2012年07月08日

[TUP速報941号(1/3)] アラブの春その後−アサンジ連続インタビュー「明日の世界」第1回配信

速報941号:アラブの春その後
−アサンジ連続インタビュー「明日の世界」第1回配信
2012-7-8 8:42:07

アサンジと語る「明日の世界」エピソード4(TUP速報第1回配信)

ジュリアン・アサンジが監修しホストを務めた連続インタビュー番組「明日の世界」は、4月中旬に開始され、7月3日に今期シリーズの幕を閉じた。毎週火曜日にRT(ロシアの公共放送機関)その他のテレビ・ネットワークやユーチューブなどインターネットを介して、多言語、世界規模[注*]で12回のエピソードが放映された。

「ウォールストリートを占拠せよ」や「サイファーパンクス」の活動家たちとのディスカッションに登場するゲストは、西欧諸国で物議をかもしている人物たちだ。また「アラブの春」を経て民主政治の出発点に立ったチュニジアの新大統領、米国が操るクーデターを生き延びたエクアドルの大統領、政治的に仕組まれた性犯罪のスキャンダルや投獄を乗り越えて台頭するマレーシア野党勢力リーダーへのインタビューなど、アラブ・アジア諸国や南米諸国出身のゲストの多くは独裁政権下で弾圧を受け、人権を侵され、投獄さえも経験してきた筋金入りの「反逆者たち」である。これら、欧米中心の地政学的視点から除外されてきた語り口を伝えるゲストは、欧米諸国の主流報道機関で紹介されることは稀であったことから、多くの視聴者にとってはほぼ無名の存在だ。しかし、アサンジの的確な質問と情報提示、軽妙な対話やユーモアによって、ゲストの等身大の視点や思考が生き生きと浮かび上がる。ウィキリークスが開いた情報の扉から、欧米主流文化を機軸としない「別の」世界観が紹介される。

本来の番組放映時間は26分前後であるが、実際のインタビューにはその何倍かの時間が充てられ、進行具合によってはさらに長時間のインタビューが録画されている。「独裁者打倒・初級編」と銘打って放送されたシリーズ第四回目がその良い例で、当初は録画予定1時間だったものが3時間近くに及んだ。話題は「アラブの春」の背景にある革命の歴史や方法論、イラク戦争、シリア、一連の革命におけるサッカー応援団「ウルトラ団」の活躍など多岐に亘る。

プロデューサーの許可を得て、3時間弱のトランスクリプト(書き起こし文)のすべてをTUP速報としてお届けします。放映された番組の下記動画リンク(英語)をご覧になりながら読まれると、臨場感が感じられるかと思います。

[注:全世界100カ国以上におけるこの番組の対象視聴者は、RTの契約者5億3000万人。番組放映日には一日中、二時間おきに放送され、インターネット上でも同時に視聴可能だった。この契約者数には8500万人の米国ケーブル視聴者(タイムワーナー、コムキャスト)が含まれており、全世界のケーブル・ テレビ視聴者の25%。放送後1日ほど経つとインターネットでユーチューブに番組全体がアップロードされ、この視聴回数は世界各地で少なくとも7億回を超えた。]

RT放映日:2012年5月8日(火)(12回シリーズの第4回)
RTリンク:http://assange.rt.com/episode-four/
ユーチューブ・リンク:http://www.youtube.com/watch?v=HdVoBlABSpc
公式リンク:http://worldtomorrow.wikileaks.org/episode-4.html

(前書き・翻訳/ 宮前ゆかり:TUP)

「The World Tomorrow(明日の世界)」は、世界で最も興味深い人物たちとジュリアン・アサンジとの対話をお届けする12回シリーズのインタビュー番組です。この番組は、各国の国内放送局および国際放送機関に対するライセンス供与を行っています。お問合わせは配給会社Journeyman Picturesまで電子メールmark@journeymanpictures.comにてご連絡ください。

Creative Commons License
This work is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial-NoDerivs 3.0 Unported License.


