2010年06月12日

続・無印良品のイスラエル進出をどう考えますか?

続・無印良品のイスラエル進出(日本の小売業初)をどう考えますか?n>

知恵袋に出した上記の質問「無印良品のイスラエル進出(日本の小売業初)をどう考えますか?」に回答がつきました。質問(回答)に対する補足をつけることができますが、補足は1回しか付けられず文字数も限られるのでここに記録しておくことにしました。


1) ミニマリズム全盛のロンドンで受けたMUJI(無印良品の海外ブランド名)のシックでシンプルなデザインがアラブ世界でも受けるかどうか。海外のMUJIはけっこう高価だし、イスラエルに進出したところでビジネスとして成功するかどうかは未知数なので、まだそれを批判する段階にはないのでは?

無印良品がイスラエルに進出する意味をイスラエル側から考えた場合、経済的な重要性はほとんどなく、雇用機会と税収が多少増加するほかは直接的な利益はないと言っていいでしょう。イスラエルは経済的には成長国家であり、2000年にはGDP(国内総生産)6.5%の延びを記録しています。その後に起きた(イスラエルの攻撃を発端とした)レバノンやパレスチナとの対立の深刻化によって多少下がる傾向にありましたが、2009年でGDP世界49位、国民一人当たりでは世界29位です。

では他にイスラエルにとってどんな利益があるかと言えば、無印良品の持つ国際的な、特にヨーロッパにおける人気と信用です。無印良品の海外におけるブランド名であるMUJIは、ご指摘のようにヨーロッパ(特にイギリス)の室内装飾業界において90年代後半から2000年代前半に大流行したミニマリズム(あるいはZEN)の好みに合致し、確実にファンを増やし、定着しました。ミニマリズム商品のデザインコンセプトは華美な装飾を省いたシンプリシティで、一見とても質素なのに値段が高いのが特徴です(無印良品の当初のキャッチフレーズ、「わけあって安い」とは裏腹にMUJIは比較的高価です)。おもな購買層はミドルクラスとシティで働く金融関係のワーカーで、日本のバブル期によく似た不動産ブームの追い風もあり、その他のミニマリズムブランドと同様にMUJIも確実に固定客を増やしました。現在、イギリス国内の14店を筆頭にフランス8店、スウェーデン6店、ノルウェー7店ほかイタリア、ドイツ、スペイン他のヨーロッパ各国に50店舗以上が進出しています。

MUJIはヨーロッパだけでなくアメリカやアジア各国にも多数出店していますが、特にヨーロッパに限って述べたのは、イスラエルの対パレスチナ政策に対してイスラム圏を除けばもっとも厳しい反応をしてきたのがヨーロッパ各国だったからです。これは5月末に発生したイスラエル海軍によるパレスチナ支援船の公海上での急襲と活動家9名の射殺によって、いっそう厳しいものになっています。こういった背景をあわせ考えるとき、そういう各国で認められた人気と信用のあるブランドがイスラエルに進出する意味あいは自ずと明らかになるのではないでしょうか。

MUJIはイスラエルに出店することで、イスラエルに対し、また他国のMUJIファンに対し、対パレスチナ政策をはじめとするイスラエルという国のありようをまるごと認めると宣言することになります。先にも述べたように、MUJIのイスラエル出店はイスラエルに大きな経済的恩恵を与えるものではありませんが、イスラエルはヨーロッパで人気と信頼を得ている企業を自国の枠内に迎え入れることで、金銭に勝る利益、自らの倫理的正当性を主張する機会を得ます。

おそらくいまの良品計画にとってイスラエルへの出店は単に海外支店が1店舗増える以上の意味はないのではないかと思われます。ライセンスだけだと特に述べている点からも当初は大きな利益は見込めず、それほど重要でもない様子がうかがわれます。しかし、良品計画にいま問われているのはイスラエルという国のありようを企業として認めるかどうかの倫理であり、それによって金銭的利益を得る以前の問題なのです。

ひとこと加えるなら、ヨーロッパにはフェアトレードの推進や不買運動をはじめとする強力な消費者運動の歴史があり、いままでにもいくつもの大企業の重役室の決定を覆してきました。以上のような点からMUJIのイスラエル出店を考えたとき、ヨーロッパにおける今現在の人気と信頼を危険にさらしてまで実行に移すべきかどうか再考を望むというのが、「わけあって安い」ころからの無印良品ヘビーユーザーであるわたし個人の願いでもあります。

ヨーロッパの消費者運動の近年の成功例についてここに書きました。


2) イスラエルとパレスチナの問題はイスラエル建国をめぐるイギリスの三枚舌外交やそれ以前のヨーロッパにおけるユダヤ人差別行動にそもそもの原因がある。だからイスラエルだけを批難するわけにはいかない。あるいは、中東和平は望むがイスラエルとパレスチナに関しては中立の立場である。

日本では、わたしが居住するイギリスに比べてイスラエル及びパレスチナに関する現在進行形の報道が極端に少ないせいだろうと思いますが、いま現在のイスラエルの暴力とパレスチナの苦境についてさえ、60年以上も前のイスラエル建国の話を持ち出して論評する人がめだちます。それはそれで大事なことではありますが、その時起きた間違いについていくら厳しく糾弾したところで、いま目の前で起きている問題の解決にはなりません。ですから、歴史的話はさておき、まず現在の基本情報を共有しましょう。

パレスチナがヨルダン川西岸とガザ回廊の2ケ所に分かれていることはご存知だと思いますが、ここではハマスが実行支配していることを理由にイスラエルによって2007年から事実上封鎖されているガザに話をしぼります。というのも、イスラエルが急襲した支援船が着岸を目指していたのがこの地域なので。

