長編は『羊をめぐる冒険』以降は数えるほどしかありません。
2) いろっぽい描写がまだ控えめ。意外なことに村上春樹の小説はけっこうエッチです。それはそれで味わいがありますが、初心者のしかも高校生男子だと気になって読みすすめなくなるかもしれないので(笑)、比較的おだやかなところから始めたほうがいいかと思います。
3) この『羊をめぐる冒険』は実は三部作の三作目です。しかし、1作目(デビュー作)と2作目はこれより完成度が低く、また、これだけで独立した作品として読めますから、もし、これを読んで面白かったら1作目、2作目に戻って読むといいと思います。
***
追加(2010-05-05)
中3です。村上春樹を読もうと思うのです。
何から読んでみたらいいですか?
中3ということを考慮して『羊をめぐる冒険』をおすすめします。ベストセラーになった『ノルウェイの森』やいま売れている『1Q84』を推薦する方もいると思いますが、このあたりはけっこう村上春樹ハードコアなので、何冊か読んでかれの世界観に慣れてからのほうが楽しめると思います。
1作目、2作目、3作目は続きもんですか?
続きもんです。
1作目がデビュー作で『風の歌を聴け』、2作目が『1973年のピンボール』、正確にいうと『羊〜』のあとにもう1冊あって『ダンス・ダンス・ダンス』で完結します。29歳の「僕」と友人の「鼠」の物語で、1作目と2作目には二人とも出てきますが3作目では「鼠」は手紙で出てきます。
1作目と2作目には作者はまだ新人で仕事(ジャズ喫茶経営)をしながら小説を書いてました。なんというか、いままで持っていたものを使って書いてます。だから登場人物も話の広がり方もこぢんまりしてます。3作目には仕事をやめて取材に行って書いてます。覚悟も決まってもっと小説家らしくなりました。お話も前2作とは段違いに大きく、おもしろくなってます。
もし読書に慣れているなら1作目から読んでもいいと思います。ちょっとぐらい退屈でも3作目にはぐっとおもしろくなりますから、頑張って2冊読んでください。最初っから面白いの真ん中に入るほうが良さそうなら、3作目からがいいと思います。
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