アラブの春:夢の行方
ゲスト:ナビール・ラジャブ、アラー・アブドゥルファッターフ


<ゲスト紹介>

「これこそが戦い、これこそが自由、これこそが僕らが勝ち取ろうとしている民主制なんだ。それには犠牲がともなうし、僕らはその犠牲を払わなければならない、僕らがバハレーンで膨大な犠牲を払ったようにその犠牲はとても高くつくかもしれない、そして僕らが戦い取ろうとしている変革のために僕らはその犠牲を払うつもりだ」――ナビール・ラジャブ

<ナビール・ラジャブ>

[2012年]5月5日(土曜日)に逮捕されたナビール・ラジャブは、生涯にわたるバハレーンの活動家でありアル=ハリーファ政権の批判者だ。断固たる政権支持派の一族に生まれたラジャブは、1988年に[海外での]大学教育を終えて帰国して以来、バハレーンの改革を求めて闘ってきた。バハレーン出身でデンマーク国籍も持つ人権擁護活動家アブドゥルハーディ・アル=ハワージャとともに、ラジャブは2002年にバハレーン人権センターの設立を支援した。各派間での差別や移民労働者の権利など、バハレーンにおけるさし迫った問題に何年も取り組んできたラジャブは、真珠広場で行った果敢な座り込みの後、2011年2月14日に勃発したバハレーン人民蜂起の「顔」となった。以来、彼は革命の矢面に立ち、政権側の広報を担う企業に対抗してツイッターを駆使したソーシャル・メディアでの戦いを繰り広げてきた。アル=ハワージャが拘禁されると、ラジャブは彼の解放を求める抗議行動を率いた。彼は民主化要求のデモ参加に対する暴行、逮捕、そして法律上の嫌がらせを耐えてきた。5月5日の土曜日、ラジャブはマナーマ空港[バハレーン]で逮捕され、翌日「不法な抗議活動」に関与し、それを助長した疑いで告訴された。ナビール・ラジャブは番組放送時点で身柄が拘束されたままである。(注:6月末に一時釈放となったが7月初旬に再逮捕され、投獄が続いている)

<アラー・アブドゥルファッターフ>

アラー・アブドゥルファッターフは、長年にわたるエジプトの政治活動家、プログラマー、ブロガーである。アブドゥルファッターフは2006年にムバーラク政権下で抗議活動を行い45日間勾留され、さらに革命後の軍事政府であるエジプト軍最高評議会(SCAF)の下で抗議活動を行ったことから再び68日間の勾留を強いられた。彼はさらに2011年のエジプト革命でも活躍した。革命当初、国外にいたアブドゥルファッターフはムバーラクによるインターネット封鎖を迂回する援助を行った。抗議行動の絶頂期にエジプトに戻り、治安部隊からタハリール広場を守る活動に参加した。ムバーラク辞任後、SCAFに対する抗議行動に関わったことで、2011年10月再逮捕され、勾留された。アブドゥルファッターフの両親はアンワル・サーダート政権下の人権運動家だった。妹モナ・セイフは2011年のエジプト革命当時ツイッター上でスターとなり、アブドゥルファッターフの勾留を受けて組織された「No Military Trials for Civilians(市民に対する軍事裁判反対)」グループの創立者でもある。アブドゥルファッターフの解放を求める運動はオンライン上で#FreeAlaaのハッシュタグを使って展開され、SCAF政権の不正が世界中で広く注目を集めるきっかけとなった。アブドゥルファッターフの息子、ハーレドは彼が身柄を拘禁されている間に生まれた。アブドゥルファッターフは12月に解放され、このインタビュー撮影当時は旅行禁止令の下にあったが、5月初めに彼に対するすべての容疑が取り下げられた。

アサンジは次のように述べる。

「アラブの春は実現しつつある夢なのだろうか、またはありえない空想なのだろうか。メディアの作り話は相手にせず、僕は直に現場の人間たちに話を持ちこんでみる。」

当番組は下記の多言語でご覧になれます
RT – English
RT – Arabic
RT – Russian
RT – Spanish
L’Espresso – Italian

編集前トランスクリプト(2時間50分)

ジュリアン:
やぁ、ナビール。

ナビール:
こんにちは。会えてうれしいよ。

ジュリアン:
こちらも。

ナビール:
君はアメリカ人にたくさん厄介ごとを持ち込んでいるんだね。バハレーンだけの僕とは違うね。

ジュリアン:
旅行の具合はどうだった?

ナビール:
会えて嬉しいよ。君はどう?

ジュリアン:いいよ。

ナビール:
すべて大丈夫だった。電話を切ろう。うん、すべて上手くいったよ。君のほうは?