ガザは西側の長い辺を地中海に面し、北の短い辺と東の長い辺をイスラエルに、南の短い辺をエジプトに囲まれた細長い地域です。南北が約41キロ、差し渡しは短いところで6キロ、長いところで12キロあり、面積は約360平方キロメートルです。この福岡市(340km2)や名古屋市(327km2)より少し大きいぐらいの土地に150万人が暮らしています。人口の半数以上が子どもで、約100万人が1948年のイスラエル建国時やその後に、いまはイスラエル領となっている土地から追われた難民やその家族です。

地中海側及びイスラエル側の陸の境はすべてイスラエル軍によってコントロールされ、エジプト側は支援船の急襲後に一時的措置として開放されるまでエジプト軍によって閉じられていました。人の出入り、物の出入り、すべてイスラエルの思いのままです。この閉鎖は2008年末から2009年1月にかけて起きたイスラエル軍によるガザ攻撃によって開始されたものではなく、それ以前の2007年から続いていました。

つまり、イスラエルは2008年末、すでに1年半もの経済封鎖で疲れ切った、そのほとんどが女と子どもの150万人のガザ住人に対して、陸も海もすべて閉ざした土地に閉じ込めたまま、22日間にわたって空襲を含む大規模な攻撃を行ったことになります。この攻撃によって1400名以上のパレスチナ人が殺されました。5000の住宅、16の政府ビル、20のモスクが完全に破壊され、25000の住宅が一部損壊しました。イスラエル側の死者は13名です。

封鎖はその後もいっそうの厳しさを増して続きます。ハマスが攻撃施設建設に使用するという理由によりセメント他の建築資材の輸入が禁じられていますから、破壊された建物を再建することも修復することもできません。許可されているのはたった120品目で、いま、あなたの周りにあるほとんどの物が、家電もコピー用紙も文具も手に入りません。市場に行けば食品は売られていますが、禁輸措置によってほとんどの産業が成り立たなくなったガザは失業者であふれ、人口の7割から8割が1日1ドル以下の貧困ライン以下の生活をしている状況ですから、食べ物があっても買うことはできません。

もしもあなたがイスラエルとパレスチナについては中立だと主張するなら、あなたは、このような状態に置かれている人たちと、このような状態を作り出している人たちの、両方を同じに見ていることになります。現状を知った上でまだそう主張できるか考えてください。


3) イスラエルに進出している企業をボイコットするならイスラエルに進出している外国企業すべてを対象にすべきだ。一部を対象にするのはフェアではない。日本ではソニー、住友商事、マツダなどが進出している。また、無印良品をボイコットしたところで、イスラエルのバックにはアメリカがついているからあまり意味がないのでは?

イスラエルを支援する企業、特にアメリカ資本の大企業に対するボイコットはずいぶん前から行われています。日本の小売業はいままでイスラエルに進出していなかったのでターゲットになっていませんでした(すでに進出している日本企業のうち、住友商事については対象商品が何になるか不明ですが、ソニー、マツダについては今後ボイコットの対象になる可能性があります)。

イスラエルを支援している有名企業にはマクドナルド、コカコーラ、スターバックス、ディズニー、マイクロソフトなどがあります。詳しくはこちらをごらんください。
http://www7.plala.or.jp/nsjap/list.html

また、ボイコットは消費者運動の一つで、ある目標を達するために行われる活動ですから、戦略的標的になるのは影響の大きな大企業がほとんどです。加えて、「フェア」という言葉を何を対象に使っているかを考えてみてください。マクドナルドを攻撃するなら家族経営のアメリカンレストランも、スターバックスをターゲットにするなら小さなイタリアンカフェも同様にボイコットしないとフェアではないのでしょうか。マクドナルドもスターバックスも、企業そのものがすでにフェアではないようにわたしには見えます。


4) 無印良品のイスラエル進出はどうかと思うが、出店を思いとどまらせるキャンペ−ンはひどい内容だ。訴えられたら負けるだろう。

企業(商品)ボイコットは消費者運動の一つで、しばしば「訴えられたら負けるだろう」と思われるような行動を呼びかけます。そして時には実際に呼びかけ人が訴えられることもありますが、呼びかけ人の側には受けて立つ覚悟があり、また訴えによって利益を受けるのもボイコット側です。企業に訴えられることによってメディアに取り上げられる機会が増え、ボイコット運動の宣伝になるので、多くの場合、訴えは企業に不利に働くからです。

世界規模の不買運動(ボイコット)によって社会的な不正義が正された例を一つ上げるとすれば、いま、フットボールのワールドカップを開催している南アフリカの民主化があります。ポラロイド社のインスタントカメラに始まり、シェルのガソリン不買運動へとつながった世界的なボイコットが引き金になり、南アフリカはアパルトヘイト廃絶を余儀なくされました。
http://www.nhk-g.co.jp/program/news_documentary/2010/070/index.html
http://www.bbcworldnews-japan.com/m_programs/view/00336

こういった消費者運動は新しいものではなく、イギリスの奴隷制廃止も中流階級の女性たちによる砂糖の不買運動(砂糖は奴隷を使うプランテーションで生産されていた)などによって実現しています。
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/281

企業のボイコット、商品の不買運動は、社会正義を実現するための方法として、資本主義社会にあっては実はとても効果的です。いま現在、広がりを見せているイスラエルボイコットについては以下のページをお読みください。
http://palestine-heiwa.org/news/201006091554.htm


〜*〜*〜*〜

緊急!!! 2010年12月1日、無印良品は
イスラエル進出計画の中止を発表しました。


2010年12月02日 無印良品がイスラエル進出中止を発表!!!
posted by nfsw19 at 00:00| Comment(0) | 知恵袋質問 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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