2010年02月14日

世界のお金持ちが社会貢献をするのはなぜですか?

[知恵袋] 回答 2010.02.14

<世界の著名人たちが寄付等の社会貢献活動に
力を入れるのはなぜですか?>



「世界の著名人は税金対策に寄付をする」という回答が複数あるので、それについて意見を述べたいと思います。

日本では、確かに寄付は税金対策になりました。いまの税制がどうなっているか知りませんが、わたしが日本から出た15年前にはそういう税金控除があり、わたしもその恩恵にあずかっていました。お金持ちがするような多額の寄付ではありませんでしたがフォスターチャイルドが途上国にいて、その寄付金に対する領収証を確定申告時に提出すると所得税の控除対象になった記憶があります。

それに引き換え、ここ15年居住しているイギリスでは日本と同じ意味での控除はありません(後述:控除もありました)。個人に対する控除ではなく税金分を余分に寄付できる仕組みになっています。簡単に説明します。

あなたがいくらかの金額を慈善活動に寄付するか、あるいは、慈善団体が売却して利益を得られるようなものを寄付するかした場合、その慈善団体からあなた自身が納税者であることを認める小さな書類にサインをするよう求められます。任意なのでサインしなければならない義務はありませんし、納税者でない場合はサインできませんが、その書類があると慈善団体はあなたが寄付した金額より余計にお金を得ることができます。これはギフトエイドという税還付の制度です。

例えば年収が1000ポンドの場合、基礎税額は250ポンドです(実際には基礎控除がありますがから1000ポンドの収入に所得税がかかることはありませんが、ここでは数字を簡単にしています)。あなたは1000ポンドの収入を税務署に申告し、250ポンドの税金を払います。そして手残りのうち、あなたが100ポンドを慈善団体に寄付したとし、その際にギフトエイドの書類にサインしたとします。すると慈善団体は税務署に対し、100ポンドの収入に対してあなたが払った税金25ポンドを還付するよう求めることができます。つまり、あなたの寄付金は125ポンドに増えるのです。

つまり、あなたには実質的な得はないので、いわゆる税金対策にはなりません。寄付してもしなくても税金は払わなければなりません。しかし、慈善団体は余分な寄付金を受け取ることができ、あなたも何もせずに余分に寄付することができます。国庫はその分の税収を失いますが、慈善団体が社会に還元している行為はおそらく税収によってできることを上回るでしょう。

というわけで、他の国のことはわからないのでイギリスに限ってですが、寄付は税金対策にはなりません(後述:まったくならないわけではないようです)

イギリスでは基本的に持てる者が持たざる者に分け与えるのは当然の義務と考えられています。ですから、著名人が多額の寄付をしてもたいがいそれほど大きなニュースになりませんが、例えば今度のハイチの地震などの際には著名人が率先して寄付することで社会の関心を高め、結果的に巨額の寄付を集めることに貢献します。

また、大きな幸運を手に入れた時(宝くじの大当たりを引き当てた時や思わぬ遺産を手に入れた時など)には、たいがいどの人もけっこうな金額を慈善団体に寄付します。毎年1回、タイムス紙がギビングリストという寄付番付のようなものを冊子にして発表するのですが、実業家やスターに混じって毎年何人もの宝くじ億万長者がランクインしています。

こうした慈善活動がキリスト教の教えに起因するのか(イスラム教も施しの教えが徹底していますよね)、あるいは、古いヨーロッパの国々にみられる民主社会主義の思想に基づくものかよくわかりませんが、慈善活動の勧めは徹底していて、小学校のときから慈善のための行動が学校行事の一つになっています。例えば、クロスカントリーを完走したらいくら、と親や近所の大人にスポンサーになってもらい、完走を目指してがんばって寄付金を集めたり、わずかな元手を工夫して何倍かにして(クッキーを作って売ったりなど)それを全額寄付するとかいった、ゲーム感覚でお金を集めて寄付することなどがあります。そうしたことを小さいうちからやっているのも、大人になって(お金持ちになって)社会に還元しようとする動機の裏付けにもなっているかもしれません。
posted by nfsw19 at 00:00| Comment(0) | 知恵袋回答 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。