ジュリアン:
僕は大丈夫。昨日はとても大変だったんだ。かなり疲れた。君はまだ聞いていないと思うけど、ある大きな企業から出たファイルを公開したんだ。

ナビール:
バハレーンのことで何か見つかった?

ジュリアン:
まだ分らない、実際のところ。かなりあるからね。君の名前を探してみたらいくつか報道記事があったけど…始めたばかりだし、今のところたったの0.001パーセントしか公開していないわけだし…

ナビール:
大仕事だね…ジュリアン…、で、全部終えるのにどのくらいかかるの?

ジュリアン:
多分4ヶ月くらいかかると思う。

[番組スタッフがナビールの準備を整える]

ジュリアン:
準備はできたかな?

ナビール:
どうなるのか教えてね。

ジュリアン:
そうするよ…

ナビール:
これ、録画しているの?いつ録画されているのか、されてないのか言ってね。

ジュリアン:
ずっと録画されるんだけど、多分この部分は使わないと思う、最初の画像で、椅子に座って挨拶する場面だ。それで次にアラーを待っているところで、アラーが電話かけてきたら始めよう、説明するよ…

ジュリアン:
アラーが向こう側でスカイプを用意していて、カイロにいる、彼はカイロの活動家だ。彼は2006年に何度も投獄されたし、最近もさらに投獄されたわけだけど、5カ月前にエジプトでとても有名になった「夢」という作品を書いた人物だ。その作品はエジプトの革命やタハリール広場で起きたことを、未来の国家という、ある理念を具現化したもの、エジプトのあるべき姿、として見ていて、この未来の国家の可能性というものをエジプト全体に、そして世界の他の地域に示す必要があった。だからその意味で、人々の前で物語を伝えるパフォーマンス的要素が不可欠だった。このタハリール広場での対立の中で彼らはある物語を語っていた、この物語でみんなに希望をもたらすためにね。だって、何かをやるんだったら、何らかの目的を果たすべきだろう?だから、ただ反対だとか、ムバーラク政権の汚職が嫌だというだけではないんだ。

ナビール:
僕らの国をどう築いていくのか、ということだね。

ジュリアン:
でも僕らはそれ以上のものを求めているし、それ以上のものを手に入れることができる、というのがアラーだ。そろそろ電話をくれるはずだ。…音声をチェックする必要があるんだよ、接続の関係でね…接続があまりよくないんだ。

ナビール:
それで、どのくらいの時間、僕らみんなで話すのかな、全体で。

ジュリアン:
そうだね…

ナビール:
僕はどのくらいの時間もらえるの?

ジュリアン:
うん、そうだな...

ナビール:
彼と話し続けるってことか。

ジュリアン:
礼儀正しく、普通にしていればいいんだよ。

ナビール:
そう、ずっとここに座ってるのかな。

ジュリアン:
そうだよ。そして「ここはどう思う?ジュリアン、アラー…」という風に聞けばいい…

ナビール:
なるほど、三人同士での話し合いなんだね?

ジュリアン:
そうだよ。で、誰かがひとつのテーマについて細かすぎる話をしてる場合には、僕が「こういう問題について話題を進めてほしいな」というかもしれないけどね、かなり気楽な感じだよ…

ナビール:
わかった。

ジュリアン:
ひとつの話題についてあまり長く話さないようにね。

ナビール:
焦点を当て、集中的にってことだね。

[番組スタッフが最終的な放送時間を伝える]

ジュリアン:
26分だ。そう。

ナビール:
そうなの?このために2時間も話すわけ?

ジュリアン:
[スタッフをさえぎって]だいたい1時間くらいかな、で、インターネット上で1時間分全部を公開するかもしれないけれど、テレビ番組としてはこの26分が放送される。こういう理由があるので、ひとつの話題についてあまり長く話をしないように、というか、僕が退屈そうな顔をしてるかどうか見たらいい…[スタッフ:止めるために触って合図してもいい]…僕が「この点はどうだい?」とか「アラー、それについて君はどう思う?」とかなんとか言うよ[聞き取り不可]

[スタッフ:ジュリアンは長い質問のリストがあるんです]

ジュリアン:
まぁ、実際のところ、かなり短いリストだよ…

ナビール:
君のツイッターのアカウントはアクティブなの?

ジュリアン:
僕はツイッターのアカウント持ってないんだ。

ナビール:
今日ひとつ見かけたよ。

ジュリアン:
それはウィキリークスのアカウントだよ。

ナビール:
いやいや、君のだよ。

ジュリアン:
ううん、それは偽者だ。

ナビール:
あれ、偽者って、本当に?

ジュリアン:
うん、その偽者アカウントには52,000人のフォロワーがいるんだ。それは偽者で、僕じゃない。誰か…

ナビール:
でも悪意があって、君の評判や名前を落とそうとしているのか、単に応援をしているのかな?

ジュリアン:
ううん、ただ単に…それを使って何か商品を売るとか、何かそんなことをしてる、だからそいつらは…

ナビール:
それで君はそれが偽者だって言ったのかい?

ジュリアン:
そうだよ、そう、あれは偽者だ。52,000人ものフォロワーがいるんだけど[聞き取り不可]…わからないけど、彼らは南米で携帯電話を使っているみたいだ…誰か南米の人がやっている。@JulianAssange_ …それで、僕らはツイッター社を相手に大きな訴訟を争わなければならなかった…僕らには商標があるんだけど誰かがその商標を横取りしようとしてたので、5カ月もかけて訴訟の戦いがあった…

ナビール:
とても複雑なんだよね、ツイッターって。僕も問題があってね…5つか6つの偽の名前のアカウントがあって僕の名前を汚そうとしている奴がいるからなぁ。

ジュリアン:
あぁ、実はそれについてぜひ君に聞きたいと思っていたんだ。フェイスブックとツイッターについて、ある時期を境にして突然バハレーン政府がそっちのほうに力を入れ出したことに気がついた、突如として政権支持派の人々から何千件ものツイートがあったけど、その一定時点の前にはそれがなかったんだ。

ナビール:
奴らはソーシャル・メディアを使うことにかけては一番頭のいい政府だ。

ジュリアン:
そうなの?ただの一般政権支持者たちのようには見えなかったし、違うんじゃないのかな?

ナビール:
PR会社なんだ。

ジュリアン:
プロパガンダか、そういえばプロパガンダっぽかったな。

ナビール:
そうさ、PR会社なんだ。やつらは一番賢い…

ジュリアン:
で、アカウントのいくつかは以前には存在しないものだった。

ナビール:
まさにそうなんだ、まず、バハレーンの国民はツイッターをとてもよく使うようになった、もしかしたらツイッター使用ではアラブ圏で一番活発な国かもしれない。だから僕がアラブ圏では四番目、自分の国では一番フォロワーが多いのもそのためだ。ツイッターが始まってから3年目に自分のアカウントを開いたとき、僕のツイートは200回とか300回くらいリツイートされていた、つまりバハレーンの国民がいかに活発なのかを示している。今、バハレーン政府は同じツールを学び、それを使って反撃しようとしているんだ。

[電話が鳴る]

ジュリアン:
OK、アラーからだ。

ジュリアン:
アラー。

アラー:
こんにちは。はい。まだ君のことが見えないよ。

ジュリアン:
すぐに見えるようになるよ。

アラー:
おぉ、今見えるようになった。

ジュリアン:
僕のこと見えるんだね、そしてここにはバハレーンからナビールが来ているよ。

アラー:あの…[アラビア語で話す]

ナビール:
そうか、お父さんの具合は?

アラー:
うん、元気だよ。

ナビール:
奥さんやご家族はどうなの?皆元気かい?

アラー:
うん、みんな元気、みんな元気。

ナビール:
顔が見られてよかった。僕らは君のこと心配してたんだよ。

アラー:
会えてとっても嬉しいよ。うん。

ジュリアン:
やぁ、今、彼は出獄してるけど、そんなに長くは続かないさ…

アラー:
長くは続かない、そうなんだ。僕らは誰も長くは娑婆にはいられない身の上だよね。

ジュリアン:
そうかもな、でも僕らには部屋代と食事が無料の生活が待ち受けているんだ。一生無料の宿泊施設がね。

アラー:
で、君はどこの国で投獄されることになるんだい?

ジュリアン:
うん、これは現在のところ興味深い疑問なわけさ、英国での在宅軟禁、英国でちょっとだけ収監されるかもしれない、もしかするとスウェーデンで投獄されるか、米国かもしれないな。で、君はどうなの?バハレーン?

ナビール:
僕はバハレーンをお薦めするね。

ジュリアン:
彼はバハレーンを薦めるんだって。

ナビール:
僕はバハレーンをお薦めする。

ジュリアン:
じゃ、ここで話をしよう…ちょっとだけこれから何をするのか、どういうことをするのか話をさせてくれよ。彼の言っていることわかるかい?

ナビール:
うん、大丈夫。

ジュリアン:
OK、それはよかった。で、アラー、僕らの言っていることわかるかい?

アラー:
うん、うん。

ジュリアン:
OK、よし。

アラー:
でも、君は英国アクセントになったりしないよね?どう?

ジュリアン:
[笑]いいや、僕は…でもオーストラリアの友達に言われてしまったよ…だんだんと染み付いてきてるなって、残念ながら。さて、これから…


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[TUP速報941号(2/3)] アラブの春その後−アサンジ連続インタビュー「明日の世界」第1回配信

アサンジと語る「明日の世界」エピソード4(TUP速報第1回配信)
(1/3からの続き)

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前書き・翻訳/ 宮前ゆかり:TUP (前書きは1/3をご覧ください。)
===========================

アラー:
チュニジアの革命。うん、それはね…。どんな革命でも完了したということはありえないと考えている。革命の完了ということは、新しい正義の世界が創られたということで、そういうことはまだ起きていない。僕は南アフリカに3年住んでいたことがある、そこの革命はまだ完了していない。もちろん敗北したんじゃない、革命には完全に勝利したんだからね。でもニーズというものが未だにあるだろう?まったく違った生活に対するニーズがね。

チュニジアで起きていることは、あそこの政権はエジプトやバハレーン、またはリビアやシリアの政権よりもずっと賢いということなんだよ。あそこの政権は、権力を放棄しようと決めた、だから権力は選挙で選ばれることになり、国民は元の生活に戻って路上から去っていくわけだ。でも失業率が高く、労働者の権利なんかも…窓の外に放り投げられるような社会秩序の下にあって、戦略的外交政策やその他の決定事項は、本物の――言葉はなんだっけ?――本物の主権に基づくものではないんだ、わかるかな、そういった決定はチュニジアの利害に関わっているどんな実質的な独立層にも地盤がない、そしてその代わりに国際的…

ジュリアン:
[アラーの言葉をさえぎって]なぜ、チュニジアはシリア承認を止めることにしたんだと思う?

アラー:
シリア政府という意味かい?

ジュリアン:
そう。

アラー:
ううん、チュニジアは選挙で選ばれた政府だからだよ、もちろん。いや。つまりね、僕は、選挙で選ばれた政府は意味がないと言っているわけじゃない、意味はあるよ、だけどそれは単なる改正だ、小さな改善だ――いや重大な改善さ、でもそれは実際の国民の願望にまで至らないものだ。

チュニジアの支配階級または支配特権クラスの人々はごく初期の頃からとても賢かった、わかるかな、ベン・アリは早いうちに逃亡した、ムバーラクなどのように打倒されるまで待たなかったんだ。彼らは一貫して賢い動きをしていたけれど、革命はまだ終わっていない。チュニジアでは最近ストライキがあったんだけど、選挙で選ばれた政府に攻撃されたんだ。抗議運動には、両方の勢力とも、サラフィストも――サラフィストの抗議は宗教問題に関するものだ、そして労働組合による抗議行為も…

ジュリアン:
アラー…

アラー:…攻撃され、催涙ガスで打ちのめされたりして、それがまだ続いている。

ジュリアン:
現在エジプトで起きている状況はどうなの?エジプトにはものすごく大きくて強力な派閥があるし、複数の企業があるし、独自の経済を持つ軍組織がある。エジプトには当初から革命運動に関わってきた人々がいるし、ムスリム同胞団、コプト正教会がある、これらすべてがどんな風に動いているんだろうか?

アラー:
まずね、18日間[続いた革命]の出来事はかなり意外な出来事だったし、ムバーラクがあんなに素早く退却するとは思わなかった、犠牲は高くついたけれども、僕らとしては犠牲はそれよりもずっと多くなるのではないかと考えていた。だから、エジプトで何が起きているかというと、僕らがこうなるだろうと予測していた出来事、つまり僕ら皆が考えていたのは、革命は多分一年くらいかかるんじゃないだろうかということだったから、ムバーラクを倒すのに一年はかからなかった分、軍隊とのことで今それが起きているわけなんだ。

人々は最初の頃、軍隊は介入せず政権側を擁護しないことによって、団結と社会的地位を挽回することに決めるかもしれないと考えていた。だけど、実際には軍隊こそが政権の中枢なわけで…だからこの革命は今や軍事政権の支配に抗う革命であり、もっと深いところに入っていっている…つまり、現在の目標はただ単に軍事委員会――将軍たち――を支配階層から追い出すことだけではなくて、文民が就任すべきすべての地位からあらゆる軍人を追い出すことであり、選挙で選ばれた権限に軍隊を従わせることであり、軍隊から経済的権力を剥奪することによって、軍が国家の中にある国ではなくなるようにすること、軍は行政権が持つ単にひとつの手段でしかなくなるようにすること。こういったことは膨大な仕事です。

これは一度にすべての権益を敵に回すということだ。そしてあきらかにそれは実際にはアメリカの権益――そしてサウジ・アラビアの権益――のことであり、彼らにとってエジプトが軍事政権の手中にあることが戦略的に望ましいわけだ。例えば、国防に関する決定事項とか、スエズ運河のこととか、イスラエルとの関係とか、外交政策とか、国内の治安とか、エジプトが「テロとの戦争」に関わっているのかどうかだとか、――彼らにとっては、こういったすべてのことが諜報機関、軍隊によって掌握されている必要があり、選挙で選ばれた[文民の]権力の手に入らないことが望ましい。だからこういったことがこの闘いの本質だ、難しいことだ…人々が殺されているんだ…

ジュリアン:
でも…現在あの革命勢力はどうなっているの?君たちを支えた…サッカー・クラブ、あのウルトラ団[フットボール応援団]、組合、そういったグループは今どこにいるのか、何をしているのか、君はどういうふうに捉えているんだい?この人たちは解散したのか、今でも特定の方向に向って改革を推し進めているんだろうか?逮捕されたのだろうか?ムスリム同胞団は逮捕されたの?

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[TUP速報941号(3/3)] アラブの春その後−アサンジ連続インタビュー「明日の世界」第1回配信

アサンジと語る「明日の世界」エピソード4(TUP速報第1回配信)
(2/3からの続き)

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前書き・翻訳/ 宮前ゆかり:TUP (前書きは1/3をご覧ください。)
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ジュリアン:
よし、ありがとう、君たち、とてもよかった、でももうちょっと質問したい…[笑]まだ行かないで、行かないでよ――もう少しだけ質問したいんだ。ウルトラ団について話してくれたね。僕はウルトラ団のことを知っているけど、西欧の人たちのほとんどがウルトラ団のことを知らない…それで…

アラー:
えーと、イタリアで始まったんだと思ったけど。[ナビールとアラー、アラビア語で話す]

ジュリアン:
フットボール・チームのことだよ。

ナビール:
そう。

ジュリアン:
だから、ウルトラ団とは誰なのか、エジプトでの彼らの役割について話してくれないか。[スカイプの接続が切れ、カメラの外での話し合い]

アラー:
接続がなくなったんだよ。うん。

ジュリアン:
いいよ。もうすぐ直る。いいね、さぁ、ちょっと心配したよ。

アラー:
見えない、あ、いい。ううん、大丈夫、政府とは無関係だよ。[クスクス笑い]

ジュリアン:
君はウルトラ団について何度か話したね、でこれはフットボールのチームのことや試合の場所のこと、そしてエジプトの革命の中で彼らが果たした組織的な役割について、非常に興味深いストーリーだ――彼らの由来や革命で彼らが果たした役割について説明してもらえないかな?

アラー:
OK、じゃあ、ウルトラ団のことね。ウルトラ団とは独立フットボール・ファンの団体で――フットボールとはサッカーのことだよ、アメリカで見てる人たちのために言っておく――それで独立とはどういう意味かというと…クラブそのものの周辺で立ち上げられたようなファンの団体ではないということだ。実際、ウルトラ団は組織的スポーツに反対するイデオロギーと価値観を持っていて――クラブは支援するけれども、政府や資本がフットボールに関わることを非常に嫌っている。

ジュリアン:
FIFA(国際サッカー連盟)のことは嫌いなの?

アラー:
何が嫌いだって?

ジュリアン:
FIFA

アラー:
彼らはFIFAのことを嫌っている、クラブ所有者、クラブの幹部を嫌っている、そして何よりも重要なのは、彼らは警察を嫌っていて、ウルトラ団の存在が強い国で仕事したことがあるなら、ACAB – A、C、A、B という落書きを見たことがあると思う――それは「All Cops Are Bastards(おまわりは皆ごろつき野郎)」という意味で、これは皆が同意してることだ、ね[笑]…そういうわけで、これがウルトラ団だ。イタリアで始まったんだと思う、そして南米や東ヨーロッパの一定の国々で特に活動が活発で、チュニジアとエジプトの革命では非常に重要な役割を果たした。アラブ圏でのこの運動はチュニジアで始まり、エジプトにものすごい勢いで流れてきた――結成されてから5年だと思うよ――彼らは最も初期の頃から警察との闘いに関わってきた。

僕はここで単に象徴的な暴力のことを話しているわけじゃないよ、僕は、実際の警察隊との対決のことを話しているんだ。エジプトのメディアではウルトラ団のことを悪者扱いにしていて、暴徒だとか、アナーキストだとか、ものすごく暴力的な青少年だとか、そんなふうに報道している。ほとんどの人たちが、彼らは貧困層の出身で、凶悪犯や、殺し屋みたいな連中だというふうに考えていたけど、ウルトラ団が一体どういう人たちなのか、革命が起こるまでは一般の人たちは気がつかなかった。それで、エジプトの二大フットボール・クラブのウルトラ団は、フェイスブックのイベントをきっかけにして初日から革命に全力を注いだんだ。チュニジアのウルトラ団から「俺たちは男だ、ベン・アリを打倒した。お前らは弱虫でムバーラクのことを何もしてねーじゃないか」などとあざ笑われた、という話をするメンバーもいる。そんなわけで、これは全員男の団体なんだよね…

アラー:
…男性ホルモンむんむんだし、とても若い子たちの集団だ、でも彼らがいかに地理的にも広範囲に分布しているか、どれほど宗教や階級の境界線を越えた存在なのか、それは驚くべきことだよ。だから、…ウルトラ団の英雄たちの誰かが犠牲となって倒れると…最も確実な姿が浮かび上がる。貧しい子もいれば、医学校に通っていた裕福な家族の出身の子もいるし、キリスト教の殉難者のほとんどが、――ごめん、最近の殉難者のことで、一年を通してではないけれども、彼らはウルトラ団に所属している。この革命では、ウルトラ団は二つの重要な役割を果たしてきた。彼らは常に…最前線にいた、彼らはいつも命をかけて…警察との対決で主要な役割を担ってきたんだ、そしてさらに、僕らが警察と対峙するときに態勢を整えるのを手伝ってくれた。彼らは経験があるからね。だからウルトラ団の連中はね、実践的な面でも助けてくれるけど、勇気を出すためにも助けてくれるんだ…

アラー:
…僕らが…政府の殺し屋たちと対決するために必要な勇気をね。それだけじゃなくて、彼らは…ウルトラ団はとてもよくまとまっていて、それに人数が膨大なんだよ、どんなデモでも数万人はいるからね…多分、わからないなぁ、実際の人数は誰も知らないんだ。連中は…ほとんど秘密結社みたいな感じで、階層的な組織なんだけど、でも例えばシュプレヒコールなんかも考え出してくるし、そのシュプレヒコールは複雑なリズムの音楽的スローガンだったりするんだ。ドラム隊も出てくるし、いろんな見世物、例えば花火を打ち上げたりとか、そういうものを考え出してきて、デモや座り込みのときに元気を与えてくれるのさ。うん、ウルトラ団はとても受け入れられていて、これはエジプトのことで、チュニジアではそこまで広く受け入れられなかったんだけど、でもウルトラ団はエジプトの社会で広く受け入れられた、あらゆる活動家たちからも、革命家たちからも、メディアでさえもね…

アラー:
…ウルトラ団のことは肯定的な報道で、英雄扱いだったんだよ。彼らはさらにもっと政治的に意識の高い運動へと成長していったので、だから彼らはかなり素晴らしいよ、例えば…ウルトラ団が出した声明なんかもとても感動的だ。連中は正しい時期に正しい判断を下す。僕がさっき話した例の虐殺事件は、実は市民の…民間人の暴動を煽るための策略だった。ポート・サイードの小さなクラブのウルトラ団に潜入した警察が虐殺を計画的に実行したんだ。ウルトラ団が革命に焦点を当てるのではなく、内部抗争へと発展していくように。でもウルトラ団は…

ジュリアン:
ウルトラ団は今エジプト社会でどういう役割を果たしているの?

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